「異国への旅」をテーマに選ぶ、香りのアイテム7選 − 後半 − | 香りの記録 #02
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4. 香る瞑想、神秘的なジャングルの香り / COSTA BRASIL 《Jungle Complex》
森林浴の香りならなんとなく想像がつくけれど、ジャングルの香りと聞いたらどんなものを想像するだろう。
奥深く鬱蒼と茂った木々、霧と湿った土、熟して落ちた果実の芳香。
Jungle Complexはまさにそんなジャングルの要素が複雑に絡み合った香りだ。
初めに使ったのはとあるホテルでの滞在中。
瀟洒なシャワールームにずらりと並べられていたアメニティは、すべてCOSTA BRASILの製品だった。
Jungle Complexって?と思いながらシャワージェルを手に取ったときのちょっとした衝撃は今でも覚えている。
強制的に頭をしゃきっと切り替えられるような、鮮烈な香り。香りの強弱で言うと間違いなく強いのだけれど、同時にずっと嗅いでいたくなるほど魅惑的。
知っている中で例えるなら松の香りに近いかもしれない。松のようなスパイシーな香り高さにほんのり甘さと動物的なムスクを混ぜたような、複雑でセンシュアルな香りに感じた。
でもそれだけでは言い表せないのだ。やっぱりこれは嗅いだことのない未知の土地の香りなのだと思う。
COSTA BRASILの創立者はブラジル人デザイナー、フランシスコ・コスタ。彼はGUCCIやCalvin Kleinでのキャリアを経て祖国へ戻り、アマゾンへの旅でインスピレーションを受けてこのブランドを立ち上げた。
シャワージェルにはアマゾンの果物やナッツのオイルが数種類使われている。
アマゾンへの旅の香り。使うたびシャワールームがエキゾチックな香りに満たされて、目を閉じるとどこか遠いところに来たような気持ちになる、瞑想的な香りでもある。
せっかくこんなにセンセーショナルな香りに出会えたのだけれも、現在COSTA BRASILはブランドリニューアル中。この香りの製品はすでに在庫限りとなっていたことを知った。
となると、手元にあるこの1本を使い切ったらもう同じ香りに出会えることはないのかも。近々これは、幻の香りになってしまうかもしれない。
5. タイ、癒しのスパの香り / THANN 《Aromatic Wood》
こちらは友人からのプレゼントだった。
THANNはプレゼントで頂くことが多くて、ハンドクリーム、シャンプー、リンス…といろいろ使っているうちにすっかりお気に入りに。
中でも特に好きになったのが、このアロマティックウッドのボディクリーム。
初めはチャイのようなスパイシーな香りが立ち、そのあとで柑橘とウッドが心地よく広がる。爽やかさと甘さのバランスが良い、温かみを感じる香り。
ちょっとだけ寺院を感じさせるようなところがエキゾチックで、タイ生まれのブランドというところに納得する。
タイはいつか行ってみたい国の1つ。同じアジアにありながら全く違う気候、文化なのが面白いし、特にスパやリゾートなどの癒し分野がとても魅力的。
元々ウッディ系の香りが好きなのもあって、夜に落ち着く香りが欲しいときには保湿も兼ねてこれを塗っている。まるでスパにいるかのように癒される香り。
6. 眠れない夜のお守り / CRIS DIOS ORGANICS 《Repair Argan Oil》
寝ることが何より好きなロングスリーパーの私だけれど、それでも時折寝付けない夜は来る。
1つは寝すぎてもう寝られない時。
そしてもう1つはたくさん人と会って気疲れしてしまい、気が立っている夜だ。
そういう時は大体頭の中が止まらないレコードのように高速回転していて、スイッチを切ろうとしても言うことを聞かず、慣性の法則のように延々と回り続ける。
目を閉じるとその日見聞きした表情や声が繰り返し再生され、それどころか残響が洞窟のようにこだまして、とても眠るどころの騒ぎではない。そんな夜。
このとろっとしたやさしい感触のオイルを手に取って、香りを胸いっぱいに吸い込む。
イランイランとレモングラスのブレンドオイルなのだけれど、何か鎮静成分が入っているのではと思うくらい、毛羽立ってしまった気をやさしく宥めて落ち着かせてくれるのだ。
そして何より、即効性がある。
CRIS DIOS ORGANICSはブラジル生まれのオーガニックブランド。ナチュラルな素材にこだわり、精油を使った香りが印象的。
このオイルにはたまたま海外の美容院で出会ったのだけれど、今では旅先で知ったとは思えないほどしっくりきて手放せないものとなった。
ちなみに、こういうときにはクリームでもジェルでもなくてやはりオイルが良いのだと思う。じんわりと肌の温度に呼応して、とろけるような感触は境界を感じさせない。
デリケートな時にシームレスに体に溶け込んでくれるオイルは、これからも眠れない夜のお守りとして心強い味方でいてくれると思う。
7. 今は遠い街、故郷の香り / Diptyque 《TOKYO》
最後は、DiptyqueのTOKYOの香り。
前半で紹介したDO SON同様、家族がたまたま東京に出張した際に「いい香りのお土産」として買ってきてくれたもの。
Diptyqueは大好きだけれど、東京に住んでいたらこの香りを嗅ぐ機会はなかったかもしれない。
海外で暮らしていると、時々故郷がどこか遠い外国のように感じる時がある。だからこそ、故郷の名前がついた香りは特別だ。
火を灯すとお香にも似た、檜や苔のような香りがふわっと香る。これがフランスのメゾンによる東京のイメージだと思うとまた興味深い。
ひんやりする夜に灯せば、どことなく日本の秋を思い出させる香り。
また帰る日を楽しみに、少しずつ大切に使っている。
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