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18きっぷの期間が始まった。最初の行先は神戸。人に出会う旅。

JRの青春18切符の使用期間が始まった。いつもだいたい7月20日の夏休み開始に合わせてスタートし、9月上旬くらいで使用期間が終わる。

なぜか私は、いつもほぼ決まって、買う。全部使いきれないこともあるのだが、なんか使いたいのだ。必ずしもお得ではないかもしれないが、せっかくあるなら、使ってどっか行きたい。

今年は滋賀の山にでも行くのもいいかもしれない。気持ちはどこか琵琶湖に向いている。瀬戸内まで行くのもいいかもしれない。

なんてことを思いながら、最初に使った行先は神戸だった。

神戸のトランスジェンダーのYさん、Sさん。私はいつも、彼らに励まされる。なんだろう、何か励まされる言葉を言ってくれるとか、そんなではない。
でも、彼らの存在、彼らの周りの空気、人たちに何か励まされている。いや、励まされる、というのは何ともわからない。当たっているようでいて、当たっていないかも。癒されると言っても何か違う。とらえどころのない感覚だ。

Yさん、Sさんからラインの連絡をもらって、電話をしてから、またお会いしたくなった。毎月、ハピネス交流会というものを神戸市内の公共施設で開いている。


ただ、それまでの連日あまり寝ていなかったこともあって、神戸に行けるだろうか…と思った。あと、生理前ということもあってなのか、身体がなんとなく重だるかった。電車の中でずっと寝ていると、まぁまぁあっという間に神戸に着いた。

琵琶湖は見ていてきれいだなと思うが、滋賀が以外と長い。福井を出て、敦賀まで1時間。そこから先は湖西線で近江塩津、近江中庄、高島、さらには比叡山坂本へと来ればもう、京都だ。京都に着いてしまうと、そこからはあっという間だ。高槻、新大阪、大阪、尼崎、芦屋、三宮、神戸。京都、大阪、神戸間は割とあっけない。瀬戸内まで行くとしたら、姫路以降がまた長いのだが。

でも、神戸駅に降り立ってみると、来てよかった、となんか思った。

私はやっぱり出かけることが好きだ。旅先で一人夜寝るころになると、なんか心細くなるときもあって、やっぱり猫のいる寝床がいいなと思うのだけど。

神戸は日帰りした。

旅というものが、だんだん人に出会う、人に会いに行くものになっている。どこかに行くとか景色を見るとか、そういうのはついでで、背景についているようなもので、あの人に会いたいという気持ちが私を出かけさせる。

日帰りは結構忙しい。それなりに、せっかく神戸に来たからと、Yさん、Sさんだけでなく、2軒目も行ってきた。
ハピネス交流会は2回目の参加なのに、だんだん慣れてきたような気がするから不思議だった。1回目の後、一緒に話をしていた男性はノンバイナリーと言っていて、1回目に会ったときよりももっとその人らしくなっているように感じた。ここでは、私が小学2年生のときに札幌の大通公園で見かけた女装した男性がうつろな表情で公園の噴水のよこで佇んでいるということはなかった。みんな笑顔で世間で言われるところの女装や男装をしていた。レズビアンであることもゲイであることも、ノンバイナリーであることも積極的であって全く問題なく、それが全然よかった。

福井でもこんな場があったらいいなと思った。
私はきっと、こんな場を作れるかもしれない。私は私一人からそんな場を作るのだ。それは福井でなくても、どこでもいい。今私がいる場でそんな場を私も再現していきたい。受け取ったものを私なりに表現したいなと思った。

その後、せっかく神戸に来たからにはと、知り合いのライターさんがオープンしたお店に行った。

それは抹茶のお店。


山陽電鉄月見山を出ると、あの喫茶店ポエムを名残惜しく通り過ぎて(次はこのオープン時を逃さないように絶対行きたい)歩いて数分だろうか、お寺の前に「茶千望」はあった。

茶と千、望と書いて、さちぼう。女性のニックネームのような感じもするし、漢字の組み合わせは和室の畳を思わせるような、その先に海が広がっているような広々とした景色を連想させるような、そんな響きが私の中にある。

抹茶を飲んだ時、そのすっきりとした味わいを感じて、彼女の話を聞いたとき、私はここに来てよかったなと思った。


茶千望の店主(左)と


人から元気をもらう旅だった。
人に会いに行って、人に元気をもらう。

呼ばれている感じとか招かれているとか、逆に招かれていない感じとか何かあるなと思う。これは感覚でしかないから、何とも言えないし、正解もない。
ただ、なんとなく行きたいから行くだろうし、受け入れてくれているのかなと思うと、より行きたくなる。
その感覚を大事にして、これからも人に会いに行きたい。
特定の誰かがもしいなかったとしても、きっとその先で出会えるかもしれないといつも思いながら、鈍行でゆらりと旅に出る。

電車内で、私と同じような人を見かけると、なんとなくうれしくなる。


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