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【ソリューションの見つけ方】

※facebookの記事を再掲します。

デザインでもビジネスでも、何かソリューションを求められる時に"Think outside the box"というフレーズをよく使います。
これはもちろん硬直したモノの見方からはいいアイディアは出てこないという考えに根ざしています。
一方で、全く制約のない問題というものは無いので、全てを取り払ってどんなことでも答えにしていいとも言えません。
割と気に入っている考え方があります。実は問題をもたらしている制約は無視できないという考え方です。
↓次の話はデザインシンキングのMOOC(Massive open online course)のコースで習った話をアレンジしたものです。

①昔々、マハラジャ軍とゴビ軍が戦うことになりました。マハラジャ軍は訓練された象を主力に敵を蹴散らし、しかる後に歩兵が始末をつける作戦で知られる百戦錬磨の軍隊。
②対するゴビ軍は馬を中心にした騎兵隊の部隊で、しかもその数はマハラジャ軍の5分の1でした。
③どう考えても勝ち目は無いのですが、ゴビ軍の司令官は撤退することなく一か八かの作戦に出ました。
④自軍の馬に焚き木を背負わせてマハラジャ軍の誇る象部隊に攻め込んだのです。
⑤ゴビ軍の馬たちは狂ったように突撃したので、炎に怯えた象たちは慌てて逆走し、なんと自軍の兵隊達を蹴散らしてしまいました。そして、ゴビ軍の騎兵たちはゆるりととどめをさしました。
⑥マハラジャ軍のもっとも強みとしていた象の部隊そのものが、ゴビ軍にとっては問題を解決するソリューションになったわけです。

つまり、制約のある世界の中でこそ、よりクリエイティブなソリューションを探すことがミッションなのだと言うこともできます。
そのコースではOutside the boxというお墨付きのあるコンセプトに対してClosed world-大きな世界ではあるけれど制約も意識するという意味では閉じられた世界、という考え方を使おうと提唱しています。


ところで、クリエイティビティについて書かれた本の中で、とても好きな一冊にAKQA+NIKEのチームによる「ベロシティ思考-最高の成果を上げるためのクリエイティブ術」*という本があります。(ベロシティ思考-最高の成果を上げるためのクリエイティブ術- | アジャズ・アーメッド, ステファン・オランダー, レイ・イナモト(日本版特別寄稿), 白倉三紀子 |本 | 通販 | Amazon)

この本の中でも、
◎主観が支配する世界にあっては、フィルターとなるものを設定することでスムーズに議論を進めていくことができるし、意思決定を民主的に行うことができる、という考え方が紹介されています。
”Closed world”(世界は大きいが、制約もある) の考え方の中では、いわゆるブレーンストーミングの方法を用いても、得てしてどこにも行き着かないことがあることについても触れられていて、まさに先ほど紹介した書籍「ベロシティ思考」で言う”フィルター”が設定されないままの議論によって混乱が起こってしまうことと通じるものがあるようです。

 例えば、ある清涼飲料のパッケージについて議論になったとき、キャラクターを用いたA案とシンプルなB案で意見が割れたとします。そこで、マーケットにおいて競合商品Cが赤色の非常に目立つパッケージで展開しており、それと並ばなければならないという制約を意識します。
 制約の設定によって、「赤色の隣に並んだ時にどう見えるか?」というフィルターが設定されます。フィルターが設定されないままでは、キャラクターの表情や、文字のフォントなど広範囲な議論が交わされていたかもしれません。しかし、フィルターが設定されていることで「赤に並ぶなら落ち着いた雰囲気のパッケージにしてはどうか」「寒色系でまとめるべきではないか」というような筋道の通った効率的な議論ができるのです。

一方、「ベロシティ思考」ではソリューションについてこういう風にも書かれています。
◎どんな時でも圧倒的に遠くまで行くことを考えよう。結果として遠くに行き過ぎたとしても、必要ならいつでも戻ってくることはできる。でも、十分に遠くまで行けなかったら、いつだって後悔することになる。
枠組みに囚われてはいけないが、フィルターを無視してはいけない。さらに、圧倒的に従来のものとは遠く離れたアイディアでないと後悔することになるということですね。

さきほどの例えでいうと、清涼飲料のパッケージは派手であるべきという枠組みにとらわれてはいけないし、だからといって「赤色の隣に並んだ時にどう見えるか?」というフィルターを無視してはならず、そして競合商品が赤色だから青色にしようというのではなく、さらに遠く、たとえば様々な色が使われたファッショナブルなデザインにしようというようなアイディアが必要だとされているのではないでしょうか。

Good design makes a product understandable.
- Dieter Rams

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