Excelと魚と解決の話

Microsoft officeのExcelや Word、他にもたくさんあるが、私が仕事で一番使うのはExcelだ。
そんなExcelを「教えて」と言われて困った話。

私はExcelに関しては、そこまで詳しいわけではない。関数が使える程度だ。そして、職場の人でExcelが得意な人は少ない。だから、私がExcel大臣のような顔をしている。マクロも組めないのに。
今の40代以上でパソコンが苦手な人は、本当にパソコンが使えない。教えたことを教えた通りに使うだけで、自ら機能の探索などはしない。もちろん独学で習得する人もいるが、私の職場にそんな意識高い人はいない。
教えない限り、覚えようとしないのだ。

そんな人ほど気軽に「教えて」と言う。
もちろん、「この関数を入れたけどエラーが出る」「こんな資料が作りたい」と具体的に言われれば、教えられる。だが「Excel教えて」が困るのだ。何がしたいかによって使う機能は全く変わってくる。
その辺のパソコンスクールに行ってくれと思う。

「Excelは自分で触らないと覚えられないから、Excelの本を一冊買って、目次を読んでどんな機能があるかだけを見て、実際に使う時に本文を読むといい」とアドバイスする。あるいは「Excelの色んなところを実際に触ってみた方がいい」とアドバイスする。
だが、簡単に「Excel教えて」と言う人ほど、本も買わないし、Excelも触らない。何故だ。

老子も、魚の釣り方を教えれば一生食べていける、と言う。その通りなのだ。
Excelに限らず、機能が多いツールは一から十まで説明することは現実的ではない。どんな機能があるのかだけ把握しておけば、困った時に自分で解決できる。
最初は魚はなかなか釣れないし、関数はエラーばかり出てうまくいかないが、慣れていけば関数をいくつも組み合わせて仕事の効率化が図れる。

仕事ができない人は、その手間を惜しむ。
魚を自分で釣るより、魚を与えて欲しい。どうせうまく釣れないから。仕事もできる人に教えて欲しい。どうせ難しいから。その結果、どうなるのか。
自分が困った時、自力では何も解決できなくなる。そして、また簡単に人に聞いてしまう。自分の手と頭を使わずに、他人に解決してもらうと何も覚えないまま、あっという間に使えない社員になる。

自力解決できないだけならまだいい。余計なことをしないとも言える。
ゼークトの組織論では、自力解決できない何もしない人は「無能な怠け者」になるだろう。本人の能力さえ見極められていれば、指示を出せば出した分だけはやる。
毎日決まりきった仕事だけ与えておけばいい。

だが、自力で困り事を解決できない人は、大抵問題にならないような問題を大問題にしてしまう。
解決できない人は、誰に聞けばいいかすら理解していない。例えばAさんに聞けば秒で解決できる話を、無関係のBさんに聞いてしまう。そして、門外漢同士で訳の分からない動きをして、大騒動になる。
解決できないのに解決しようとする人は、ゼークトの組織論では「無能な働き者」になるだろう。

仕事をしていると、釣り方を教えるより魚を与えてしまった方が早いと思うことがある。
だが、新人相手にこれをやるのはスポイルだと私は思う。釣り方だけでなく、釣り竿の作り方や、よく釣れる餌の探し方、釣り場を見つけるコツも、私は教えたい。せっかく先輩方を見て覚えてきたのだ。少しでも伝えたい。
上手に釣れるようになるまで時間はかかるが、その方が本人のためになる。

そして、私にExcel教えてと言った人は、未だに値貼り付けもできないままだ。

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