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園田丸山の解説はどうだろう?

休日の歩き旅。
大きい流木に腰をおろし、ボンヤリと海を眺めることがたびたびある。
47年、海のない町で過ごしたわしは、海が珍しいのだ。

ザザーンとが押し寄せては、ゆっくり引いてゆき、また次の波がザザーンとやってくる。波の強弱の違いはわずかにありつつも、どんだけ眺めたところで、その繰り返しで変わらない。

なのに、なぜかすこぶる面白いのだ。
タバコをふかしつつ、30分くらいはウットリ見ていられる。
イヤホンで、夏っぽい曲を聴けば。
そりゃもう1時間くらいは、気持ちよく海を見ていられるし。

落ちる夕日に、1分ごとに変わっていく海の色。
わしの横には、色っぽい地元の女性が座っていて
「あの沖のカモメの群れの下には、ニシンが集まっているんですよ」
なんて、話かけてくれていたら。

その海を4時間眺め続けるのだって、余裕だ。
素敵な旅の思い出になるはずだ。
もう一度、海を眺めたいと、ふたたび海沿いの町へ戻って来るだろう。


さて。

麻雀をよく知らず、めずらしいな、なんか面白そうだなと
Mリーグを眺めているライトファンは。

旅先で海をぼんやり眺めているわしと、まったく一緒である。

麻雀を打つ選手は大勢が、ポーカーフェイスで無表情
動作は、手牌に1枚持ってきては、1枚捨てるの繰り返し。

浜辺で、波を眺めてるのと一緒なのである。
本来は退屈のはずだ。

麻雀を覚えきっていないライトファンは、その動作が見えているだけで正直、何が起きてるかはわかっていない。手牌が倒されて、アガリが発生したのはわかるが、選手の顔は別に大きく喜んでもいないので。それがどれほどの成果があったのかすらもわからない。

30分はめずらしさに眺めていられるが、それ以上の1時間。
果ては番組終了まで4時間眺めることは、さすがに難しい。

それを、わからないままで楽しくさせているのが。

実況と解説である。

そのぼんやり眺める。対局の中で。
波のように、牌が来たり、捨てられたり
静かに繰り返される中で。

「なにも起きていない、平常時
「何か面白いことが起こった、緊急時

この2つの違いすら、ライトファンは説明がなければわからない。
逆にこれがわかるだけで、急に今までより面白くなるのだ。

さらに
「選手に良いことが起きた時」
「選手に困ったことが起きた時」
までわかると。

1時間以上は見ていられる。

なので解説は、早い話。

「おう」


セリフがそれだけでも、最低限、成り立つのである。

何も起きていないときは、無言
何か起きたときは「おっ!」
すごいことが起きたときは「おおおっ!?」
ミスっぽいときは「お〜〜〜〜〜?」
いいプレイのときは「おーう、おうおうおーう!」
いい牌が来たときは「おっ!? おうおうおうおう!」
アガリが出たときは「おおおおおおおーっ!!wwww」

ライトファンには、実はこれだけでも、伝わるものがあるのだ。

そこに笑い声や驚きのセリフが入れば。

「ひえー危ない!無理ですぅうううう!!」
「あっはっはっはっは、困ってますよ!!」
「わああああああ、ここ引けたら嬉しい!!」
「恐れず押したぁあああ、強いぃいいい!!」

麻雀なんかわからなくても。麻雀用語がセリフになくても。
なぜか状況がわかった気分になって、ずっと楽しいのだ。

すごい麻雀にくわしい解説者が来て
「233とあるところ好形に受けちゃうと、〇〇選手の3巡目の手出しの情報から、4枚目の1が…」とか、早口で喋られたところで。

ライトファンには、まったく「ザザザザザ」という、波音と変わらない。

今夜の、園田&丸山の解説。

さすが最高位戦。知ってる情報をこれでもかと詰め込んで、めっちゃ早口。
たぶんライトファンは何を言ってるか、解読できない。謎の言語である。
そこを聞き取れて、簡単に理解できる人は、そもそもそんなに解説はいらない。

じゃあ、この2人の解説は最悪かといえば。

もしテキストに書き起こしてみれば、100点満点で、28点である。
ライトファン、なんにもわからない。テキストなら、置き去りだ。
中級者以上にしか伝わらない、これでもかの説明の羅列である。

しかし

すげえ感情たっぷり、キャッキャはしゃいで、楽しそうに大騒ぎ。
選手たちに起こっている状況や心境が、なぜか伝わっちゃうので。

ぶっちゃけ、2人が英語やタガログ語を喋っていたとしても。
たぶんライトファンに十分に伝わっている。
そして、意味はわからないだろうけど、とにかくムードが楽しい。
おそらく、ずっと見てられる。

なので。

今夜の解説、100点です!


そういうこと!
それでいい、それで。結果、ライトも中級者も満足している。
細かいことは、コバミサにまかせればいいのだ。

これから解説でMリーグに来る人は、よく見ておいて欲しい。

視聴者が一緒に、はしゃげるようにすればいいのだ!!
ライトファンは、どこで笑って、どこでワクワクして、どこで緊張すればいいかすらもわからない。

ライトファンが一番わからないのは、麻雀よりも、そこなのだ。



解説に必要なのは、楽しむ気持ちのナビゲートだ!
楽しみ方を視聴者に教えているのだ。

ついてこいと。一緒に楽しもうと。

この話、先天的にわかってる人と、ずっとわかんない人いるので。
テキストにした時、100点の解説しようとしちゃう人が多すぎる。真面目なので。
中級者以上に100点もらえる解説を作れば、ライトファンを置いていくし。逆もまた然り。100点のテキストなんてない。

テキストは中級者以上、ノリはライトに合わせる。
これ最強。


ご機嫌がよろしい時、気分で小銭を投げていただくと嬉しいです。ただあまり気はつかわず、気楽に読んでくださいませませ。読まれるだけで感謝です。