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悪魔の喉笛を覗いてきた | 世界遺産、イグアス国立公園 #01

今から1年半前、私は南米アルゼンチンにある山奥の崖に立って、轟音を響かせるその滝壺を覗き込んでいた。

“Garganta del Diablo”、悪魔の喉笛と呼ばれる場所である。

先住民グアラニー族の聖地

ここイグアス国立公園には大小275の滝があって、中でも世界最大級のこの滝壺は別格と言える迫力だ。

今でこそ世界中から人々が集まる観光地になっているけれど、もともとは先住民グアラニー族にとっての神聖な場所だったらしい。
イグアスという名前も「大いなる水」を意味する現地の言葉に由来している。

トレッキングルートも観光用トロッコもない太古の昔に、かつての先住民たちもこの光景を目の当たりにしたであろうことを想像するとなんだか感慨深い。

落差80メートルはあるというその喉笛を覗き込むと、はるか下の滝壺に叩きつけられた無限の水が霧となって、ほとんど視界を遮るくらいもくもくと立ち上がってくる。そしてその先にはどこまでも生い茂るジャングル。

南米に来たんだと実感する

コンクリートの都市で生まれ育ったためか、異国情緒を目にするとつい記憶の中にあるディズニーシーのなにかと結びつけてしまうのだけれど(初めてベネチアに行った時もディズニーシーみたいという元も子もない喜び方をして友人に咎められた)、この日は以前ロストリバーデルタにあったミスティックリズムというショーを思い出していた。

開演前に鬱蒼とした森を模した舞台に霧が立ち込めて、どこからかジャングルの生き物たちの声が聞こえてくる、まさにあの雰囲気の中に来た気がしてちょっと胸が躍った。

ブラジル側とアルゼンチン側を歩く

さて、イグアス国立公園は2つの国にまたがっているので、ブラジル側とアルゼンチン側の両方から滝やトレッキングを楽しむことができる。

ジャガーがいるらしいので気をつけよう

悪魔の喉笛を覗きに行く場合は、アルゼンチン側をトレッキングすることになる。

アルゼンチン側の方がトレッキングルートは多く、比較的短いルートから長めのルートまで体調や年齢によって使い分けやすい。

足元はきちんと整備されており平坦なので歩きやすいのも嬉しいし、中には車椅子で向かう人や、まだ小さな赤ちゃんを抱っこして歩いている人なども。

ここはちょっとビックサンダーマウンテンぽい

一方、ブラジル側のルートは散策もしつつギリギリまで滝壺にも近づくことができるので、滝が落ちてくる様子や滝が作る虹を目の前で見ることができる。

ブラジル側、滝壺間近のルート

こちらも整備された道で歩きやすく、水しぶきを浴びながらの散策が心地良かった。

南米には滝行なんていう概念はないと思うけれど、これだけ大きな(しかも神聖な)滝の水しぶきを全身に浴びると、身も心も浄化されたような気持ちになった。

南米特有の生き物にも出会う
現地では害獣のハナグマ、一生懸命生きてる

今回はせっかくなら両方訪れたいと思ったので、ブラジル側に連泊して1日だけ日帰りでアルゼンチンへと向かう旅程に。

余談だけれど、アルゼンチンとの国境は当然ながら陸路で、入国審査は高速道路のICのような場所で行う。
思い返すと、陸路で国境を越える経験はもしかするとこれが初めてだったかもしれない。

よく考えると日本から外国に行く場合は必ず飛行機という一大イベントを挟むし、空港での待ち時間や長い入国審査の列もようやく超えて、他の国に着いた時にはやっと着いたぞーという達成感を感じるのが普通になっていた。

当たり前だけれど世界にはたった一歩で国が変わる場所が無数に存在していて、その一歩で国籍や言葉や人々の顔立ちが変わる、その不思議さを実感したのは、小さいながらも旅の醍醐味だったように思う。

じゃあどちらに行くべきか

もし旅程が許すのであれば、ブラジルとアルゼンチンの両方訪れることをおすすめしたい。同じ国立公園なので似たようなものと思うかもしれないけれど意外とそうではなく、それぞれに固有の体験ができる。

どちらかを選ばなければならないとしたら、悪魔の喉笛を見たい、またはトレッキングをたくさんしたい人はアルゼンチン側が良さそうだ。

そして滝全体の写真を撮りたい、散策も楽しみつつラグジュアリーホテルでゆっくりしたい人にはブラジル側がおすすめ。

実は、ブラジル側には国立公園内に五つ星ホテル《Belmond Hotel Das Cataratas》があり、それが今回の旅のもう一つの目的でもあった。

ここに宿泊すると深夜に滝を散策するフルムーンツアーに参加できたり、他の観光客のいない時間帯に絶景を一人占めできたりするメリットがある。

Belmond Hotel Das Cataratas

英語も通じ、アルゼンチン側へ行きたい場合には送迎や国境手続きなども手配してくれるのでとても心強いし、もちろん、リゾートホテルとしても一流のさまざまなサービスが楽しめる。

Belmont Hotelとフルムーンツアーについては次の記事にて詳しく記載するので、そちらもぜひ参考にしてしていただければ。

追記 旅の記録、はじめました

突然南米大陸から始まったこのnoteですが、旅行好きとして今しか行けないかもしれない旅の記録をどこかに残しておきたかったこと、ただ撮り溜めてきた無数の写真たちを成仏させたかったこともあり、記録をはじめることにしました。

誰かの目に触れるとしたら、世界にはこんな場所があるんだ、とか、この街にいつか行ってみたいな、と思えるようなきっかけになれたら嬉しく思います。

もちろん、次の旅先を探したり実際に旅行を考えている旅好きの方のお役にも立てれば、とても嬉しいです。

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