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【詩の刺繍】いわし雲を見上げて


キュッと寒さが肌に沁みる


太陽が眩しく笑うとき 薄着で出かけた

夕方の涼しさに 手先が氷のよう

コーンポタージュの温もりが私を溶かす


街を歩くと 気配を感じる

オレンジ色に咲く金木犀たち

まるで お便りを届けるかのように

甘い香りが季節を知らせる


おさつどきっ が美味しくて美味しい


ひとつ買って帰ったら

好きな人の待つ家に 同じのがもうひとつ

…なんだか どきっとしちゃうじゃん


気づいたら 居なくなっている


そろそろ お鍋でも食べようか

そろそろ ヒートテックを着ようか

そろそろ マフラーが手放せないね



変化は あまりに突然やってくる



どうして 何も言わずに姿を消すの 

もう少し 一緒にいたかったよ 

まだまだ 伝えたいことがあったのに 



新しく買ったブーツで 落ち葉の上を歩く

少し茶色になりかけた紅葉を拾い

青空と重ねてみる


「また来年会おうね」



 すいすいと泳ぐ雲たちに 面影を探した

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