サウジカップ2024考察

バーチャルサラブレッドのリュウタロウです。

現在YouTube活動休止中ではありますが、noteにてサウジカップの見解を記そうと思います。

①サウジカップで求められる性質の考察
②求められる性質に合致する好走血統の考察
③現時点での注目馬
④現時点での印と買い目

上記の4本立てでお届けします。


【求められる性質の考察】

サウジカップが行われるキングアブドゥルアジーズ競馬場/ダート1800mは「ワンターン競馬」かつ「最後の直線が500m」といった特徴がある。

これを聞くと「広いコースで脚を溜めて長い直線での末脚勝負」という日本の芝における主流条件と似たイメージが湧く。

実際昨年は芝馬のパンサラッサが勝利し、皐月賞馬のジオグリフも4着に健闘。それより前で見てもドバイシーマクラシックでクロノジェネシスとラヴズオンリーユーを負かしたミシュリフが勝利、ドバイターフで日本の有力馬を相手に完勝したベンバトルが3着といったように芝で実績を残す馬でも好走例がある。

しかしサウジカップにはダートの本場アメリカからも有力馬が参戦してくるため、序盤から速いラップの持続戦になり、「じっくり脚を溜めて末脚比べ」というレースにはなりにくい。

とはいえ最後の直線も長いので、米国のスピード要素オンリーだと最後甘くなってしまうケースが考えられる。

つまりサウジカップは「前半の速いラップへの対応力(追走力)」と、「最後の直線でも持続的に脚を使って伸びる要素」が必要となる『持続力型末脚勝負』になることが予想される。

実際「前年のチャンピオンズCで上がり2位以内の末脚を使って連対」→「サウジカップ参戦」というローテだった馬は6頭いるが全て馬券外に敗れている。

それも
・ゴールドドリーム(2020年6着)
・クリソベリル(2020年7着)
・チュウワウィザード(2021年9着)
・テーオーケインズ(2022年8着)
・クラウンプライド(2023年5着)
・ジュンライトボルト(2023年7着)
という素晴らしいメンツですら結果が出ていないので、スローペースになりやすく「じっくり溜めてから長い直線での末脚勝負」の傾向にあるチャンピオンズCはサウジカップと真逆の性質を有すると考えられる。

以上のように「芝馬でも好走可能」なことと、「チャンピオンズCで速い上がりを使って結果を出した馬が不振傾向」にあることが『サウジカップは持続力型末脚勝負』というのを証明しているように思える。

【好走血統の考察】

①父が大系統ミスプロ系(キンカメ系含む)

・過去4年の好走馬12頭中8頭が該当
・Machiavellian系→Dubawi系→Gone West系→キングカメハメハ系と異なる系統のミスプロ系で4連覇中

Gone West系であれば米国ダートの快速スピード色が強いので、アメリカからの有力馬参戦によって生み出されるペースへの対応という点で◎

特に決着タイムが最も速かった2021年は「母父Gone West系(3番人気)→父Gone West系(2番人気)→母父Gone West系(11番人気)」という結果になっており、2022年に12番人気ながらアメリカの有力馬を破った現地サウジのエンブレムロードも父Gone West系だった。特に相性の良い血統だと考えられる。

Machiavellian系、Dubawi系、キングカメハメハ系(Kingmambo系)については「米国ダートにおけるスピード◎のミスプロ系ながら欧州芝でも活躍が目立つ血統」という点で、「長い直線での伸びの要素」も求められるサウジカップにおいてプラスになっていると考えられる。

そのためミスプロ系の場合はどの系統になってもプラスになる可能性が高く、注目の血統系統と言える。

②5代血統表レベルで芝向きの要素(タフ寄り)を内包

過去4年の好走馬の血統表を見ると
・Alleged(その父Hoist the Flag)
・Special牝系の種牡馬(Sadler's WellsやNureyev)
・Never Bend系(RivermanやShirley Heights)
といった芝向きかつタフな要素を持っている血統が多く見られた。

特にAlleged内包馬からはパンサラッサやミシュリフといった芝実績のある勝ち馬を輩出しており、2021年に11番人気ながら3着に好走した馬もAllegedを内包していた。
※2020年勝ち馬マキシマムセキュリティはAllegedの父であるHoist the Flagを内包

Hoist the Flagはアメリカの2歳チャンピオンではあるが、その産駒のAllegedは凱旋門賞を連覇しているので、Allegedは「米国向きのスピード」と「芝向きのタフさ」を両立していると言え、サウジカップにおいて好相性なのだと思う。

Sadler's WellsやNever Bend系は言わずもがな日本の芝においてタフな条件で浮上する血統。

つまり前半から速いという「きついペースに対応するためのタフさ」と長い直線で求められる「芝での伸びの要素」を両方持っている血統を5代血統表レベルでちょっぴり内包しておくとサウジカップにおいては大きなプラスだと考えられる。

③上記を応用して考えられるその他の好走血統

サウジカップもまだ4回しか行われていないレースなので、「実は好走血統だった」という血統が隠れているかもしれない。

個人的に上記以外の血統であれば「デインヒル/Sharpen Up(非主流スピード血統)」と「Nijinsky(タフさ内包のスタミナ血統)」は評価して良いと思っている。

デインヒルとSharpen Upは東京新聞杯や関屋記念といった『持続力型末脚勝負』になりやすい重賞で好走血統として挙がってくることが多い血統で、速いラップの持続に長けていることからも、若干芝っぽい要素も求められるのであればマッチしてもおかしくない。

米国馬にデインヒル持ちは多くないため出走例も少ないが、2021年に11番人気で3着と穴をあけたGreat Scotは父がデインヒル系だった。

Sharpen Upについてはミシュリフとベンバトルといった芝馬を好走に導いている。

デインヒルとSharpen Up自体が欧州の短距離という持続力型末脚勝負になりやすい条件下で好成績を残している種牡馬なので、「速いラップの持続への対応力」と「芝での伸びの要素」では評価できるはず。

Nijinskyについては「タフさも内包しているスタミナ血統」という点で注目している。日本におけるスタミナ血統と言えばRobertoやNijinskyなどが挙がってくるが、タフさに関しては「Nijinsky>Roberto」という傾向にある。
※Robertoは「スピード志向も有するスタミナ血統」という印象

Nijinsky自体イギリス三冠を達成している馬でもあるので芝志向は十分。そのため厳しいペースで「タフさ」が求められても対応できる上、長い直線で各馬がバテてくる中でもバテずに持続的に脚を伸ばせる「スタミナ」を補完してくれると考えられる。

実際2022年に12番人気で勝利したエンブレムロードは父母父がNijinsky系の種牡馬だったので、こちらも軽視はできない血統だと思う。

【現時点での注目馬】

アメリカ勢注目馬:⑨ナショナルトレジャー

昨年アメリカ3冠の2戦目であるプリークネスSを制し、前走はペガサスワールドカップを勝利。アメリカ勢としてはホワイトアバリオに続く有力馬という位置づけの馬。

血統を見ていくと父Quality Roadは好相性のGone West系のミスプロ系で、2022年12番人気1着のエンブレムロードと同じ。本場アメリカのダート戦っぽい流れになっても対応可能な追走スピードは十分。

父母父のStrawberry Road(Nijinsky系)はオーストラリアで17勝を挙げ、G1も6勝(欧州2勝/豪州4勝)した馬。オーストラリア競馬は欧州血統が走る傾向にあるため、「欧州志向≒豪州志向」と考えて良い。そのため「タフさを内包したスタミナ血統」「長い直線で求められる芝向きの伸びの要素」という点ではプラスに働きそうな血統。

また母父のMedaglia d'Oroは米国型ではあるがSadler's Wells系の種牡馬。米国的なスピードがありつつも根源は欧州で大繁栄したSadler's Wells(芝向き/タフ)の要素があるのは良さそう。

これに加え父Quality Road×母父Medaglia d'Oroという配合により、Sir Ivorのクロスが発生している。Sir Ivorは短距離で強い血統となっていて、スプリンターズSや香港スプリントで注目の血統。つまり芝における「速いラップの持続」への対応力が高い。これはデインヒルと似たような性質と考えられるので、デインヒルがサウジカップに合いそうだと推測できるのならSir Ivorクロスも評価は上げて良さそう。

米国馬は「前半の速いラップへの対応力(追走力)」の部分は普通にクリアしてくるので、「ワンターン&長い直線」で求められる「芝向きの伸びの要素」を内包しているかが好走のポイントになってくる。

ホワイトアバリオに比べると「芝向きの伸びの要素」はナショナルトレジャーの方が優れているのでアメリカ勢の中では特に注目したい1頭。

※次点で挙げるのならHoist the Flagを内包しているセニョールバスカドールとホイストザゴールド

現地(サウジ)勢注目馬:①カーメルロード

父Quality Roadは好相性のGone West系のミスプロ系の種牡馬。同じサウジ勢として2022年に12番人気ながら勝利したエンブレムロードもQuality Road産駒だった。本場アメリカのダート戦っぽい流れになっても対応可能な追走スピードは十分。

父母父のStrawberry Road(Nijinsky系)はオーストラリアで17勝を挙げ、G1も6勝(欧州2勝/豪州4勝)した馬。オーストラリア競馬は欧州血統が走る傾向にあるため、「欧州志向≒豪州志向」と考えて良い。そのため「タフさを内包したスタミナ血統」「長い直線で求められる芝向きの伸びの要素」という点ではプラスに働きそうな血統。

父父のElusive Qualityが内包しているSir Ivorはスピード持続に長けた血統なので、持続型末脚勝負に対応できる要素も補完されていると言える。

母父のUnbridled's SongはFappiano系のミスプロ系で、好走数という観点であればGone West系の次に相性が良さそうなミスプロ系。血統表全体を見ても「スピード要素が十分」ながらも「芝向きの伸びの要素」も内包しているというサウジカップにおいて好相性の配合をしている点は評価できる。

ちなみに母母のProposalは先ほど触れたナショナルトレジャーの母母と同じ。つまりナショナルトレジャーとは従兄弟関係にある。

実績を見るとアメリカG2で2着が1回あるのと前走リステッド競走を勝利したぐらいで見劣りするが、前走のキングファイサルカップは2着に1.4秒差をつける圧勝でかなり強かった。

加えて「キングファイサルカップ勝利→サウジカップ勝利」という結果を残したエンブレムロードの勝ちタイムが1:39.77に対しカーメルロードの勝ちタイムは1:36.15と圧倒的に速い。

馬場の違いもあるので単純に比較はできないが着差をつけた圧勝での好タイムであることは事実なので評価できる内容だったと思う。

鞍上のオスピーナ騎手はカーメルロード以外にも、コンビでOP→重賞→Lを3連勝中のパワーインナンバーズというお手馬もいたが、カーメルロードの方を選択したことからも、一発が期待できそう。

血統面と前走を見たら非常に面白そうな1頭だと思ったので、サウジ勢だからと言ってオッズがかなり落ちるのであれば単勝もコッソリ握っておきたい。

日本勢注目馬:④デルマソトガケ

正直今年の日本勢は「買い要素盛りだくさん!」みたいな買いやすい馬がいない印象。血統面での加点材料が大きいのはデルマソトガケとレモンポップなのだが、明確な懸念点もある。

デルマソトガケは輸送中に他の馬に噛まれて顔の右側が腫れるというアクシデントがあり、それがレースにどこまで影響するのかが不安。力を発揮せず終わってしまうかもしれない。

ただ逆を言えば不安要素はそのぐらいで、アクシデントのニュースがなければ一番買いやすい日本馬だったと思う。

父のマインドユアビスケッツはドバイゴールデンシャヒーン連覇などダート短距離で結果を残した快速馬。ミスプロ系ではないので大きな加点にはならないが、前半の速いラップへの対応力は有しているはず。

実際前走のブリーダーズカップクラシックでは本場アメリカのダートレースでも4番手と先行して2着という結果を残した。

そして注目したいのが母父ネオユニヴァースでSharpen Upを内包している点。今年の東京新聞杯でもSharpen Up持ちのワンツーになったことからも「持続力型末脚勝負」の要素が増すのなら評価したい血統。

そのため「本場アメリカのBCクラシック」で2着に来ているのなら、「ワンターン&長い直線」に変わり「芝向きの伸びの要素」と「持続力型末脚勝負の要素」が追加で求められるサウジカップではSharpen Upのおかげでパフォーマンスを上げてきそう。

前述のアクシデントの影響がないことを切に願うのみ。

その他日本馬の印象

レモンポップについては父ミスプロ系かつ母母がデインヒルの全妹という点で評価できるのだが、「前走チャンピオンズCを上がり2位の末脚で1着」というのがサウジカップに繋がらないローテ。

そこは十分な懸念点にはなるのだが、チャンピオンズC前は過去走の結果から「じっくり脚を溜めて末脚勝負」よりも「道中持続的なラップが刻まれる展開」の方が合っているのではないかと考えていたので、血統背景も踏まえるとサウジカップで求められる適性には合っている1頭だと見ている。

だからこそ前走でサウジカップと真逆の適性が求められるレースを経験してしまったのが悔やまれる。激変するペースに戸惑ってしまう可能性もある。

ただ日本馬の中では安直に「危険な人気馬」認定されそうな印象もあるので、その結果単勝オッズがつくのであれば単勝を買っても良いと思う。前走でサウジカップと真逆なレースを経験してしまっただけで、世間が思っているよりはサウジカップ向きの馬だと思う。

ウシュバテソーロは母父キングカメハメハなのでSpecial牝系の種牡馬であるNureyevを内包している。そのためワンターン競馬で直線が長くなり芝向きの伸びの要素を持っているのはプラス。凱旋門賞で2年連続2着に好走したオルフェーヴルの産駒でもあるので、タフさは十分に内包している点もAllegedやSadler's Wellsが台頭するサウジカップにおいては追い風になるはず。

ただBCクラシックで5着に敗れている通り、本場アメリカっぽいペースへの対応力がカギになる。コース替わりでBCクラシックよりはパフォーマンスを上げそうだが、前走の東京大賞典はスローペースでじっくり脚を溜めて末脚を発揮するようなレースになってしまったため、ローテの面での加点材料は薄い。コース替わりでの上積み要素と能力面を考えれば馬券内の可能性は十分にあるが、勝ち切るには前がどれだけ潰れるかにかかっている。

クラウンプライドも母父キングカメハメハなのでSpecial牝系の種牡馬であるNureyevを内包している。加えてLyphard系のダンシングブレーヴも内包しているため、長い直線で求められる芝向きの伸び・末脚の要素という点では評価できる。しかし「タフさ」や「持続力型末脚勝負への対応力」という観点では他の日本馬に比べて劣る。

昨年は「前年のチャンピオンズCで上がり2位の末脚で2着」→「サウジカップ本番では5着」という結果に終わったが、今回はサウジカップと真逆の性質と考えられる前年のチャンピオンズCで結果が出なかった。昨年のサウジカップやドバイWCでパンサラッサが作った激流を経験したという点では去年より好走する可能性はありそう。ただ他の日本馬より買い要素は少ない印象。

メイショウハリオはAllegedとNever Bendを母系に内包しており、芝向きのタフ血統を内包しているという点で非常に評価できる1頭だったのだが、残念ながら回避と発表があった。無事に帰ってきて欲しい。

【現時点での印】

◎①カーメルロード
○⑨ナショナルトレジャー
▲④デルマソトガケ
△⑦レモンポップ

☆⑫セニョールバスカドール
☆⑬ウシュバテソーロ
☆もう1~3頭追加予定

予定している買い目
・単勝◎
・三連複◎ー○▲△ー印(☆が5頭なら18点)

海外競馬なので人気のない海外馬から馬券を組み立てて「当たればラッキー」の精神でいきたい。

三連複の3列目にしか入らない☆については最大5頭まで選択予定だが最後まで悩みたい。

「サウジカップでこそ買いたい!」というわけではないが日本馬の中でも好走は十分可能であるウシュバテソーロと、Hoist the Flag持ちの2頭の中で近走G1でも好走しているセニョールバスカドールは☆確定。

それ以外は去年よりは好走できるかもしれないクラウンプライド、もう1頭のHoist the Flag持ちのホイストザゴールド、紐抜けを警戒して保険のホワイトアバリオが現状残り3枠の筆頭候補だが、最後まで検討したい。

【終わりに】

長くなりましたが以上がサウジカップの見解となります。

今回は軽く調べたら面白くなっちゃってnoteを書きましたが、基本的に活動休止中は気が向いたらTwitterで見解を投げるスタンスでやっております。「このレースの見解お願いします!」というのは「必要とされている嬉しさ」よりも「活動休止中で何もできていない現実を押し付けられてプレッシャーに感じる」側面の方が圧倒的に大きいので、YouTube活動を再開するまではそういったご要望は控えていただけると非常に助かります。

活動休止のお知らせにもある通り、このまま問題がなければ今年の5月のどこかで復活する予定です。それまで気長に待っていただけると私としても嬉しいです。

それでは今週も競馬を楽しんでいきましょう🐴

P.S.
記事の中でも名前が挙がったベンバトルは今ビッグレッドファームで種牡馬をやっています。その初年度産駒のクードヴァンの2023がラフィアンの早期募集で募集されていて募集開始数日で満口になりました。つまり何が言いたいかというと出資しました対戦よろしくお願いします。