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ヴィクトリアマイル 全頭回顧



レース内容、ラップ

東京芝1600m Bコース
馬場:良
ペース:ミドル

200m 400m 600m 800m 1000m 1200m 1400m 1600m
 12.2      22.7      33.8     45.4       56.8        1:08.4      1:20.1     1:31.8
 12.2      10.5      11.1   11.6       11.4        11.6         11.7        11.7
                                                                                          (33.8-35.0)

レース回顧


 コンクシェルとフィールシンパシーが先団を引っ張り緩みのない競馬で進めていく。出遅れはナミュールとルージュリナージュ。ゲートも何頭かが暴れたためスムーズには開かなかった。暴れていたのはハーパーあたりか?
 先日行われた1400の京王杯スプリングカップの最初の3Fが34.8秒だったので今回の33.8はタフであり中盤も緩まなかったので前にいた馬にとっては厳しい競馬になってしまったと言える
 中団辺りの馬までは先団についていくような流れになっていたので展開としては後方で待機していた馬たちに向いたのだろう。直線では4番手にいたフィアスプライドが粘りこむなか中団の後ろに張り付いていたテンハッピーローズが見事に差し切り。後方からは良い脚を使ったルージュリナージュやモリアーナなどが差のない競馬でなだれ込んできた

全頭回顧

ライラック


スタートも決めて中団からの競馬。流れたペースに付き合うこともなく中団待機で、直線の位置取り的には勝ち馬のテンハッピーローズと同じ順位あたりからラチ沿いを進んでいった。しかし全く反応がなく14着。敗因としてはおそらく緩まないペースで息が入らず、もう少し長い距離じゃないと厳しいのだろう。前ではなく中団に下げてこれではもうマイルでは厳しいだろう


フィアスプライド(2着)


いいスタートからコンクシェルなどを行かせて4番手辺りからの競馬。かなりタフな競馬となり、前にいた馬達は全滅したのに対しこの馬は最後まで2着に粘りこんだことを考えると相当な評価をすべきだろう。マイラーなのでこういった流れに耐性があったとも捉えることはできる。本来なら自在にポジションを取れる馬なのでもう1列後ろでほんの少しでも脚を溜められていたのなら勝ちまであっただろう。同じ位置にいたスタニングローズが厳しくなっていることからみてもこの馬の能力は評価すべきだろう。地力が高いことが証明されたことで次からは中団辺りを狙って真っ向勝負を挑むだろう。今回はどちらかというと想定的にはスロー寄りになっていたので、鞍上も2強に対して内残りの馬場を活かそうとポジションをとったが裏目に出てしまったか


スタニングローズ


昨年のVMは出遅れて競馬にならなかった為スタートだけが不安だったがすんなり出て先団のポジションを確保した。しかしどちらかというとこの馬のスタートが良すぎたため、コンクシェルがハナを奪いきるのに手間取ってペースが上がってしまった面もあるだろう。ペースが速かったことを除けばスムーズな競馬が出来ており、展開的に垂れてはしまったが仕方がないと言えるだろう。フィアスプライドと比較すると物足りなさは映るのだが、そこはマイルへの適性面か。どちらかというともう少し距離がある息の入るコースで一瞬の決め手で粘りこむような形が理想なのだろう。マイルでもしっかりと良いポジションを確保できたことは収穫であり、今後の競馬でも前目からの予想を立てやすくなったことは収穫だろう。決して悪くはない競馬だったと言える


コンクシェル


もともとテンはそこまで速くないのだが今回も少し手間取ってしまった。スタニングローズが好スタートを切ったことによりそれを交わすためにペースを上げざるを得ず、ハナをしっかり取りきるまでに400mほど掛かってしまいペースを落とすことが出来なかった。3F33.8で入ってしまい、その後も息が入らなかったことから逃げたこの馬にはかなり厳しくなってしまった。この馬もやはりどこかで息を入れて展開利を取りたい馬だろう。直線に入った時点で全く脚が残っておらず自滅のような形になってしまった。やはりどんなレースでも強引にハナを奪いたいという騎乗は戦術の幅を狭めてしまうためこれからは軸とはしづらい馬だろう。1800あたりで展開的に緩めの流れになるのであればこの馬に向きそうか


ウンブライル


この馬に関してはしっかりと脚を溜めてこその馬で、展開待ちの馬であると考えていたのだが鞍上がスタートから促してポジションを取りに行ってしまったことがかなり裏目に出たと言える。もちろん鞍上も比較的ペースが緩むと踏んでの先行策だったのだろうが流れてしまい、この馬のいい脚を使う場面は訪れなかった。それでも6番手あたりの競馬から6着としぶとさは見せており、地力もついてきているのだと感じさせる。馬の得意な展開とポジショニングなどがかみ合っておらず、次もまた買いたいと思わせてくれる一頭だろう。今回後方からの競馬を選択していれば少なくとも馬券内はあっただろうと思わされる内容だった。これに関しては裏目に出てしまっただけなので仕方のないことだろう。フィアスプライドもそうだが、積極策に出るということは鞍上が二強に対して地力面で劣っていると想定していることからの1着を取る為の策なので全く責められるべきではないだろう。やはり脚を溜めてこその馬だと思わされる


マスクトディーヴァ(3着)


スタートは中団あたりから。道中サウンドビバーチェが外から被さるような形で狭くなることが多くスムーズではなかった。常に狭いこととペース的に流れたことが本質的に中距離辺りが適性のこの馬にはかみ合わなかったか。コーナーあたりでもじりじり遅れており鞍上に促されてもポジションは上げられなかった。直線では外目に回しながらドゥアイズとサウンドビバーチェの間をこじ開けようとしたが失敗し、内に切り返しながら加速しなんとか3着に滑り込んだ。スッと加速できるようなタイプではないため道中でのポジショニングなどでかなり後手を踏んでおりスムーズにはいかなかった。結果から鑑みるとこの馬はマイルではある程度外目の枠の方が競馬をしやすかっただろう。直線どんづまりしたにもかかわらず3着まで入ってきたのは地力の高さの証明であり、今後は距離を伸ばしながら決め手を存分に発揮できるようなレースを観たい。個人的には適性的に天皇賞秋、エリザベス女王杯あたりでの激走を期待したい


ハーパー


ゲート内で暴れており、もしかしたらその時に鼻出血など何かしらの異常を発症した可能性もある。中団後方からの競馬となり、直線では後方から追い上げを狙ったが全く反応なし。展開的には後方にいた馬に向いており、どの馬もある程度の脚は使えているのだが最下位で終わってしまった。ゲート内で尻もちに近いような姿勢になっていたことからなにか馬体に異常などが無ければよいが。タフな競馬であり、タフなこの馬にとっては展開的には向いていたであろうことから今回の凡走は残念だろう


サウンドビバーチェ


中団から積極的な競馬をしたが直線での手ごたえは鈍く、同じポジションにいた馬達と比較してかなり順位を落としていることから地力負けだと感じる。直線で挟まれたりもしたが、すでに手ごたえが無くなってしまっているからであり、この馬が失速したことでマスクトディーヴァなども難しい競馬になった。大きく垂れることはなかったが、もともとどこかで息を入れて上がりを使いたい馬であり、そういう意味では展開が向かなかったといえるだろう


テンハッピーローズ(1着)


ブービー人気での1着。津村騎手もG1初制覇とのことでまずはおめでとうございますと言わせていただきたい。1400をメインに使ってきた馬であり、今回の淀みのないペースが1400を主戦として走ってきたこの馬にピッタリ合った可能性が高く、コース取りも完璧で存分に力を発揮できたのだろう。今回のレースではずばぬけた脚を披露する必要もなく、全体の脚が削がれていく中でこういったペースに適応できたことが好走に繋がった。阪神牝馬Sはドスローの中でも0.4秒差、平均ペースだった京都牝馬も0.3秒差と堅実に走っており、近走は充実していたといえるのだろう。私は今回のレースをスローで想定をしていたため印を打ちませんでしたが、買えた方は本当におめでとうございます


ナミュール


スタートでかなり遅れてしまい、その時点で厳しかったか。そこからはロスなく内目で脚を溜めたが直線でも外に出せるような馬群の並びにならず、常に窮屈な競馬になってしまった。上がりはしっかりと使っているのだがどうにも最初のロスが厳しく、直線のスムーズにいかない上に最後は前が壁になってしまいどうしようもなかった。とはいえ直線はスムーズに行っていても厳しく、スタートの大出遅れが全てだろう。調教過程も緩めであり、次の安田記念辺りでの巻き返しを期待したい


ルージュリナージュ


かなりの出遅れから後方待機の決め打ち。展開的には向いて上がり最速を使いはしたのだが届かず5着。かなり展開面や適性面が向いたと考えており、G1で5着だからと次のレース過剰に人気してしまうと少し疑って考えるべきだろう。いい脚を持っているのは間違いはないがどうしても展開待ちの競馬となるだろう


キタウイング


後ろのインに位置取り完全な展開待ち。展開としては向いた上でこの着順だろう。今後かなりの成長をしないと重賞戦線では厳しいだろう


モリアーナ


位置取り的には後方で待機し展開としては向いたはずなのだが、やはり右回りの最後に急坂があるようなコースが得意なのだろう。東京の長い直線ではイマイチ最後までしっかりと脚を使いきれず、ラストは一緒の脚になってしまった。やはり中山や阪神など、最後の最後に前が垂れるようなところを差し込んでくるような形が一番イメージをしやすい。現状ではG1を押し切れるような地力はまだ無いといえるだろう


フィールシンパシー


絶好のスタートを切り、想定していたであろう番手からの競馬。しかしコンクシェルがハナを取るのに手間取ってしまいペースがあがってしまった。この馬もそれに付き合った為直線に入るころには手ごたえがなく逃げ馬と一緒にズルズル下がってしまった。外枠だったことも影響しただろうし、もともと展開利を活かしての好走が多かったので次走からも恵まれそうなレースでしっかりと抑えておくべきだろう


ドゥアイズ


全頭診断の際に消耗戦に向いていると書いた通り、この馬にとっては展開が向いたと言えるだろう。しかし少し積極的すぎたか道中からじりじりとポジションを上げながらの競馬となったため、いまいち良い上がりを使えなかった。鞍上も緩いペースを想定していただろうことからポジションを上げたのだろうが、動かずに脚を溜めるような形で我慢出来ていたらもっと着順を上げられただろう。展開さえ向けばG1でも上位に来られる地力の持ち主であると証明できた点は大きいだろう。逆にスローからの瞬発力勝負のようなレースになってしまうと持ち味が活きづらいだろう


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