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Fermented place : Where All Beings Resonate

寺田本家の自然酒

下記すべて転載と抜粋です。

醗酵醸造という微生物の世界では、強い者が弱い者を餌食にしてしまう弱肉強食の世界ではなく、互いに助け合い、支え合って生きる相互扶助の力が大きく作用し、“愛と調和”で成り立っていることに気づかされ、それを見て、人間も微生物のように、醗酵しながら生きれば争わなくても生かされる。

自然を学ぶ上で大きな手がかりとなった目に見えない小さな微生物の世界から、“醗酵”と“腐敗”という2つのファクターが寺田さんの全ての物事を考えるものさしとなり、生きていく指針にもなっていった。

その“醗酵”と“腐敗”とを分ける基本的な“場”の違いが“イヤシロチ”と“ケカレチ”であるということが分かった。
これが寺田さんが極められた“醗酵道”の本質である。

醗酵の本質に係わる電子技法との出会いのきっかけは秋田の方に無農薬でお米を作っている農家があると聞き、早速行ってみましょうということで出かけたのが20年以上前のことです。そこで見せられた稲穂を見て「これは普通の稲穂ではないな!」と感じた。・・・一本の稲穂の穂先から出ている粒子は元気が良く、たくさんついている。丈夫な稲のすばらしさに目を見張り、「生命力のある米を作るとはこういうことだ」と強いエネルギーをその稲から感じた。

ここでは炭を埋めて電子水をかけて栽培する電子技法という栽培方法が行われていた。「それは一体何ですか」と尋ねてみたら、電子技法栽培とは、炭、水、空気を活用して土を健康にし、光合成の働きを高めて栽培する方法で、病害虫の発生しにくい環境で作物を健全に育てる農法であるとのこと。

土壌が健康であれば、農薬や化学肥料を使わない栽培が出来るようになるといわれている。場を整えることが.重要なのだ。古くから日本人の生活のなかで使われてきた炭は、湿度を調節する機能や消臭効 果、マイナスイオン効果、遠赤外線効果、電磁波吸収効果などで、近年すっかり注目の素材となっている。けれど電子技法では、早くからこの炭が環境を整えるうえでの主役と考えられていた。このような生命力のある丈夫な米ができるのなら、人の身体も丈夫になるかもしれない。そこでまず自宅で電子技法(炭素、電子水、電子風呂など)を取り入れてみようと思った。

自宅の縁の下に300Kgの備長炭を撒くところから始めてみることにした。
それからたんすの中、こたつの中、冷蔵庫の中、風呂場の中、と思いつく限りの場所に配置した。飲用と料理用には電子水を使い、ごはんの釜やみそ汁の鍋の中にも炭を入れてみた。

 不思議だ。食べ物、飲み物が確実においしくなった。保存していても、信じられないくらい腐りにくくなった。なにより、自分がますます元気になってきた。こうして自宅で電子技法を活用したことによって確信を得た私は、一か月もしないうちに、この技法を酒蔵に投入していくことを決めた。

酒造り用には、電子水を使用することにした。そして酒蔵の敷地には20メートル間隔で14か所合計20トンの炭を埋設した。この作業は電子技法の中山さんにお願いしたのだが、穴を掘ったところに粉炭と水を入れながら練り込んでいくような感じで入れていき、埋め戻していくというやり方だった。

中でも、麹菌を育てるための麹室は、かなり特別にしてみた。床だけでなく、壁も天井も360度すべて炭で覆うことにしたのだ。壁の厚みを30cmにしてそこに炭を入れ、室の四方全部で5トン使った。

その麹室に入ってびっくりした。通常は麹室というと室温が30度に保たれているので、ムッとして空気はよどみ、麹菌の匂いやカビ臭さが充満して暑苦しく感じるのだが・・・・・トンンデモナイ!麹室に入った瞬間、空気はさわやか、心地よい香りが充満し、その上、体がとても軽く感じられるのである。マオタイ古墳(後述)と同じ5トンの炭で囲われ、空気清浄器(空間電位の調整器)を吊るした麹室で、マオタイ古墳の中を体感?できた。

寺田さんの説明がはじまり、「普通、一般の酒造屋では、麹室には雑菌を持ち込むということで、一般の方々は入室できません」・・・・・・・「私たちは特別なのかしら?」・・・・・・話は続く、「うちでは、いろんな人が、いろんな菌を持ち込んでくれることにより、生命力のあるお酒になりますよ!」と・・・・・・・「ビックリ!」

「良いお酒造りに役立つたくさんの菌が、喜んで活躍できる場がこの室の中にはできているのですから。」・・・・・・・先ほど入った入り口の扉が開いたままになっていた。「扉の内と外を見比べてください。」・・・・・・・内外を見比べると、外側の板壁は四季の外気に触れ薄く黒ずんだ状態に変化しているが、内側は扉も床も周りの壁板も天井も建築した当初の状態のままのように真新しい。・・・・・・ビックリ仰天!!! 寺田さんは続ける。「この室を建てて18年になるのですが、日常の掃除の他は特別なことはしていません。」・・・・・と。

つい先だって、石田博子さんご夫妻との北陸旅行の帰路、高山の有名な酒造屋さんに立ち寄った。新酒が飲める季節だったので、試飲の後、酒造りの現場見学を申込んだら「一般の方の入室は、どなたもお断りしています。」とのことで、その表情は、あたかも私たちに「酒造りに危険な雑菌を持ち込まれたら困りますので・・・」と言いたげな心配そうな様子に見受けられた。

酒造りのもっとも大切な場所に入ったとたんに、「醗酵道」の真髄を寺田さんから教授された気がした。その後、酒母づくり、もろ味作り、絞りと次々に酒造りの現場を隅々までご案内いただいた。

【炭の驚異とその活用】

1,000℃前後という高温で樹木を炭化させて極陽性化された炭の表面には、陰陽の引き合いで、自然とマイナス電子が帯電する。この炭を地中に埋めると地電流(地中1メートルを走る微電流)からマイナス電子の供給を大量に受けやすくなるのだ。そうすると、その上の空間はマイナスイオンで満たされるというわけだ。

そういった炭の効用を顕著に見せてくれたのは、中国の湖南省で発見された約2,100年前のマオタイ古墳であった。そこにあったのは、死後四日くらいの状態で保存されていた遺体三体だ。そして棺が置かれていた大きな部屋を覆っていたのは、約5トンの炭だったそうだ。

私は平成元年に現地に行ってみたのだが、人体の腐敗さえ炭によってくい止めることができたという事実に驚愕した。その遺体のうち五十過ぎの女性のおなかの中には.消化不良の瓜の種が残っており、夏に亡くなったとわかったそうだ。その種をまいたら根が出て芽が出たという。驚くべきは、その女性のおなかの中には回虫が生きていたという事実だ。着物も、生活用品も、棺の中のものはどれも傷むことなく保仔されていた。2,100年もの間、そこは炭によって快適な環境が整えられていたのだ。

この炭を利用して、電子技法のもうひとつの主役である電子エネルギー水(電子水とも呼ばれている)が作られる。これは.水道水や地下水など飲料になる水に、マイナスの電子(マイナスイオン)を供給した水で、クラスター(分子集団)が小さく、水中に溶け込んでいる分子状の酸素(溶存酸素)が多い水である。クラスターの小さい水は、動きが活発で、細胞組織への浸透力が強いという電子技法栽培では、この電子水を田畑に霧放布するとともに、地中に炭を埋めたり、土壌に混ぜたり、空気の土壌挿入をしたりして、土を健康にしていく。

こうした電子技法で栽培された農産物と普通に栽培されたものとを比較すると、根の生育が著しく違うのに驚かされる。収穫後もいつまでもみずみずしさを保てるという点でも、ほかのものとは大きく差が出る。
私は切り花2本を、普通の水と電子水にそれぞれ入れて、実験を何回かしてみたが、その結果、電子水につけた花は、普通の水につけた花の倍以上長持ちした。

地球表面は地形の凹凸のために起こる変化により場所によって磁カの強弱ができている。このことを磁場というが、炭は磁場勢力を高める性質があり、それが人や動物、植物、物質に好影響を与える。1つ1つの炭には無数の非常に小さな穴があり、わずか1gの炭の内部表面積は、テニスコートの広さ(約300平方メートルほどもある。この内部表面(界面)に電子が集まり、地球が回っている限り遠心カで徐々に広がって、磁場勢カが広がっていくのである。ここで集まった電子(マイナスイオン)は、すべての生き物や物質に還元される。

還元されれば、酸化現象が抑制される。今ではだれもが知るところだが、金属をさびさせる「酸化」という現象は、人体においては疲れやすい状態にし、老化を進め、病気になりやすくする。植物も腐らせるのが「酸化」だ。だから逆に「酸化」が抑制されるということは、疲れにくい体になり、老化が抑えられ、病気になりにくくなって、食べ物なども腐りにくくなる、腐敗しにくくなるのだ。

ということは、酒蔵が最も恐れる腐敗型(酸化・崩壊型)の微生物は、炭で磁場調整した場所では棲みづらくなるということか。逆に有用な働きを持つ発酵型(抗酸化・蘇生型)の微生物にとっては、働きやすい場となるのだろう。酒造りの初期に欠くことのできない乳酸菌は、増殖するときにマイナスイオンを必要とするので、炭のマイナスイオン効果によって発酵がスムーズになるということは、その証明といえよう。

酒造りでなにより大事なことは、微生物によい働きをしてもらうことなのだが、そのためには微生物の棲み家である「場」が居心地のよいことが最大の条件だ。その場が快か不快かによって、本来微生物がもっている力を発揮できるかどうかが決まってくる。微生物にとって快い場では、すばらしい発酵が始まり、不快な場では腐敗が始まる。

先人の知恵である炭埋は、まさに環境を整え、発酵に適した場を作っていく方法に間違いない。


現在、一般の酒造メーカーが使用している人工乳酸や協会酵母(注1)を使用しないで、蔵に棲む微化物のカで酒造りをする生?造りは、腐敗菌の増殖の危険性をはらんでいる製造方法でありながら、今までうちでは一度も腐らせたことがないのは、炭の力(場の力)によるところが大きいのだろう。

自然界からの贈り物に、ただただ感謝するばかりだ。注1)協会酵母:日本醸造協会が人工的に培養した酵母のことで安定した醗酵状態が得られるため速醸の場合に使われることが多い。

【古代の文献が、発酵に適した場を作る鍵だった】
無農薬米を酒造りの原料にし始めたころから、蔵人をはじめ社員総出で米作りも始めた。もともと持っていた休耕田一町五反にもう一町買い足して、手探りの無農薬栽培を試みたのだ。

ところが実際にやってみると、暑い時期の草取りは半端な労働ではない。「除草剤は、農家にとって救世主だよ」と言った在来農家の気持ちがわかるような気がしたくらいだ。けれどそんな誘惑に負けず、なんとか手作業だけで2シーズンを乗りきった。(実践者の声第5弾でご紹介したアグリ中井さんとまったく共通する思い入れである。)その後は合鴨や鯉に手伝ってもらうという除草方法を取り入れたりしてきたが「最終的にはデッキプラシを使用しての除草と、草の芽を食べてくれるカブトエビの投入が効果的であることがわかった。

電子技法栽培に出会ってからは、この田んぼにも炭を埋め、電子水も散布して、生命力の強い稲を育ててきたが、天候が不順でも、台風にあっても元気に育ち、良質な米が穫れる様を見るにつけ、炭のもつ還元作用の偉大さに感心してきた。炭の力は本当にスゴイ!発酵に最適の場を作りたくて、蔵に炭を使用してみたのだが、思いがけずそこで働く杜氏たちの体調や精神の安定にも好影響がみられるようになってきた。人間の生命全体にも、いい方向に働いてくれたのだ。

あとになって、この電子技法が、実は太古から密かに連錦と伝えられてきた「カタカムナ文献」と呼ばれる謎の古文書から得た知恵であることがわかった。

筑波大学で農学を教える橘泰憲氏が教えてくれたのだ。橘氏は、近代農法を教えるなかで「カタカムナ文献」に出会い、目からうろこが落ちたという人であった。「カタカムナ文献」というのは、物理学者の楢崎皐氏(1899~1948)が1949年に兵庫県六甲山系の金鳥山で平十字という老人から写筆したといわれる古文書で、その後の研究で今から3万~5万年前の日本人の上古代人が直感した、宇宙や物質の構造や生命の本質などが記された科学書であることが解った。

楢崎皐月は全国12,000ヶ所余りの地電位を計測したのだが、電位が、一定で高くなっているところと、電位が不安定で低くなっているところがあることを確認した。前者を楢崎氏は優勢生育地・「イヤシロチ」と呼び、後者を劣勢生育地・「ケカレチ」と呼んだのである。

イヤシロチでは人や動物の健康状態がよく、農作物や草木の成育もよい。建物も長持ちする。工場での稼働率がよかったり、商売が繁盛しやすいといった現象まで起こるのだ。反対にケカレチでは健康不良や病気が起こりやすかったり、ケガをしやすかったりし、作物は病害虫に弱く、不作になりやすい。建物の傷みが早いという傾向もみられる。商売がうまくいかなくて店舗がコロコロ変わる店や、交通事故の多発地、河川の決壊が起こる場所などもだいたいケカレチなのだ。

カタカムナ相似象学によるとケカレチをイヤシロチヘと改善する技術こそが「炭の埋設」である。炭は電気伝導性が高いので電極の役割をなし、炭を埋めた場所は非常に誘電効果が高くなって、その結果地電流の流れがよくなるというわけだ。

炭は、生命力が奪われる場を、生命力の盛んな場に変える。人類を救う、奇跡の物質ではないか。造り酒屋でいうと、イヤシロチは発酵しやすい場=発酵場といえ、酒造りに関与する乳酸菌や酵母菌などの発酵型微生物が働きやすい場のことをいう、それに反してケカレチは大腸菌やウェルシュ菌など、腐敗型の微生物が増殖しやすい腐敗場である。

酒造りと、自宅での飲用や料理に使用していた電子水も、楢崎皐月が作った電子水製造装置を発展させていったものであることがわかった。それに麹室の天井に設置していたマイナスイオン発生器も、もともとは「カタカムナ文献」に端を発したものだった。楢崎氏もイヤシロチ化のために、竹筒を使用した陰イオン発生器などを作っていたそうだ。(「静電三法」p131参照)

橘氏との緑で、うちの蔵で製造された酒の元気のよさは、「カタカムナ文献」の叡智によるのものと判明したのだった。古代の日本民族が残してくれた文明とその高度な技術の成果は、今という時代にありながら、米のでき、酒のでき、人の健康状態などで目に見えてわかるものとなっている。まさに、驚異としか言いようがない。(寺田啓佐著、「発酵道」より)

Q:自分の身体が腐りはじめて、初めて菌が醗酵する方向なのか、腐敗する方向なのかの違いに気づかれたんですね?

A:実は20年以上前に造り酒屋の経営そのものが傾いて、借金も多く膨らみ、これ以上やっていけないということで、経営の建て直しに居酒屋、日本蕎麦屋さんを始めたのですね。しかし、経営が悪化していき、さらに悪いことには、自分の直腸が腐る病気になり2度ほど手術したんです。その時、「腐るとは何なのかしら?」、「生きるとはどういうことなのか?」、「人間とはどういう生き物なのかしら?」というものを入院している中で、模索していたんです。そんなことから、出会うべきしてこの電子に出会ったのだろうと思います。

電子に出会った時に、「電子って一体なんですか?」と尋ねると、説明に来た人は「磁場を高めるんですよ!」といわれる。「磁場を高めるとは何ですか?」と聞くと、「環境を整えるんです!」というわけですよ。・・・・・・・・「磁場を高める、環境を整えるとは一体何なんだ・・・・」と。


そのうちに見えない場が私たちに大きな影響を与えること、自分が腐ってきたのは、“ケカレチ”という劣勢生育地が大きな問題を起こしていたこと。その反対に“イヤシロチ”という優勢生育地があって、腐らない、醗酵する場なんだということが判ってきて、やがて、「醗酵すると腐らない」ということが判ってきたんです。

醸造学の先生に「醗酵すると、どうして腐らないのですか?」と尋ねると、「当たり前ですよ。だって、醗酵してるんだから腐るわけないでしょ!」と訳の分からないことを言うんですね。その内、楢崎さんの「静電三法」に出会う中で、電子不足が腐敗を起すということが判ってきたんですね・・・・・自分のお腹の中が腐ったのも、結局、電子不足からきているのだなーとわかった。目からウロコでしたね。

様々な人がいろんなことを言って、(電子不足とはいってないんですが、)色々なことが分かってくる中、その内のお医者さんが「病気の原因は活性酸素だよ」と言われだしたのです。(今では当たり前のように言われてきましたが)活性酸素というのは、我々が生活している以上、物を食べると空気を吸ってエネルギーができる、エネルギーができると同時に活性酸素も生まれる。これは、いやおうなしに生まれてくるそうなんですけどね、これが不自然な生き方、暮らし方をすることによって活性酸素がどんどん増えてくる。この増えてきた活性酸素は電子の少ない酸素のために、どこからか電子を奪って安定しようとする。

反対に奪われたモノは電子不足になる。その奪われた電子不足のモノというのは細胞であったり、血液であったりするわけですが、要はそれらが腐ってくるということなんですね。腐ってくるというのは、酸化する、さびる、病気になるということでもあり、これは癌化ともいう。動脈硬化もそうです。全ての病気の原因というのは電子不足であるということなんです。

その電子不足を補うためにイヤシロチという場が重要な鍵になってくるわけですが、イヤシロチというのは、醗酵しやすい場であり、我々、醗酵に携わるものにとっては醗酵場というのは非常に重要な鍵になっていまして、早速、“静電三法”に基づく電子の技術を色々なところに使い始めたんです。

すると、普通のお酒屋さんが首をひねるようなことが起きてきたんです。「通常では、こんなことをしてたんではお酒にならないで腐っちゃう!」というようなことが・・・・・というのも、うちの蔵では炭素埋設や空気清浄器のお陰で醗酵場ができているために、腐敗しづらくなっているんだと思います。通常の造り酒屋では、とっくに問題になるということが次々と起きているんですよ。醗酵場というのは、「静電三法」に基づく電子の技術だけではなくて、楢崎さんもきっとおっしゃりたかったんでしょうけど、造り手の“言葉”や“意識”によってもイヤシロチに大きく係わり、影響を及ぼすと考えています。また、自然から離れたモノを使うことによって、イヤシロチがケカレチ化してしまうということもありますね。

カタカムナでも“マノスベシ”(天然自然の運行)という言い方をしているんですけど、天地自然の理に添ってすればいいのですが、人間脳、“サヌキ”とも言いますが、それを使うことによって醗酵しづらくなっていく、イヤシロチが崩れていくということがあるのかも知れないですね。とにかく同業の方も不思議がっていますよ。
Q:同業の方もこの地域にはたくさんいらっしゃいますよね。


A:そうなんですけど、造り酒屋はどんどん、どんどん減ってきて、これまで日本全国に4,000軒あった造り酒屋が今では2,000軒になり、5年後位の間には1,000軒を割るんじゃないかといわれています。日本酒の需要は昭和49年から下がり出して33年間も下がり続けている状況ですね。周りの人は、「地酒ブームがあったでしょ!」、「吟醸ブームがあったでしょ!」といわれるんですが、毎年下がり続けているんですね。

そんな中でも、うちの酒蔵では世間の状況とは裏腹に、どんどん面白いお酒が誕生しまして、ファンも増えて、売上も増えて・・・当時、会社も腐り、身体も腐ってきたのが、いつしか蘇ってきたという不思議な現象がおきてきたんですね。

これも、基を正せば楢崎さんのお陰ですけどね。まさに、見えない大きな力が働いているということですよね。先ほどの話で、これまで、見えるものだけを追っかけてきたけれども、見えないものが本質の世界だということを腹に落とし、発想の転換をするということが大事です。ただ、テクニックとしてはやれるかもしれないけど、本当に腹の底から生まれ変わらないとダメだということです。それほど、自分は命を懸けて、この“醗酵道”を世に問いかけていかなくちゃいけないと思っております。

Q:でも、われわれは良いお酒を求める側ですから、この本をそれぞれの筋に読んでいただき、これが本来のお酒だ。本来のお酒をみんなで造ろうという世論が起こっても良いのではないでしょうか。

A: そうなんですね。世界中で自分が飲む酒を自分でできない国は、どうも日本くらいだけらしいですよ。自分が、自分で造ってみて初めて百薬の長が生まれるだと思っています。 

自分で造る酒をこんな風にして、自然の、まさにマノスベシで作ったら、ひとりでに健康を癒すものになってくれる。そうしたら、今、国が抱えている医療費が右肩上がりにどんどん上がるという大きな問題も解決していくんじゃないでしょうか。また、皆さんが困っている生活習慣病とか、大人だけの問題ではなく、子供達にも波及しているアレルギー疾患とかの問題も解決していくんじゃないかと考えたんです。


NHKの“ためしてガッテン”でやっていたのですが、アレルギー疾患の原因が、清潔のし過ぎだということなんですね。清潔のし過ぎというのは、まさにお腹の中をケカレチ化してしまうことで、菌のバランスを崩していっちゃうことだったんですよ。

お腹の中には細胞の数より多い100兆個の細菌がいますが、ある先生に言わせると腸内細菌は最低でも100兆個の10倍はいるということなんです。その菌には乳酸菌とかの良い菌だけではなく、毒素を作っている大腸菌もウエルシュ菌もいる。これを叩きのめしてしまえばいいじゃないかというのではなくて、このような菌も場を整えるには重要な働きをしているということを認識しなくてはいけない。例えば大腸菌がお腹の中からいなくなったら生きてはいけない。ためしてガッテン”では、いろんな菌が係わることによって体が良くなっていき、治癒力(免疫力)を高めていくんだといっていましたね。つまり、いろんな多種多様なものが集まり作り上げたものが、ひとりでに生理活性化され元気にしてくれる。お腹の中から作り上げていくということなんですね。

現代人は、要らないものを切り捨てて、例えば悪玉菌などというものを寄せ付けないようにしようとして、どんどんおかしなことになってきちゃったんですよね。たくさんの菌が加われば加わるほど、つまり受け入れる力(寛容力)が多ければ多いほど免疫力が上がり人体のバランスを整えるということになるわけですから。

Q:また、人間は生きているつもりだけれども、実は腸内細菌によって生かされているというふうに考えた方がいいようですね。

A:そのまま食べ物が血液の中に直接入っていくということはない訳ですから、菌がいい意味で発酵して栄養分に変えていって、ある意味、人間は菌のおしっこやウンチで育っているのかも知れませんね。お酒もある意味同じことじゃーないですかね。
この後、酒蔵にご案内いただき、実際の酒づくりを見学させていただいた。

【日本酒とは】

日本酒はお米をアルコール発酵させて造る醸造酒のことです。穀物のアルコール発酵とは酵母が糖分を食べて、主にアルコールと炭酸ガスを出すということです。ところがお米は糖分を含まないので、そのままでは発酵しません。まず原料となる米を蒸して麹(こうじ)を造り、この麹が米のデンプンを糖化させ、それを酵母の力でアルコール発酵させるということになります。

このように日本酒は「麹菌」と「酵母菌」という2種類の微生物を筆頭にその他たくさんの微生物達がそれぞれの使命を果しながら、それぞれの生命が結び合って、生まれてくるのです。人は微生物達の声を聞きながら、うまく手助けをしていくことによっておいしく、体に優しいお酒をいただくことができるのです。

1.仕込み水 

仕込水は蔵内の井戸からくみ上げた地下水に電子をチャージして分子集団の小さな電子水にしてから使用しています。微生物たちの生命力を高めることができます。

電子水のタンクの中です。中心には備長炭を詰めた電極が沈められています。

2.蒸米造り(むしまいづくり)

原料米の栽培から考え、命を大切にするため、無・低農薬米を使用しています。まず「玄米」を精米することから始まります(まったく精白をしない「玄米酒」もあります)。


電子は不思議ですよね。イヤシロチを作り出していく。電子を取り入れて20年になりますけど、自分でも腸を手術し、家族も11人いますけど、誰も医者に行かないし、薬も飲まない。自分も地元の教育委員長なんかやりまして、予防接種とかやってもらわないと困るといわれるんですけど、そういうのも一切やらない。でも、何でもないんですよね。

自分の父親も、母親も自分の年代にはガンになって、亡くなっていますけど、20年前から全然医者要らず薬いらずで暮らしているんです。やっぱり電子不足が病気の場になっていくという、まさに楢崎さんが捉えたとおりですよね。現在、自分だけが勝手にそう言っているんではなくて、そのように捉えている人が大勢出てきましたよね。そういう時代になってきているんですね。だから、一番の先駆者の楢崎さんは白い目で見られたりオカルトに見られたりするのはしょうがなかったということでしょうかね。

Q:「醗酵道」という道を極められて、これからどう広げていこうとされているんでしょうか?

A:イヤシロチというのは醗酵場でもあるわけですが、醗酵させて作るものには味噌やおしょうゆとかいろいろなものがありますが、お酒もそうなんですね。

日本酒は太古の昔から「うれしき」 「たのしき」 「ありがたき」の3つの「き」が重なって「オミキ・(御神酒)」と言われ、その語源になったと言われています。

また、上古代人は生命の感受性を「アワ」と表現し、身を入れて身につく思念を「ミ」と表現したそうです。

現在の政治の世界のいろいろな問題、経済の改ざん事件、教育の問題など、いろいろな問題が今までの観点からいくと行き詰まってきている。何が正しいか、何が間違っているかというより、突破口は嬉しき、楽しき、ありがたきなんじゃないかと思うんです。

一方で正しいということが、他方ではどこかが間違っているということで、そこに対立が生まれ争いが生まれる。経済体制でも資本主義の世界、共産主義の世界、いろいろな世界が生まれましたけど、これらが対立しあっていますよね。何が正しいというのではなく、何が嬉しいのか、何が楽しいのか、何がありがたいのかという切り口からものを考えていくことで、そこに醗酵場が生まれるんだと思います。


醗酵場というのは、本当の幸福、本当の健康を作り出す場のことで、まさに、マットウに活性するための根拠を書いたものが「静電三法」であり、「相似象」であるわけですね。これに立ち返って、本当の幸せとは何なんだろうかと考えることが大切ですね。物、金ではないと頭ではわかっていても、実際に追っかけるのは物、金、名誉、地位なんですよね。

人間の頭を使うことによってどんどんケカレチに向かっている。その軌道修正の時が、今やってきているんではないかなと思っているんです。それは、いろいろなマイナス現象が起こるんですけど良くなるための現象で、相似象では身につくという言い方をしていますが、頭でわかるんではなくて、身でわかってくる、一人一人が本当に腹の底から 「ああこうなんだなー」ということを捉えていかなくては、どんどん脱線していくという現象があちこちで起きていますね。

本来の、自然の、あるがままの、いろいろな見えないものの力によって生かされているということに立ち返らないと脱線、転覆は免れない・・・ということに気付きだしたんではないかと思います。

水とアルコールの合体したものがお酒ですから、そのお酒を通して、皆さんに、私共のお酒作りで楽しくなっちゃうお酒を提供したいと思うんです。それを提供することで、いろんな所で微生物のような生き方に帰る。自分らしく楽しく、仲良く、争いの種、不幸の種を撒き散らすのではなく、幸せの、共に生きていく種をお酒からも発信できるんじゃないかと思っているんです。

Q:寺田さんのそういう考え方を話される場というのは増えつつあるんですか?

A:ありますね。自分は変わり者ということで、業界からはつまはじきされ、いろんなところで白い目で見られているわけですが、しかし、皆さんが私の本を読んでいただいたりするのもその一つですが、大きく時代が変わってきたなと感じています。

Q:この本は、酒作りを知っている杜氏さんが読んだら、自分では言葉には出さなかったけど、自分が体感したのはこれだという杜氏さんがいっぱい出てきても良さそうですが・・・・こういう酒作りを、もう一度やらせてほしいとか、今まで知らなかったけど、こういう酒作りをやりたいんだ・・・と言う人がでてくるんじゃないんですか?

A:もう出てきていますね。うちの杜氏さんの藤波良寛さんの話を是非聞きたいと言う方もでてきたり、自分も毎日のようにあちらこちらに引っ張り出され、「醗酵するとうまく言っちゃうよ」という話しをしています。・・・・・・

今の時代は、難しいことを考えないで、醗酵してわくわくしちゃえばいいんだ、わくわくすると言うのは、まさに嬉しき、楽しき、ありがたきで、オミキ(お神酒)の人生なんですね。桶の中だけではなくて、身体の中でも、家庭の中でもそういう現象が起こり、社会でも起こり、地球でも起こり、現実に起こりつつあるんではないかと思います。面白い時代に差し掛かっていると思いますね。

Q:そうですね、教育の面では、最高学府である大学の教育者も醗酵させないといけないですね。意識が腐敗していて、何のために研究しているのかがわからない、自分の名誉と論文発表で評価されることのために研究するという方を時々見受けますが、それとまったく別の次元で研究されたのが楢崎さんだと思いますね。

その当時、楢崎さんの所に多くの学者、研究者、技術者が集まって日本の戦後復興のために時代を先取りする大変な研究をしていたわけですが、昭和30年代、40年代の日本の高度成長と共にそれぞれ去って行ってしまった。本来のことを教えてもらいながら、他の人にそれを教えずにやってきた方々が、今、もう一度、“本来とは”を考え直すべき時期なんだと思います。この本にも取り入れられている楢崎皐月氏の心が求められているのではないかと思います。

A:我々小さな蔵が認められるには鑑評会で金賞を取ることなんですが、うちでは金賞は欲しくないと思っています。駄酒作りの蔵だという評価をされているんですが、それは自分の誇りでもあるわけなんです。今の流れは、金賞を取る蔵が腐ってきて、やめざるを得ないという現象があちこちでおこってきて、逆に駄酒を作っている蔵が口コミで広がってきているという不思議な現象がおこっている。楢崎さんの頃には潰されちゃったんでしょうけど、今の時代はこういうものが評価されてつつある。
 
発芽玄米酒 「むすひ」MUSUBI

楢崎さんもそうだったと思うんですが、白い目で見られても、自分から湧きでるものでやらざるを得ない・・・だから、皆から叩かれたと思うんですけど、叩かれても皆の前で発表する役割があるということだったんだと思うんですけどね。

私共も、お金になるということではなくて、潰れる一歩手前の蔵が、また300年以上に亘ってお酒造りをやらさしてもらっているということは、何かの役割があるのではないかと思っているんです。それは本当の幸福、本当の健康というものを呼び覚ましていく、そういう役割があるんだと思っています。

具体的には、玄米で作ったお酒・「むすひ」(MUSUBI)というお酒があるんですが、これまで玄米ではお酒はできないといわれていたんですが、10年くらい前に伊勢神宮の古い文献に出会って、発芽玄米からお酒ができるようになったんですが、飲んだ人から、血糖値が下がったとか、血圧が下がった、糖尿病が治ったとか、あちこちから聞かれるようになったんですね。

自社の無農薬の稲穂から採取した麹菌

知り合いの醗酵に注目する医師は、自然醸造で手間ひまかけて醗酵熟成したものは、腸の機能を活性化し、副交感神経を刺激して血管を拡張させ血行を良くするのだといいます。

副交感神経が高められれば自律神経が調整され、内分泌のバランスが取れ、免疫機能が活性化する。発芽玄米酒「むすひ」(MUSUBI)はそういった機能のある質の良い発酵食品だといってくれました。

また、「自然酒」というお酒があるんですが、これは天然の麹菌で作ったお酒なんです。これは自分のたんぼで作った無農薬の稲穂から採取し、その菌で作ったものなんですが、昔はどこの蔵もこういう菌で作っていたんです。今のお酒作りの原点だったんですね。

どうも、微生物というのはそれ(天然の麹菌)に答えるようにして、既にどこかで待っていると思いますよ。本来の醗酵菌というのは自然のものが大好きですよね。


こういった一連の流れの中で、楢崎さんが言ってたこともそうなんですけど、最近、波動ということがよく言われていますが、波の法則、つまり自然界は波で出来ていますから、波の法則によって、自分が投げ出した波というのは必ず戻ってくる。だから、嬉しき、楽しき、ありがたきを発信していれば、たくさんの人に伝わって、どこかで自分に戻ってくる。そういう循環だろうと思っています。

出典 http://www.narasaki-inst.com/voice6_3.htm


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