好きと交際はまた別

人生の基本的な指針を決めたのは14歳頃に交際していた元彼との関わりの内でだと思う。

頑張らないより頑張る方が良い
知らないより知ってから判断したら良い
持たないより持ってから手放せば良い

資源を得られそうなら得る、コンボを決められそうなら決める、王道や強い選択肢を切りつつ機会があれば積極的に取りに行く、成長の為に難しい課題にチャレンジする…

そういう指針が正と思っていて、実際その指針で報酬系を構築しその指針で選好し続け、バイアスをかけ続けている。

一方で、恐らく元来の気質としては、日常の馴染みあるルーチンを毎日黙々とこなして自分の生活を守ることの方を好むと思う。

この上なく臆病なのに、「張れるだけ張る⇔自己不信・不全感」の両輪で前進しているから、自分の意志とか自己実現の内容なんていうのは時代次第で、とにかくいつも次の手を見ながら、合意や合理を基準に、最も効果の高いことを効果の高い時期に売り買いするだけである。

無駄が多いとか自分の好きなことをしているとか好奇心旺盛という表現を良くされるし別にそれは構わないのだけど(そう思われても現状特に困らないので)、それは違くて、みなさんがこれからトレンドにするであろうことを先行して真似しているだけなのである。

私は性格が悪くて頭が良いのではなく、極めて性格が良くて極めて頭が悪いのだ。私は物事を振り回しているわけではなく、振り回させられている。

価値があるとされる/されそうなもののてっぺんで、価値があれば「みんなやったほうがいいよーーーーーーーー」価値がなければ「みんなーーーこれ意味なかったよーーーーーーーーーー」と絶叫したいだけなのだ。
人生は短い。

そういう指針を決めるに大きく影響した元彼はやはり私と同様、ハングリー精神とアンチテーゼ精神を持ち、競争性を持って手段を問わないからそういう類のアメリカンスマイルを浮かべて使えそうな他者に社交しに行く貪欲で豪快で強靭な"開拓者"であった。

しかし私はそうする方が良いと設定したからそうしているだけで、気質から開拓者のわけではないし、例えば人に対しては誰に対してももう少し追従的、様子見、柔和でやんわりと考えを伝えるエネルギーが低めのコミュニケーションを取るなど、目標は似ていても多少自分にとってやりやすいオリジナルが入っているから、気質からして気合の入った開拓者たちには敬意と憧れがある。

要は好きなのだ。
好み、タイプ、一目置く、言葉に耳を傾けてしまう、尊敬するパートナー、話が合う、もっと話したい、話を聞きたい、参考にしたい、追いつきたい、そういう風に思う。

そして彼らとしても私の人当たりの良さ、独創性、エネルギーの高さ、興味関心の方向、彼らに似ているのに彼らが取らない選択肢を取る、採集型ではなく狩猟型の成果の取り方なので時に予想以上の成果を上げる、彼らの選択しない分野で成果を上げやすい、こういうところが刺激であり好ましいのではないかなと思う。

要は、関係性が上手くいきやすいと思う。
安定感と活性化が両立する関係性だからだ。

ただ、(私は自然な自己像というのもブッ壊してしまったが)自然な自己像は非常に非活発的なので、彼らのような開拓者と自然な自己像とは相性が合っていないようにと思う。自分を殺さないと好きにもならないだろうけど、自分を殺したら好きになるわけにもいかなくなった。

また、自分の好みや居心地で相手を決めることは「巨乳好き」と同じような思考回路だと思っている。ああ、いや、巨乳好きの皆さんにおかれては別に好きに選べば良いが、「相手選び」というゲーム上、自分の癒やしや満足感などQOL向上の為の要素が入るのはあまり良い手では無いと思う。自分という変数は他で幾らでも変えようがあるからだ。相手選びにおいては、交配や友達では成り立たない要素からカードを切ることががこのゲーム上無駄がなく適切と言えると思っている。

彼らのような開拓者をサンプリングして不自然に自分を捻じ曲げたら、そこから自分の思想が自生してきて、本来の私が選びそうな人間を遠ざけていることはどうなんだろうと思う。どうなんだろうと思っても自分の選択を変える気は毛頭ないから考える必要がないのだけど。

ロクに自分が無いから、自分が好きそうな人にアプローチすることもままならない。私は性格が悪くて頭が良いのではなく、極めて性格が良くて極めて頭が悪いのだ。私は物事を振り回しているわけではなく、振り回させられている。自分を殺さないと好きにもならないだろうけど、自分を殺したら好きになるわけにもいかなくなった。肩肘張って良い機会をみすみすと逃す。私じゃ目標を立てらんないから次のトレンドをはやく感知したい。

交際相手以外にも、いろいろなものへの付き合い方がそんな感じだ。そのたびに存在しない体の部位が痛む気がするけど、存在しないから至って痛くなりようがない。

交際という選択は今生じゃ決して取らないけど、相当好んでいることは、人生が数回あれば必ず相当上手くいっているはずであることは、どこかに記録しておきたくなった。矛盾が出たいのにあまり出ないのだ。隠すまでもなく出るはずの感情が出てこないからそれはそれでやや不安になった。己への慈悲として死人のない墓を掘って焼香をあげてやる。高次元並行世界の私から低次元のラブコール。

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