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回顧録:セピア色


会いたかった日々と
夢に見た夜は

思い出にして
鍵をかける

ドアを閉める

行き先のチケット
半分に折りたたんだら
ポケットに詰め込む

君を セピア色にして
全部 しまいこんだ

永遠に 壊れない場所を見つけて




幾千もの涙の粒が
毎夜毎夜星になり
夜を 照し
行き先案内をする 流星群になったろう


僕はもう 何も持たない寄留者だから

身の拠り所は セピア色の星


君は
忘れてしまっていい
思い出さなくても
捨ててしまっても構わない



本当はもう 限界で
本当は これ以上はないって

ちゃんと自分で 終わらせる




誰かは 笑う
バカだと 笑う
嘲笑してる
でも そんなことは
どうでもよくて


そんな社会に 用はないから

明日
予定通りの時刻に
決めた通りの駅を目指す 

汽車に乗り込んだなら 
思い出さなくてもいい街に行くはずだから



にわか雨 なぜだかその音が 今 突き刺さる




あの時も
今も
僕は変わらないけど

何度 忘れようとして
忘れ方に失敗ばかりして

だから
鍵をかけたよ 開けなくて済むように

でも
気絶するほど美しい君を
何もかもが素敵な人を
忘れることができなくて
何度 蓋をしても
一番下のページに置いても
何をしても
思い出して
苦しんでた

何百年も
何千年も
何万年も
何億年も
未来永劫

君と言う人の存在は
たった一つのものだから

壊したら いけなくて
失ったら 悲しくて

今の僕には
セピア色
少し 効力を失って
穏やかな微笑みに 替えておく
懐かしくて 可愛らしい 匂いと一緒に

再び 会える日が来るならば
その時が 最高の日でありますように



君の心臓に 届くといいな
この静けさと 祈りが
果てのない 無限の世界から


静かに お眠りよ ここでずっと


僕だけの 小さなあなた




恋しい 


セピア色に





20240505 teodoro


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