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友達だからこそ、踏みとどまって欲しかった

 今やアラサーな私ですが、大学生の時に出会い、今では腐れ縁とも言えるほどの仲になった友達がいます。とにかく陽気で、良くも悪くも大雑把な”ヨウ”と、周りに同調しがちで、流行り物が大好きな”マサ”。白黒はっきりし過ぎている私。そんな男3人に事件が起きました。

 まず、馴れ初め、というとゾワっとしますが、友達の友達から始まり、次第に仲良くなっていきました。大学生って、最初に話をした友達のグループから派生していくことが多いと思うので、特に変な出会い方ではなかったと思います。当時はLINEも流行っていなかったので、Twitterや携帯メールでやり取りをしていましたが、直接の連絡なんてほとんどしていませんでした。

 時は流れ、1年生の後期でヨウとマサが同じサークルになり、2人は以前より仲良くなっていっていました。私は少し遅れて、2年生の前期での実習授業でたまたまヨウとマサと同じグループになった時から3人で遊ぶことが増えていきました。遊びの企画のタネを持ってくるマサ、企画をスケジュールに落とす私、車を気持ちよく出してくれるヨウ。このバランスが非常に心地よく、海外旅行も3人で行くほどにまでなっていました。まあ、学部の卒業旅行で海外に行った時、ヨウは留年しており、卒業しないのに一緒に行っていました。

 結局、ヨウは2回留年した後、私とマサの大学院卒業と同時に学部を卒業し、同じタイミングで社会人になりました。ちなみに、ヨウを留年させないために、テスト対策や、実習の答えとかは渡していたんですよ!?でも「出し忘れたー」とか、「寝坊したー」とか言って、ちゃんとやらねーの。まあ、良いけど。笑

 社会人になってからも毎年1回以上は飲みに行き、今の仕事の未来を語ったり、恋愛事情を共有したりしていました。ヨウには、いい感じの女の子がいて、話をどう聞いても告白さえすれば付き合えるのに「いい友達」で終わってばかりでした。最後の押しが弱いんですよね。一方、マサは、他人の恋愛話には超前のめりで聞いてくるのですが、自分の話になればはぐらかして、深く聞かれないようにしていました。




そんな中、とある事件が起きました。


 みなさんは、「ネットワークビジネス」ってご存知でしょうか?自分を起点に、客(子)を増やし、商品を買ってもらうと、紹介料(リターン)が返ってくるものです。さらに、その客が別の客(孫)に商品を買ってもらうと、子の親である自分にもリターンが返ってくるというものです。

 これにマサがはまってしまいました。それからというもの、マサはただの飲み会の時にもスーツで来るようになりました。出張?と聞くと、「いや、仕事。」と答え、やたらと領収書をもらうようになって、雰囲気が変わっていました。もうこの時点で私は察しており、少し距離を取るようにしていました。それは、自分に勧誘をして欲しくなかったから。全く興味のない私は直線的に否定し、マサを傷つけ、友達でなくなってしまう気がしていたからです。

 その後のある日、ヨウとキャンプに2人で行き、いつものように仕事の夢とかをビールを飲みながら語っていました。お酒が進んだ時、思い切って、「マサからなんか誘われた?」と聞きました。するとヨウは「うん。」と小さく答えました。

 ああ、やっぱりか。ヨウは優しいもんな。

 そこで私は、「どうするん?」と聞いたら、「興味はないって言ってたけど、なんだかんだで全部話を聞いて終わったよ。」と。ヨウも少し辛そうでした。

 その日は遅くまでお酒をたくさん飲みました。


 そして、ついにその時が来てしまった。ある日、マサが21時頃に長文ライン。要は、「儲け話があるから、先輩と一緒に成功者の話を聞きに行かないか?」ってことでした。ヨウと話をした後、私はよくあるケースを事前に調べて、対応を予習していました。

私が徹底していたことは、
◆ハマっているものを否定しないこと。
◆勧誘は間違いだと言わないこと。
◆やらない!と突っぱねないこと。

 まずは使っているサイトを聞き出し、そのサイトで仕組んでいる儲けるシステムを理解する。儲けを得るための必要条件を整理する。紹介料を得るために売り込む商品を確認する。商品を確認し、その商品では自分には営業力が足りないことを説明する。紹介料を得るための自己資本が負担になるとアピールする。そのサイトの押しポイントは絶賛してあげる。自分が「儲け話を聞かなかったお馬鹿さん」に見えるように情けないアピールをする。

 これで、最後にマサから「ちゃんと誘ったからな?」と言わせて、その日の深夜2時に終了。

 いつかそんな儲け話なんかやめて、いつものマサに戻ってくれよ。と願いつつ、今まで通りの関係を意識して続けました。



その後

 先日、マサの結婚式にヨウと参加してきました。そこにはいつも通りのマサがいました。最近ではSNSの書き込みにもそういう系のリツイートもなくなり、足を洗ったのでしょう。その結婚式では私もヨウもマサも、いつも通りで楽しかった。これからもよろしくな!!


 友達だから誘いやすいけど、そのやり方次第で友達じゃなくなるかもしれない。
 「本当は踏みとどまって欲しかった。」そんな気持ちを伝えたくても、勧誘を受ける私たち側でそれを伝える伝え方、タイミングは考えてあげましょう。

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