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アフリカにおける日本企業の知名度-中国、日本、どっち? 

トヨタやソニーといった日本が誇る世界のブランドは、アフリカでもよく知られています。先日こちらでご紹介したように、アフリカでブランド調査を行うと、いくつかの日本ブランドが100位以内に入ってきます。

ただし・・・アフリカの人たちは、これらを日本のブランドだって認識してくれているのでしょうか?実は、中国のブランドと思っていない?また、アフリカといっても国によって違いがあるはず。そこで、

日本企業ブランドの認知度
・それが日本のブランドだと理解されているのか?

中国のブランドと認識されてしまっているのはどのブランド?
日本と中国に対して、どのようなイメージを抱いているか?

について、南アフリカ、ケニア、ナイジェリア、エジプト、コートジボワールの5カ国で調査しました。以下、弊社の自主調査の結果です。

南ア:日本といえば、自動車と電機。製造業に強いのは日本でなく中国

まずは、弊社も現地法人を持つ南アフリカの結果。南アフリカには、トヨタ、スズキ、いすゞ、日産などが古くから工場をおいており、かつてソニーの音響システムがばか売れしたこともありました。東芝やパナソニックも現地法人をもっていますし、富士フイルムはチェキを売っています。

なお、Alibaba、LG、Samsung、Tecno(中国携帯メーカー)、Softcare(中国おむつメーカー)、名創優品(中国雑貨チェーン)は、日本企業ではありませんが、対照のため入れています。

結果です。

©アフリカビジネスパートナーズ

トヨタの認知率は100%!スズキ、ホンダ、いすゞ、ヤマハ発動機、ソニー、キヤノンと、日本の自動車、電機のメジャーブランドは、9割を超える認知を得ています。任天堂も87%。ただし、キヤノンやソニー、パナソニックの「日本のブランドと理解されている比率」は低いです。トヨタさえ日本と認識していない人がいるとは。。逆接的に、南アではトヨタ車はシェアトップであまりにも普及しているため、一般的すぎて日本車だと思われていないのでしょうか。。。

ダイキン、サントリー、花王、ユニ・チャームの製品は、南アでも販売されていますが、これら消費者向けブランドの認知率は5割、日本企業と認識されているのはさらにその半分といったところです。

ユニクロは、アフリカではまだどの国でも販売されていません。ZARAやH&Mはアフリカでもよく知られているなか、世界のアパレルブランドとして知られているといいなと入れたのですが、やはりまだ認知されていないようです。

次に、日本のブランドと認識されているのか、中国のブランドと認識されているのかで並べてみると、最近南アで快進撃のスズキを筆頭に、やはり自動車は日本ブランドとしての認知で上位に並び、電機がそれに続きます。

©アフリカビジネスパートナーズ

ニコンのカメラは、南アでもハイエンドな商品として人気ですが、どの国のブランドかと問われると日本と中国が半々となってしまっています。資生堂も花王も半々ですね。

名創優品、いわゆるメイソウ、MINISOは、以前こちらでその面白さを記事にしましたが、ユニクロと無印とダイソーを混ぜて日本ブランドであるかのようにマーケティングしている中国の雑貨チェーンです。アフリカでも積極的に出店しており、南アではトラブルもありました。しかし、店舗であれほど変な日本語とともに「日本」を強く押し出しているというのに、消費者は意外と中国ブランドだと知っているようです。日本と中国の比率は同率でした。

最後に、南アの人は、日本にどのようなイメージを抱いているのでしょうか。

©アフリカビジネスパートナーズ

一番はやはり「自動車」のようですね。「信頼できる」は51%と意外と低いですが、「クールな」、「近代的な」といったイメージも維持できています。

しかし、「技術力に優れた」では中国と差が縮まり、「製造業に強い」では断然中国に負けてしまっています。世界の工場ですから当然ですが、中国は製造業の国と見えてるのですね。「アプリやITに強く」、「成長」しており、「パワフル」なのは、中国です。

意外だったのは、「若い」、「年配の」を見ると、中国より日本の方が若いイメージがあるようです。「伝統的な」も中国の方が高いですね。「停滞している」で日本を選んだ人が少なかったことに、ほっとしています。

ケニア:やっぱり自動車とバイク。長持ちするが価格は手頃でない日本

トヨタは、アフリカにおけるトヨタ車の販売を豊田通商に移管するとともに、インド製造のスズキ車を戦略車としてアフリカで販売しています。アフリカの多くの国で一般の人が乗る乗用車として主流な、100万円を切る中古車に対抗するためです。実際、スズキ車は中古車も含めアフリカでよく見られるようになりました。燃費がいいため、タクシーやUberなどの配車アプリ用でよく使われます。

そのスズキとトヨタが上位なのがケニア。9割近くが日本ブランドとして認識しています。ケニアでは、いすゞも工場をもって商用車を生産しており、ヤマハ発動機も組み立てを行っています。両社も、スズキ、トヨタと同程度の認知・日本としての認知率を保有しています。

5番目のTecnoは、いまやアフリカの携帯電話で最大シェアを持つ中国トランシオンの基幹ブランド。アフリカに特化する逆張り携帯メーカーとして、こちらで記事にしています。南アでは売られていませんが、ケニアではシェアが高いため、その結果が数値にそのまま出ています。

中国のeコマース、アリババの認知も、高いですね。個人でもアリババを使って衣料や美容品などを輸入して販売している人はよくいますし、企業もパッケージや機械などをアリババで買うことはよくあります。

ソフトバンクは、ビジョンファンドなどを通じてケニアやナイジェリアのスタートアップに投資しています。認知率7割という数値は、一般の人の目には触れない投資会社としては高い数値かもしれません。

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日本ブランドと認識されているのか、中国ブランドと認識されているのかを並べてみると、ケニアでは、ソニーやニコン、サントリーを中国ブランドと捉えている人が3割程度います。サントリーはケニアで、比較的シェアが高いエナジードリンクのライセンス販売を行っていますが、商品ブランドは知られていても、社名や日本企業であることはあまり知られていないようです。

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ケニアの人は日本に対してどのようなイメージを抱いているのでしょうか。「長持ちする」は、消費財のみならず、産業材においても、日本の商品について語られるときにいつも挙がる言葉です。「信頼できる」「本物の」「クールな」あたりまでは、日本のイメージと捉えられているようです。

しかし、「近代的な」以降は、中国に負けっっぱなしです。「価格が手頃な」では、日本に対してずいぶん不満がありそうです。「製造業に強い」「アプリやITに強い」のは、ここでも中国です。

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エジプト:クールで近代的な日本、かつて強かった家電ブランドが高い知名

エジプトでは、かつては「冷蔵庫や洗濯機といえば日本企業」と知られており、こちらの写真にあるように、売場では東芝やシャープがメインの場所を占めていました。いまではLGやSamsungなどにとってかわられていますが、まだブランドとしてはよく知られています。

東芝のブランド認知が97%と、スズキやトヨタとほぼ並ぶトップとなったのがエジプトです。シャープ、ソニー、キャノンも高い認知率です。

楽天、ソフトバンクも8割を超え、資生堂、サントリーの認知率も高いです。ただし、「これぞ日本企業」として知られているブランドはあまりないようです。全体的に、認知率は高く、日本企業として認知されている比率は低いです。

日本と中国を並べてみてみると、どうやら、どのブランドも、2~3割は中国ブランドと認識されているようです。ユニ・チャームは、エジプト工場でおむつと生理用品を製造しており、シェアも低くありませんが、企業ブランドはあまり知られていないようです。名創優品は、エジプトのモールにも複数入っており、いつも人で賑わっていますが、日本か中国かと聞かれると、「日本」と誤認している人は小差に留まります。

©アフリカビジネスパートナーズ

日本に抱くイメージはどうでしょうか。

©アフリカビジネスパートナーズ

「近代的な」が6割でトップ!嬉しいですね。「クールな」、「技術に優れた」、そして南アやケニアでは中国に持っていかれていた「アプリやITに強い」「製造業に強い」も5割を超えています。

逆に、南アやケニアでは強かった「自動車に強い」はそれほど高くないです。エジプトは他のアフリカと違って、日本車のシェアがそれほど高くないからかと思います。

「本物の」なども南アやケニアと比較するとあまり高くありませんね。エジプトにおける日本のイメージは、日本が一般的に持たれている堅実で固いイメージよりも、相対的に少しキラキラしたイメージがあるようです。エジプトにはكوكب اليابان(日本は惑星)という言葉があるように、印象はよいようです。

全5カ国の調査結果と結論

残るナイジェリア、コートジボワールの結果と、調査結果全体のまとめを、以下のリンク先から配布しています。性年齢別、所得階級別の結果もあり、こちらは有料にてご提供いたします。以下からお問い合わせ方法をご覧ください。


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