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永島まなみ騎手神騎乗!ドスローなのに消耗戦?


 段々と春も近づいてきたような気候になってまいりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。競馬も春のクラシックに向けて着々と若いお馬さんたちが台頭してきまして、現実に有力候補が見え隠れするこの時期の競馬は楽しくて仕方がありません

 
 そんなクラシック候補馬に思いを募らせている日々ではありますが今回ご紹介したいお話はそんなお話とは現状無縁に近い未勝利戦でのお話です


 今回ご紹介したいレースは2月10日京都5R未勝利クラスの芝2000m戦です。このレースは永島まなみ騎手騎乗のテーオーダグラスが8番人気(単勝オッズ27.3倍)での勝利となりました


 このレースは中々に特殊なレースとなっておりまして、ラップ面からみて気づいた面白さを皆様と共有できればと思います。私もまだまだ未熟者なので明らかに思い違いをしているなどございましたらどしどしご指摘いただければと思います

 
 
 まずは自作(雑ですみません!)のラップ表をご覧ください

2/10京都5Rラップ(赤:京都5R 青:基準ラップ 緑:高低差の位置手書き)

 ラップ表の見方としましては左から右にかけてどのようなペースで進んだかを表しており、縦軸に関しましては下に行くほど速いペースになっているということになります

 京都2000mのおおよその流れ(表の青い線を参考)としては1コーナーまでが300mほどで、まずはそこまでに激しい先頭争いが行われペースが一気に上がります

 その後コーナーではある程度隊列が決まりながら進み、向こう正面では大体落ち着いた流れになります。ここで遅すぎたりしたら後ろから捲りが入ったりもするポイントです

 京都は第3コーナー手前から坂を上り、コーナー入り口辺りが坂の頂点となりそこから下りながらカーブを回ってくる形となります

 基本的には坂を上りきるまではペースを抑えながら下りに掛けて徐々にペースを上げてそのままの勢いで直線を走り抜けます

 直線は平坦ですが下りから持続的に脚を使う為比較的持続力のある脚を要求されます。今回は内回りですが外回りですと尚更その傾向が強くなります


もう一度同じグラフを貼りますが今度は赤のグラフ線を見てきましょう

2/10京都5Rラップ(赤:京都5R 青:基準ラップ 緑:高低差の位置手書き)


 青の線はスタート後に極端にペースが速くなっていることに対し赤の線は明らかに緩い流れとなっております。どの馬も積極的にハナ争いをせず、且つ永島騎手騎乗のテーオーダグラスがハナをとった直後にペースを緩めたようにみえます


 これにより1コーナー入り口では大渋滞が起き、後方にいた馬は前があまりにも遅すぎて外8頭分くらいの位置まで膨れてしまい大きなロスを被りました


 ちなみにこのレースのペース判定はおそらく「ドスロー」の判定となるでしょう。しかしここからが普通のレースとは違います


 永島まなみ騎手はレース後のコメントで「切れる馬ではないと聞いていたので積極的に運びました。初めて逃げて物見し、フラフラしましたが、よくしのいでくれました」とおっしゃっております

 このテーオーダグラスという馬はここまでの2戦でペースがある程度流れた中で中団にいても伸びず、ドスローのレースで中団にいても伸びずといったいまいち何が武器がわからない競馬をしてきました。ちなみに永島騎手はこのレースがテン乗り(初騎乗)となります


 この永島騎手の言葉の通り普通のレースなら向こう正面で上り坂を上りきるまでペースが落ち着くところをハナにいた永島騎手が残り1200mのところからペースを上げていきます


 映像で見てもわかるくらい明確に促してペースを上げているのが分かります。つまりこれは偶然のレースではなく永島騎手が作り出したレースと言えるでしょう


 普段はペースが落ち着く坂の上りですら加速しながらのラップになっており、残り400mまで常に加速しながらの全く息が入らない消耗戦となりました。特に普通では息が入りやすい上り坂で逆にペースを上げたギャップが後続馬の脚を奪ったといえるでしょう


 ここでさらに永島騎手を後押しするのが斤量差です。このレースでは54キロで出走出来ており、人気馬の中には減量騎手はおりません。2着にも斤量54キロの馬が入着しているように、このような消耗戦では軽斤量は大きな助けとなっていたことでしょう


 そして残り400、ここからゴールまでのラップは(11.5(残り600))ー11.8ー12.0減速ラップになっております。これはさすがに残り1200mから加速し続けていたことによる消耗と考えられるでしょう

 しかし一気に加速したわけではなく長い距離をじわじわと加速させていったことにより馬の消耗は最小限に抑えられたとも考えられます

 
 そしてテーオーダグラスは最後迫ってくる相手をクビ差でしのいでゴール!永島騎手は今年の4勝目を挙げました


ここで次の画像をご覧ください

2/10 京都5R結果(netkeiba様より引用)

 この画像からわかる通り上位人気馬が仲良く固まって着外に沈んでいます。これは消耗戦により本来なら発揮できているであろう直線での末脚を完全に削がれていたと言えるでしょう

これはよく言われている後ろの脚も消耗させる逃げであり、ここで沈んでしまった人気馬たちもまたレースの内容が変われば好走をみせてくれる馬もいることでしょう


※ここはかなり主観でもありますので参考にしていただかなくてもよいのですが、このレースはよくいるなんか先行出来て5着くらいには来ることもあるんだけど決め手がないんだよな~というお馬さんが活躍できたレースだと考えております。したがって終いのキレを要求されることの多い芝のレースでは力の全てを発揮し辛いのも現状で、ここでの好走も中々次につながらないということも十分に考えられます



 今回の勝ち馬以外では3着のタマモランプこのペースの中位置を上げつつも最後まで粘りこんだことで評価できる内容と言えるでしょう。さらに言うと斤量面での優遇もなく、持続力に長けた馬であると考えられます

 しかもこの馬はこれが初戦であり、ここからの伸びしろも感じさせてくれる馬だと考えております



 いかかでしたでしょうか。現在とても勢いに乗っており昨年は50勝をあげた永島騎手ですが、このような騎乗をすることでさらに馬主様からの信頼も得られ騎乗依頼も増えていくことでしょう

 このレースをみていてこの馬を勝たせるのはこういう騎乗でしか出来ないなと思わされましたので、この素晴らしい騎乗を皆さんにご紹介できればと思いここに記しました

 競馬歴の長い方にはなんてことないレースかもしれませんが、競馬を始めたての方や普段はラップなどを気にしないという方にもこのような形で面白さをお伝え出来たらと考えております

ドスロー」だったとしてもこういう形で直線勝負だけではなく消耗戦になる形もあることを知って楽しんでいただけたら幸いです

 

貴重なお時間をいただきましてありがとうございました
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