私って嘘つけない女なのよね
ある会社に勤めていた時のこと。
人生初めての痔持ちになってしまい(いきなりの発表失礼)、その日はなんだかそれの具合がよくなかった。
元々大したものではなかったけど、体調くずしたり、ストレスがかかると忘れていたあいつがアピールしてくる。
オフィスワークで1日中座っているのもしんどくて、正直仕事どころではなく、帰りたいなーとずっと思っていた。
じゃあ、帰ればいいじゃん?
そう思うよね?
違うのよ。その時の私は今の私よりもずっと弱気な人で(人は見た目で判断してはダメよ)、帰りたいなんて言ったら怒られちゃうかな、でも帰りたいー、でもー、なんてぐるぐる頭の中でもがいていた。
そして、その職場は、大お局様がいて、怖くて怖くてとても言えなかった。
せっかくなので大お局様の話を少し。
キムタクが好きで、
ランチに納豆のパックと生卵を持ってきて、
制服のシャツの襟が黒ずんでて、
年末に私に自分の机の整理をさせて、
冷蔵庫に入ってる私の名前が書いてあるヨーグルトを食べて
私に現行犯で見つかる、というなんともなんともなお方。
月末には、怒りをまき散らし、机の引き出しはものすごい音を立てて開け閉めを繰り返す、電話の受話器はバウンドする。事務所には大お局様と私だけなので、営業さんは見かねて早く帰社してくれたり。私はちょっとした囚われの身なわけ。
そんな大お局様に早退しますなんて怖くて言えないけど、お尻の痛みがやばくて、上司に言って病院行かせてもらおうと思ったが、まさか痔ですなんて言えなくて、なんて言おうかしばらく考えていた。
お尻が痛いんですけど
→直接的すぎやな
もも裏が痛いんですけど
→もも裏って痛いことある?とか聞かれたらどうしよ
お腹痛いんですけど
→よし!これやな!なんか一般的で色々聞かれなさそう
病院行って早退させてもらおう。そうしよう。
セリフが決まったところで上司の元へ。
私: あのー、お尻が痛いんですけど。
はっ?私、お尻って言ってるやん!なんでよ!
上: どうした?
私: なんかお尻にできものができてて痛いので病院行かせてください
上: そっか、その後戻ってくる?
私: あ、はい
なんでー!戻る気ゼロやん私!
お尻って言ってしまって動揺して、
流れで、はいとか言ってしまったやーん。もう、やだー。
あー、マジなんなん。シミュレーションしたのにー。
しかも、お尻痛いって、できものできてるって、もう答えは1つやん。言い方変えて痔ですって言ってるやん。自分が意味わからん。なんで連想ゲームみたいなことしてんのよ。はぁ。
ちびまる子ちゃんみたいに顔はがびーんとなったまま、とりあえず病院へ。
応急処置的なものをしてもらい、病院を出る。
「おー!久しぶりー!」
声をかけてきたのは、元同僚だった。
「こんなところで何してんの?」
……いや、ここどこの前かわかってる?肛門科の前やで。何してんの?ってここから出てくるの見てたんやないんかい。もう連想ゲームの続きとかしたくないからね。
「いやぁ、まぁ。」
こう言うのがやっとだった。
痔持ちだと1日で2人に知られることになるとは。
そして、戻ると言ってしまったので、まだ痛いお尻を座席に付けることができず空気椅子で運転して会社に戻った。
戻ってからの記憶は全くない。
会社のみなさん、お元気ですか?
私の痔はもうすっかり姿を見せることはありません。って私の名誉のために伝えたいけど伝える術なしなので、ここでお伝えしときます。
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