おかき

読書は、どこにでもどんな時代にも連れて行ってくれる、何にでもなれて色々な体験をさせてく…

おかき

読書は、どこにでもどんな時代にも連れて行ってくれる、何にでもなれて色々な体験をさせてくれる最高のレジャーです。 読書感想文を徒然に綴っていきます。

最近の記事

「花屋さんが言うことには/山本幸久」を読んで感じたこと

めっちゃ良かったーーー! ブラック企業で心身ともに疲れ果てていた紀久子。ひょんなことから花屋さんのオーナー李多さんに救われて、その花屋さんで働くことになりました。 一緒に働く個性的な人達、お客様、商店街の人々、そしてお花達と関わり合いつつ、やりたかったことを再認識して夢に向かって行動していくお話しです。 章が花の名前になっているのがまず好き。 花にまつわる短歌や俳句、花言葉がたくさん出てきてワクワクしました。 花屋さんの実際のところのお仕事内容も知ることができて興味深かっ

    • 「変な絵/雨穴」を読んで感じたこと

      雨穴さん、初読みです。 本文が始まる前に、母親を殺害した少女が描いた絵を見せられます。人間と木と家の絵なのですが、まず受ける印象が不安、不穏、なんか変なんです。 そして本文に入ると奇妙なブログ、不思議な絵。謎が解かれてゾーっとして、さあ次はと読み進めていくと、、、短編集じゃなくて全部繋がってました。ゾワゾワゾワ。 感情が暴走するとこんなにも狂気になってしまうものなのか。邪魔なものは殺してしまえばいいという考え方も怖いし、そんなことくらいで殺すのかというのも怖いし、殺し方

      • 「凪に溺れる/青羽悠」を読んで感じたこと

        「凪に溺れる」は霧野十太が長く歌い続けていた歌。聴く人の心を強く振るわせる歌。 この歌が誕生した中3から27歳で亡くなった翌年までの間で十太と関わり大きく影響を受けた6人を描いた連作短編でした。 皆、何者かになりたくて、目標に向かって、苦しい現状をどうにかしたくて、悩み迷いもがいています。諦めたものも又悩んでいたり。 十太の語りはありません。6人の語りで十太の人柄や生き方が浮かび上がってきます。人付き合いが苦手で、音楽に真摯で、寡黙だけど優しい。 プロローグから共感しま

        • 「君と宇宙を歩くために/泥ノ田犬彦」を読んで感じたこと

          「これ、すっごくいいよ!」という友人の声が気になってまして、やっと読みました。 メチャクチャいいマンガでした。マンガ大賞2024の選考委員さんにでかした!と誉めてあげたいです←謎の上から 同時に沢山のことを進めるのが苦手な転校生の宇野くんは生きる工夫テザーを書いたメモ帳を頼りに日々懸命に生きています。「泣くのは帰ってから」のメモには目の奥が熱くなりました(;ω;) 誰もが簡単にできるバイトが上手くできないヤンキーの小林くんはうすうす自分が頭が悪いんじゃないかと気づきはじめて

        「花屋さんが言うことには/山本幸久」を読んで感じたこと

          「777/伊坂幸太郎」を読んで感じたこと

          大大大好きな殺し屋シリーズの4作目、面白かったー!!! 不運な男・七尾(=天道虫)の仕事は高級ホテルの一室にいる男に誕生日プレゼントを届けること。だけ。一般的には簡単かつ安全な仕事です。 だけど、七尾だもの、巻き込まれて不運の連続連鎖雨あられなのがデフォルトです。 以前は新幹線からどうしても降りられなかった七尾、今回はホテルからどうしても良い出られないという。笑笑 コーラとソーダ、マクラとモウフ、美男美女6人組などなど、殺し屋だらけのホテルで、七尾は殺し屋に狙われて、殺し屋

          「777/伊坂幸太郎」を読んで感じたこと

          「あずかりやさん・満天の星/大山淳子」を読んで感じたこと

          1日100円で何でも預かるあずかりやさんのシリーズ5作目です。 今回の語り手は、万能ナイフ、やきそばパン、犬、桐島君の亡祖父の霊。 預かり物と一緒にお客さんの色んな事情や感情を受け止めてきた桐島君。今回の一番の変わりだねは、ナイフを持った強面の男性の憤怒を預かりました。そして、その後のその男性の人生に大きな大きな影響を与えてるんです。すごいなぁ。 プロローグの手紙はなにかな?って思ってたのですが、最後の最後でわかりました。 花ちゃんからのお手紙で、花ちゃんはあの時の子かあ

          「あずかりやさん・満天の星/大山淳子」を読んで感じたこと

          『あずかりやさん・まぼろしチャーハン/大山淳子』を読んで感じたこと

          100円でなんでも預かってくれるあずかりやさん、シリーズ4作目です。 1話目の「ラブレター」は栗原一歩という名の男の子が語り手でした。あれ?普通の青春キュンキュン物語?っと思ってよみすすめたら一の瀬はずみの名前が出てきました。「青い鳥」と「彼女の犯行」に繋がるその後のお話しでした。良かった〜、一の瀬はずみは元気でした。 そのほかの語り手は長年大事にされてきた黒電話、ヴィトンの鞄、盆栽。 桐島くん、今回はとうとう物ではなく「声」まで預かりました。最初はその預け主さんは横暴

          『あずかりやさん・まぼろしチャーハン/大山淳子』を読んで感じたこと

          「あずかりやさん・彼女の青い鳥/大山淳子」を読んで感じたこと

          目の見えない桐島くんが店主で1日100円でどんな物でもあずかるという商いをするあずかりやさんのシリーズ3作目。 語り手はノミ、老婆、青い鳥、原稿、柱時計と、なんだか意表をつくものが多かったなぁ。 預かった幼い子供が置き去りにされたのでは疑惑があったり、預かった時計が盗品だという疑いで警察が来たりと、ざわつく事案に巻き込まれていても桐島君はいたって平静です。こんな青年いる?! こんな桐島君だからお客さん達も話しをしたくなるし、どんな話しでも肯定して聞くから、お客さん達は心を

          「あずかりやさん・彼女の青い鳥/大山淳子」を読んで感じたこと

          「あずかりやさん・桐島くんの青春/大山淳子」を読んで感じたこと

          1日100円でどんなものでも預かりますという商いをしている「あずかりやさん」 シリーズ2作目。 文机とオルゴールのもの目線のお話しが2つ、そして、ある女の子目線のお話しと高校生の頃の桐島くん目線のお話しの4遍でした。 店主が大切にしている文机やオルゴールや星の王子さまがあずかりやさんにやってきた経緯がわかりしみじみとしました。 店主はどのようにして視力を失ったのか、店主は幼い頃から学生時代をどう過ごしてきたのか、また、あずかりやさんを始めた経緯と理由も描かれていまして、ぐ

          「あずかりやさん・桐島くんの青春/大山淳子」を読んで感じたこと

          「あたしとママのファイトな日常/山本幸久」を読んで感じたこと

          ものすごーく気持ちの良い作品でした。 やっぱり山本さん、好きだわぁー。 ムカつくいじめっ子の公平を一発殴ってやりたいという気持ちでボクシングを始めだ小学校4年生の風花、そして、職場の後輩にイラつく日々を送りつつ洋裁店で働いている母親の陽菜子、この二人の目線で交互に語られる物語でした。 ボクシングを通じて知り合った人達、ボクシングを始めたことでの出来事、ジムでの練習や自宅での自主練や試合などボクシングという競技を通じて、風花はボクシングの技術だけではなく心も成長していきます

          「あたしとママのファイトな日常/山本幸久」を読んで感じたこと

          「未明の砦/太田愛」を読んで感じたこと

          大手自動車メーカー「ユシマ」で働く4人の若い非正規工員達が指名手配される事になったのはなぜ?逮捕寸前で彼らを逃がすために密告電話をしたのは誰? 謎だらけで始まり、夢中になって読んだ616ページのこの作品、驚いたり、憤ったり、ホロリとしたり、感情が揺り動かされまくりで大変でした。 それぞれの事情で寮にいるしかない夏休みを過ごすはずだった4人に海辺の田舎での夏休みを与えてくれたのは「ユシマ」のベテラン正規工員の玄羽さん。その玄羽さんが過酷な仕事中に亡くなった死を労災と認めず有耶

          「未明の砦/太田愛」を読んで感じたこと

          「阪急電車」をオタク的に楽しむ旅

          わたくし、オタク気質な本スキーです。 時折、聖地巡礼的な旅をしたくなります。 随分前のことですが、「阪急電車15分の奇跡の旅」を感じる旅と題して楽しんだオタク旅行を思い起こしていきましょう✌️ 「阪急電車」は宝塚から西宮北口までの短い路線、今津線での群像劇を描いた作品です。 たまたま乗り合わせていた人達の人生が微かに交差する様子を覗き見してるようで、とっても興味深いのです。 まずは梅田から宝塚に向かいます 「宝塚」では読書が趣味の男女の出会います。 車窓から見えた「生

          「阪急電車」をオタク的に楽しむ旅

          「ポイズンドーター・ホーリーマザー/湊かなえ」を読んで感じたこと

          ・マイディアレスト ・ベストフレンド ・罪深き女 ・優しい人 ・ポイズンドーター ・ホーリーマザー 6遍の短編集です。 母と娘、妹と姉、仕事上のライバル、同級生と、どれもこれも女同士のイヤミスです。 同じ事柄でもそれぞれの見方、捉え方でガラッと風景が変わるもの。 何が正しいのか?正しさは人の数ある。 読み終わった後のザラっとした感じ、ずっしりと重い気分になるんだけど、湊かなえさんを読んだなぁ〜という満足感があります。 「優しい人」の最後の最後の文章が読み終えた後の心には

          「ポイズンドーター・ホーリーマザー/湊かなえ」を読んで感じたこと

          「それ自体が奇跡/小野寺史宜」を読んで感じたこと

          夫婦三部作の三作目です。 もう大丈夫。この夫婦もの、読み慣れてきました。 仕事がいまいち出来ないけど人柄が良く見た目も良い貢と、目立たないけど仕事が出来る綾。 貢がJリーグ入りを目指すクラブチームでアマだけど本気のサッカーをやることになったと事後報告をしたことから、そろそろ子どもをと思っていた綾は相談もなかったことに不満をつのらせる、そんな結婚して3年目の田口夫婦のとある1月1日二人が勤める百貨店唯一の定休日から、その翌年の1月1日までを描いていました。 貢のサッカー練習

          「それ自体が奇跡/小野寺史宜」を読んで感じたこと

          「近いはずの人/小野寺史宜」を読んで感じたこと

          夫婦三部作の二作目です。 読み終わってすぐは、どんよりな気分。微妙…でした。 しばらく寝かせてて、感想を書こうと思い起こしてみたら、なるほど〜!とわかってきました。 結婚して4年目、33歳の北野俊英はタクシー転落事故で妻を失いました。 不思議なことに、妻は友達と旅行に行ったはずなのに一人でタクシーに乗っていたのです。 哀しみと困惑の俊英は毎晩500mlビールを4〜5本飲みながら妻の携帯電話のロックを解除しようと0000から順に打ち込んでいます。痛々しいです。 5ヶ月目でとう

          「近いはずの人/小野寺史宜」を読んで感じたこと

          「その愛の程度/小野寺史宜」を読んで感じたこと

          小野寺さん夫婦三部作の一作目です。 う〜ん、微妙。モヤモヤする〜。 上司だった年上妻と結婚した豊永守彦はそこそこ顔が良くてそこそこ優しくて点数をつけると平均点以上だけど、あと一歩が踏み込めない。 妻の職場の親睦会を兼ねた河原でのバーベキューで、妻の連れ子葉月と妻の職場女性の子ども留衣の二人が川で溺れた時に守彦が葉月と思って助け出した子が留衣だったことから歯車が狂うのです。 その後は別居、離婚、出会い、恋心、傷心、出会いと目まぐるしい半年間です。 この期間で守彦は少しは成長

          「その愛の程度/小野寺史宜」を読んで感じたこと