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【最適化】ここが不思議だよ、日本の医療。医療系ワーママが入院して感じたこと②

自分は医療者ですが、第一子の時に正常分娩(自費)で入院した以外は入院経験がなく、今回の切迫早産で初めて医療保険で入院しました。

退院時に、医療費の領収書・明細書を見て気づいた発見と不思議に感じたことをお伝えしたいと思います。

●健康保険と「保険適応外」

まず、日本は「国民皆保険制度」により、公的保険に加入することが必須です。
逆に、健康保険に加入していることで、ほとんどの医療を3割負担以下で受けることができます。

では、「保険適応外」とは何でしょうか?
「保険適応外」=健康保険が適応されないものです。
基本的に10割自己負担になります。

具体的には、

・自由診療
・正常分娩
・予防接種
・評価療養(先進医療、医薬品・医療機器の治験など)
・選定療養(差額ベッド代、時間外診療、初診・再診料※病院による)
・入院中の食事代・日用品代

こう見ると、「保険内」の入院でも、食事代や差額ベッド代は毎日10割負担で発生することが分かります。
特に、差額ベッド代は¥5000-¥20000/泊ですので、切迫早産などいつ退院になるか分からない身としてはとても怖くて、個室は希望しませんでした。

●高額療養費制度とその注意点

では、入院日数や病気によって3割負担だとしても際限なく医療費がかかってしまうのかというと、そうではありません。日本には、「高額療養費制度」というものがあります。

「高額療養費制度」とは、
健康保険に加入している人であれば誰でも、「自己負担の上限が決まる」、というものです。自己負担額は年齢や収入に応じて異なります。(月1万5000円くらいから20万円くらいまで幅があります)

素晴らしい、セーフティネットですが、注意点が3つあります。
①月毎にリセットされる
②「保険適応外」の料金は別
③事前 or 事後の申請が必要

です。

それぞれについて補足します。

①月毎にリセットされる
「1回の入院に対する上限」ではなく「1ヶ月に支払う上限」が決まっているだけです。
なので、月をまたぐ入院の際には注意が必要です。

②「保険適応外」の料金は別
前項でお伝えした、「保険適応外」の料金は上限額には含まれません。
なので、「月10万までの支払いでいいはず」と思っていても、差額ベッド代や食事代により、高額になっていく可能性があります。

③事前 or 事後の申請が必要
最後の注意点は、「申請が必要」ということです!健康保険に加入していれば誰でも受けられるセーフティネットですが、申請は必要です。
申請方法は大きく3つです。

1. 事前 「マイナ保険証(健康保険証利用登録を行ったマイナンバーカード) 」→医療機関でマイナ保険証を提出し、「限度額情報の表示」に同意する→支払う時点で既に限度額までとなる

2. 事前 「限度額適応認定証」 →事前に健康保険組合に申請し、ゲットした限度額適応認定証を医療機関に提出する→支払う時点で既に限度額までとなる

3. 事後「健康保険高額療養費支給申請書」&領収書を加入している健康保険へ申請→後日還付(3ヶ月後くらい) ※退院時には一旦支払う必要あり。申請期限あり

です。
妊婦界隈では、「緊急の入院に備えて『限度額適応認定証』をゲットしておこう」みたいなSNSをよく見て知ってはいました。
また、医療者として、高額療養費制度について患者さんに説明することはありましたが、具体的な申請方法は知りませんでした。

そして、今回驚いたのは、自分が退院した時の明細書で既に「限度額が適応されていた」ことです!
私は事前に「限度額適応認定証」は持っていなかったので、入院中、「退院したら、健康保険組合に申請書と領収書を出して還付を受けなきゃなぁ」なんて思っていました。しかし、実際領収書を見てみたら適応されていたので、覚えはないんですが、「マイナ保険証」を提出していたようです。便利でした。

●「保険適応外」のはずの食事代、でも「保険内」の部分もある?!

最後はマイナーですが、初めて知った食事代についてです。

食事代は「保険適応外」なので、10割負担とお伝えしましたし、高額療養費の適応にはなりません。
ですが、正確には、
食事代=標準負担額(自費)+ 入院食事療養費(保険給付)
なのです。

なので、10割負担かと思いきや、一部健康保険から約3割分、補助が出ています。

具体的には1食あたり全国一律
食事代¥640=標準負担額¥460(自費)+入院食事療養費¥180(保険給付)
※所得区分 一般の例です

ですので、自費で、高額療養費とは別の食事代としては、¥460/食、10日間30食食べたとすると、¥13800かかります。

ちなみに、食費は2024年6月に1997年ぶりの改訂で¥30円値上げされ、
食事代¥670=標準負担額¥490(自費)+入院食事療養費¥180(保険給付)

となります。
保険から給付される分があるということに大変驚きました!
とはいえ、長期入院となる場合、高額療養費の適応外なので、ちりつもで、地味に痛い出費ですよね。

余談ですが、自分が入院した病院では、産科食費として、おやつ代なのか、さらに自費で¥380/日かかりました。なので、¥1760/日の支払いですね。



今回、入院してみて初めて、不思議に思ったことがたくさんあり、いろいろ調べました。
医療制度は、複雑かつ謎ルールが多いですね。つぎはぎだらけで整備できなくなっているように感じました。

医療費がどんどん増えていく中、医療制度自体が効率的に、シンプルになる日がくるといいなぁと思います。

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