【感想未満】映画「君たちはどう生きるか」

 上映開始3日後に観てきました。まだ多くの人がネタバレを控えて口を噤んでいた頃かと思います。
 ジブリ映画は金ローやDVDで一通り観ており、どれもそれなりに好きだなというレベルのファンです。監督自身や制作会社にはさほど詳しくないというのが正直なところ。

 今まで映画館でジブリ映画を観てこなかったのになぜ今回は劇場に足を運ぼうと思ったのか?
 まず1つ、これは本当どうでもいい個人的なことですが、映画館に行くという習慣がなくて初めて映画館行ったの18とかなんですよ…。10年経ってない。なぜか分からないけど映画を観に行くのってすごいハードルの高いことだと思っていて、友人に連れられて行ってみて凄く気軽なエンタメなのだと知った。なのでこれが映画館デビューしてから初めての宮崎駿のジブリ作品なのであります。公開間もないリアルタイムでジブリを見るという体験をいっぺんしてみたかった。

 次に、全く情報が無いものを知りに行くって、人生でそうそう無いすごいことだなと思って。宮崎駿作品だということとタイトルと、謎の鳥みたいなポスタービジュアルは分かっていたけどそれぞれの関係性が全く分からない。
 普通は何か作品に触れるとき、あらすじとかキャラクターとか、あるいは漫画やアニメなら絵柄、そしてそれらの要素からなんとなく内容を汲み取って「触れるかどうか」を選ぶと思う。でも今回はそんな先入観が全く無い状態で、少しでも見てしまったらもう終わりまで見たも同然なんじゃないかという感覚すらする。
 厳密に言えば「宮崎駿作品」という最大の先入観はあるわけなんですけどね…。もしもこれが聞いたことのなく評価も知らない監督の作品で同じ事前情報の量なら「ふーん」と流して終わっていたかもしれないから。なんだかんだでジブリだから気になったというのは大いにありました。

 そして最後に、話題性。というのは周囲に「観てきたよ!」という報告をしたいという意味ではなく(してるんだけど)、先述のように情報が無いものを観た人々がどのような感想を持つのか知りたかったということです。映画が公開されればネットやSNSには感想が溢れるはず。自分も観た上で他の人の感想を解禁したとき、どの程度どういうギャップがあるのかとても気になった。もちろん他の映画でも人それぞれ違う感想を持つと思いますが、ここまで顕著にそれが味わえる機会はなかなか無いのではと思い劇場に行くことにしました。


 考察については自分よりも監督や映画事情に詳しい方がたくさん書かれていると思うので、私が書くのはただただ総括して率直に感じたことです。短いよ。

 なんだか夢を見ているようだった。
 
ここでの「夢」とは、「憧れ」のような意味合いではなく寝ているときに見る「現象」としての夢。
 場所(世界)があちこち切り替わったり、理解の追いつかない出来事がドドドッと押し寄せてくるのが夢に似ている感じがした。
 夢って、その内容は脈絡が無いような気もするけど自分の記憶や体験に基づいているじゃないですか。記憶や体験を咀嚼して再構築しているというか。
 説明ではなく「このシーンあの作品っぽい」「これはこういうことの暗示かな」と感じ取らされる場面が次々に続いて(元々ジブリはそういう表現が多いと思いますが)、その切り替わりの多さに混沌とするけど実は同じ人の記憶という入れ物にあるという点でその一つ一つは同質のものというか…。
 非常に感覚的な表現ではあるが、私なりの言葉で言うと「夢」だった。

 映画に限らず何の作品でも、誰の作品であってもその人の中にあるものが材料になっているはずですが、この映画は特に観客・世間への忖度抜きに駿氏の持つ要素を断片的に再構築させたものだったのかなと感じられます。それをプロダクションとしての仕事、エンタメの仕事としてみなした場合賛否は分かれるのかなと思いますが、個人的には興味深い内容でした。

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