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「闇の眼差し」

内容は下記の説明文にあるようによく使われる「精神衛生学」です。

感覚界の足場が消失した意識状態で自己を如何に持ちこたえられるか?

あらゆる分野で表現されている、近代以降より今日まで続く個人の受難劇の核となっているものです。

このある種の虚無空間とも謂える状況に個人は己の方向性を失ってしまう。

その意識状態、空間でのつぶやきとも捉える事が出来ます。

この詩の内容自体は決して健康な意識状態とはいえない。

ただ、精神衛生学としては有効である、というに留める。

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「闇の眼差し」(拙著 詩集・暗く淵より抜粋)


闇に融ける、この安らぎ、この郷愁に似た感覚を我は楽しむ

幼い頃、私は意味もなく闇を恐れていた
一切を無化する得体の知れぬもの

本能に宿った恐怖か?無意識に対する恐れか? 
その区別も定かならぬはるか昔……

今、闇の懐に抱かれた私は眠りを眠る。

真の闇を知る者にだけに与えられたこの甘美な至福
無――

恐れや畏怖は眠りの本質を理解し得ぬ者の幻想である

一度この闇の魔力に取り憑かれれば、安らぐことの蜜の甘さ、陶酔が全身を、魂を満たすであろう

久遠の闇は私を無に、全てにする

無常も無明も時に呪縛されることの無い此の空間
私は闇と化し、大いなる眼差しと化し一切を観、何も観ない……

生も死も無いこの無上の恍惚とした空間

一切と無

光は死に、時も死に、我も死に、意識も無と化し・・・・・・

闇の全てが私であり全てであり光でもあるこの空間、誰がこれを知り得よう。

誰が耐え得よう・・・・・・この漆黒の闇に――

私は闇と化し 眼差しと化す この・・・・・・


二〇〇〇年一月六日

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