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創作のかけら

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写真のこと、本づくりのこと……..。展示のお知らせ、報告も。
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記事一覧

「福島」と12年、写真家として向き合って

2011年の東日本大震災以降、福島の写真を撮ってきました。これまでに4つのシリーズを制作、発表しています。写真家としての活動の中では、長いプロジェクトになりました。震災から12年目を迎えるにあたって、何を考えながら作品をつくってきたかを振り返りたいと思います。 なお、写真はすべてCONTAX645で撮影、フィルムはカラーはFUJI PRO400、モノクロはKodak TMAX400、上川崎和紙に乳剤を塗布してプリントしています。 東京から「自分に何が撮れる?」 2011

【展覧会レポ】写真と絵の二人展「Rafiki ~ともだち~」に見る「多様性の架け橋になるアートの力」

こんにちは、UMA(ゆま)です。きょうはとても幸せな気持ちになれる写真と絵の展示のご紹介です。 その展示、写真家の加藤直子さんと画家の木下晃希さんの二人展「Rafiki ~ともだち~ 動物を写す写真家と写真を写す画家と」は2023年5月5日から21日まで、京都の知恩院和順会館で開催されています。 同展では、加藤さんが撮影したアフリカの動物たちの写真と、その写真をもとに木下さんが描いた絵が約50点並べられています。 ふたりの出会いは約3年前、木下さんが加藤さんの写真集「S

【サイアノ(日光写真)に挑戦】プルシアンブルーの世界に宿るもの

こんにちは、UMA(ゆま)です。製本に関する投稿が続いていましたが、ひさしぶりに写真の話をさせてください。 私は2011年の東日本大震災以来、福島で写真を撮影、発表してきました。この1年は現地には行っていないのですが、終わりにしたというわけではなく、ここまで時間が過ぎたところで、もう一度、これまでの写真を見直したいと思っていました。 写真家の中には「作品は一度発表したらもう終わり。次を撮らないと」という人もいて、それもわからないわけではありません。でも、しつこいだけかもし

【フィルム族の苦悩】さよならコダック、よろしくイルフォード

こんにちは、UMA(ゆま)です。ひさしぶりに本業の写真の話をさせてください。といっても、興味のある方がどれだけいらっしゃるか、大いに疑問な「フィルム」のことです。 私は自分の作品づくりについては、いまでもフィルムカメラを使っています。愛機はCONTAX645という中判カメラです。もっぱらモノクロで撮るので、フィルムはコダックTMAX400。この組み合わせは、CONTAX645を手に入れた2007年から変わっていません。私にとっては安定の組み合わせです。 ところが、絶滅危惧

カメラを持ちかえると撮りたい桜の絵が変わる? sx-70とRX100IIIとF3と

こんにちは、UMA(ゆま)です。桜の季節ってやっぱり特別ですね。写真を撮る人にとってはシャッターを切る回数が圧倒的に多くなる季節でもあります。楽しいですよね! きょうは、カメラを持ちかえると、撮りたくなる桜の絵が変わりませんか?というお話をさせてください。歴代のカメラで撮ってきた写真を見ていると、ふとそんなことを思ったんです。最終形のイメージが変わるからでしょうか。 そんなわけで、ここからは、カメラごとにこれまで撮ってきた桜の写真を振り返ってみようと思います。どうぞよろし

【埼玉県東秩父村】和紙の里で楮の刈り取り体験

 もともと紙が好きです。とくに和紙が好きで、写真のプリントや写真集など、作品づくりにも使っています。今年は紙漉きにも挑戦しました。そうして、その奥深さを知り、ますます興味を深めていたところに「楮の刈り取り、やってみますか?」という嬉しいお誘いが舞い込みました。「行きます!」もちろん即答です。  うかがった先は埼玉県の東秩父村。外秩父の山々に囲まれた、自然豊かな村です。東秩父村は、隣接する小川町ともども、1300年以上の歴史を持つ和紙の里で、この地域で古典的な技法で漉かれた紙

イタリアで写真展に参加しました

こんにちは。UMA(ゆま)です。きょうは、イタリアで写真展に参加したので、そのお話をさせてください。FBで短いお知らせは随時していたので、それもはさみつつのご報告です。 その写真展は「North East South West - over the edge」という企画展で、イタリア国外の作家4名が10点ずつ展示をするというものでした。私のほかは、アメリカからDave Jordano、ナミビアからMargaret Courtney-Clarke 、ロシアからMaria Pl

【中判フィルムカメラと旅をする】人生初佐賀は唐津と呼子へ

こんにちは、UMA(ゆま)です。ひさしぶりに写真とカメラの話をさせてください。仕事で佐賀に行くことになったので、終わってから自分の写真を撮ろうと愛機CONTAX645を持っていきました。 人生初佐賀です。佐賀市内の仕事を終えてから唐津で一泊。虹の松原で夜明けを待っていると、スタンドアップ・パドル・サーフィンをする人+わんこがゆっくり唐津湾を横切っていきました。うちのコは水がダメだったけど、このジャック・ラッセル君はきっと犬かきが上手なんでしょうね。 バスにゆられて向かった

【和綴じ製本】写真展の作品を綴じて写真集を作る

こんにちは、UMA(ゆま)です。note投稿8回目になりました。まだまだサクサクとはいきませんが、今回もよろしくお願いします! 今日は、写真展で展示した作品をそのまま綴じて本にしたというお話をさせてください。 その写真展は、3月に新宿のお寺、経王寺で行った「記憶の方舟」です。2019年から2020年にかけて福島県大熊町で撮影した写真を展示しました。大熊町は福島第一原子力発電所の所在地で、被災地の中でも住民の帰還が最も困難な町の一つです。 私は震災以来、福島の写真を撮って

【モノクロ写真ドキュメンタリ 2021 東京】瓦解する夏

こんにちは。UMA(ゆま)です。note投稿7回目になりました。まだまだ不慣れ感がいっぱいですが、写真が多くても見てもらいやすいのかな?と思ったので、今回は写真多めでいってみます。よろしくお願いします。 「記録 東京 2021夏」 昨年の夏を覚えていますか? ついこの間のことのようにも、もう遠いことのようにも思える一年前。コロナ禍が始まってから時間の感覚がどこか変なのは私だけではないと思うのですが。 昨年の夏。それは、そのコロナが猛威をふるう中で、オリンピックが開催され

【道具のこだわり】なぜ、まだ、中判フィルムカメラなのか

こんにちは、UMA(ゆま)です。note投稿6回目になりました。まだまだ、キョロキョロしている感じで、自分が何を、誰に向かって書いているのかも定まっていない気がしていますが、そのうち、何か浮かび上がってくることを信じて、今日も書いてみます。 CONTAX 645との出会いは「一目惚れ」 今日は、時代に完全に逆行しつつ、なぜ、まだ、私は中判フィルムカメラを使っているのかをいうお話をさせてください。長く愛用している中判フィルムカメラ、CONTAX 645で撮った作品も合わせて

【札幌・小樽|撮りくらべ】デジカメ(α6400) x 写ルンです x 中判フィルムカメラ(CONTAX645)

こんにちは、UMA(ゆま)です。4回目の投稿です。まだ note 慣れしていませんが、続けていれば何か見えてくるかもと期待して、今日も書くだけ書いてみます。どうぞよろしくお願いします。 今日は「札幌と小樽を3種類のカメラで撮ってみた」というお話をさせてください。とはいっても、最初から「撮りくらべ」しようと意気込んでやったわけではなく、所用で札幌に行くにあたり、いつもの愛機 CONTAX645(中判フィルムカメラ)とサブ機の SONYα6400 に加えて、だいぶん前になんとな

【芸術祭参加記】「UNMANNED 無人駅の芸術祭/大井川2022」をふりかえって

こんにちは。UMA(ゆま)です。3回目の投稿です。note を始めてから、いろいろな方の記事を読んでいると、目的意識がはっきりしていてすごいなあ、と思ってしまいます。ふわふわっと書ける人は、またそれはそれですごいなあ、と。そんな中で身の置きどころがない感じですが、でもまた1回、書くだけ書こうと思います。 今日は今年3月に参加した芸術祭「UNMANNED 無人駅の芸術祭/大井川2022」(2022年2月25日(金)〜3月21日(月)、静岡県川根本町・島田市にて開催)のお話をさ

【お寺写真展開催記】「記憶の方舟」@経王寺(東京都新宿区)をふりかえって

こんにちは。UMA(ゆま)です。 「はじめまして」の投稿をしてから、あっというまに日にちが過ぎてしまいました。 転校先で一言挨拶したところまではいいものの、次のとっかかりがつかめない、そんな気持ちです。 でも、グズグズしているとさらに時間がたってしまうので、まずは、写真家としての自己紹介も兼ねて、3月にやった写真展のことを書いてみようと思います。 写真展のタイトルは「記憶の方舟ー福島県大熊町、大震災から11年、海辺の小さな原発立地町のいま」です。2022年3月18日か