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「世にありて」


「世にありて」



知るほどに巨きな空よちりぬるを

たとえなき哀しき胸にいなびかり

遍光やかくれしものを見のがさず

常ならむ世を気化せんと血の五文字

さだめしをうきしずみつつちぎりしも

つらら垂る夜ふけし道の青光り

したりかをいとあなをかしそちこちに

わけいれどおもいはさらにひとこころ

みちしるべわけいるたびに手をあわし

わけいればふかみあさみのたえなるか

よみよみてふみくるひしのおおかりし

みちなくもみちみちたるをしれよかし

しりつつもしりつつもなをつたなきか

のたもうてあれこれかれとのたのたと

ひとひかりぬばたまのよにひとひかり

なすの実を焼きて味わふおのが身よ

ながれゆくしきのまとまにいりしをり

朝つゆに打たれておぼるアリありぬ

暑き日々寒気覚ゆるこの身かな

したたりてしみしみわたるあまのつゆ

ひとしれずひとひとしれずつたふひと

仮面とやつける面々ありなしや

ゆふぐれしおもふこころもさだかなし

ゆふぐれしさだかなりしやひとのかげ

過ぎ去りし思いのなかに彼岸花

そこかしこちいさきいのちいきしちに

ゆふぐれのかたちおぼろにまなことづ

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