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うまべぐ著 読みものコレクション

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エッセイ、コラム、ショート小説などを書いてます。現在休止中ですが、いつか復活しようと思っています。
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海は嫌い

小さな改札口を抜けると、都会とは異なる匂いがした。 土曜の午前にもかかわらず、陽射しが容…

短歌 入院中にて

ヘルプ三―この病室は踏切か?  迫る足音左から・・・右へ #短歌 #入院 #ナースコール #看護

最後の墓 (エッセイ)

『最後の墓』 昨日体験したことを書きました。 #エッセイ #墓参り #不思議な体験

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歳月

音もたてずにいつの間にか空にニョキっと現れた駅前にある巨大マンション建設現場の前を歩くと…

ひきこもり

木の葉ざわめく青山通りをゆっくり歩いた。 向こうからマリンブルーのジャケットをたなびかせ…

一芝居(ショートショート)

朝ご飯を済ませ、一人分の洗濯物をハンガーに干していた。 北関東に住む私は72歳になり、定年して悠々自適な夫と夫婦水入らずの生活になった。 40歳独身の息子は、勤務していた地元の自動車メーカー工場がこの街から撤退したため、2年前に東京のメーカーに転職した。そのときから息子は港区のマンションに一人暮らしするようになり、ここ一年帰ってくることはなかった。 夫は5日前から務めていた会社の元同僚たちと1週間、別府の温泉に出かけていた。 私はこのあと掃除を済ませたら、歩いて10分ほどのス

異空間(エッセイ)

納期が重なっていた別々の仕事を終えた。 業種は異なれどどちらも新技術と新製品、そして米国…

月曜日の盗難(ショートショート)

赤川はある食品会社の営業所に勤務していた。 その営業所の2階は独身寮、その上の階は社宅とな…

勝ったぞ、見てるかー! ~とっておきの名前~(ショートショート)

ムーンストーンが目の前を先頭で駆け抜ける。 栗毛のたてがみを風になびかせながら、尻尾をピ…

変わりゆくもの(エッセイ)

6人部屋へ戻ってきた俺たちは少しぶかぶかのスーツからジャージに着替えた。 だれもがうつむき…

できなかった乾杯 ~あこがれの元巨人軍多摩川グラウンド~(エッセイ)

梅雨の合間に、夕方のウオーキングを再開した。 これまでとルートを変え、車も人もあまり行き…

被害妄想(ショートショート)

トントン トントン ノックの音がした。 「こんな夜にだれだろう」 ベッドの枕元に置いてある目…

豆皿の上のかんぴょう巻き(ショートショート)

故人の遺影はぼくに話しかけてくるようだった。 葬儀場でお焼香が終わり、ぼくは高校時代の野球部仲間4人とともにとなりの部屋へ通された。 各テーブルに座る人たちはみな寿司をつまみながら厳かに歓談中だった。 ぼくたちと同世代のアラフォーらしき5人グループの参列者たちの横のテーブルが大きく空いていた。そこへ仲間たちと一緒に座る。 故人は高校時代、ぼくたち野球部のキャプテンだった。 地元で働く仲間がぼくの前の席に着くや否や口を開いた。 「おお、おまえら元気だったか?」 「ああ」 ぼくら