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知ってるとちょっと楽しい茶芸の話

 台湾のお茶屋さんなどに行くと店員さんがとても器用な手つきでお茶をいれてくれることがよくあります。台湾茶は試飲して買うのがごく当たり前のことなので、お茶やさんも手近なところに茶器を用意しておいて、いつでも気軽にお客さんへお茶を振る舞ってくれるんです。

 お茶のいれ方はお店によっても様々ですが実はある一定のルールがあるのをご存じでしょうか?

 そこで今回は、台湾茶のお店で供される「茶芸」のお話を少しさせていただきますね。



「茶芸」はお茶をおいしく煎れるお作法です

 茶芸と呼ばれるお茶の作法は茶葉屋さんから始まったとも言われる所作で、歴史はそれほど古くはなく近代に発展した文化です。

「自分のお店の茶葉をおいしく飲んでもらう」という事はお茶の販売に直結していたのかも知れません。

 お店の人はまず最初に「賞茶」といってお湯を注ぐ前の乾燥した茶葉をお客さんに見せてくれます。これは「これからいれるお茶はこんな茶葉なんですよ」と見てもらうためのもので、お客は見た目や色つや、香りなどを楽しみます。
 その茶葉をいれ手に返すと、沸かしたお湯ですぐにお茶をいれてくれます。この時、お湯の温度や状態をみて蒸らし時間を決めたりもしています。

 お茶のいれ方の作法は店それぞれですが、円を描くようにお湯を注いだり、茶器を回したりするのは歓迎の証。手招きを表しているとも言われています。実際のところはお湯を茶葉に馴染みやすくする意味合いも大きいとは思うんですけどね。

 蒸らし終わったあと、葢碗などでお茶をいれた時にはフタを渡されたり、鼻先に近づけてくれたりすることがあります。これは「賞香」といって香りを楽しむためのもの。聞香杯を使って香りを楽しむのと同じ効果があります。
 香りよい台湾茶は茶器に残る花のような香りも魅力ですので、ぜひ存分に香りを楽しんでください。

 お茶の提供は「奉茶」といって右側の客人から順に配られます。
 最後に手を添えて「どうぞ」とお茶を勧められたらお茶をゆっくりと飲んでください。台湾茶は茶器も熱くなっているのでヤケドにはくれぐれもお気をつけて。
 お店の方も味を確認するために一緒に飲む場合もありますが、これは不作法でもなんでもないので、お店の方と一緒にお茶を楽しんでくださいね。

 茶海(ピッチャー)の持ち手をこちら側に回してくれた時は「ご自分で注ぎ足してどうぞお飲みください」という合図。お店の方が2煎目以降を注ぎ足してくれる事も多いですが、気楽な席ではこのようなケースもあります。
 そのまま取って構いませんが、もし気になるようでしたら茶海を手にする前に一言「おかわりをいいですか?」と聞いてみても。
 きっと「どうぞどうぞ」と薦めてくださるはずです。

 台湾茶は1煎目だけでなく2煎目、3煎目の味や香りの変化も楽しむお茶。ぜひ2煎目以降の違いも楽しんで下さい。

 最後に「ごちそうさまでした」と言えばおしまい。日本語でも構いませんのでぜひ笑顔で言ってくださいね。

 店先に座って温かいお茶をいただく時間は至福の時。飲んだ茶葉は必ずしも買わなければならないわけではないので、お店の人に誘われたらぜひ気軽にお茶をお呼ばれしてみてくださいね。


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