見出し画像

「Re-Designおおさか」でより良い市民サービスを~大阪市の未来を支えるDX人材育成プロジェクト~

大阪市は、2023年3月「Re-Designおおさか〜大阪市DX戦略〜」を策定し、大阪市の魅力を活かしつつデジタルの力を融合する取組を進めています。
また、DX戦略における推進体制の一つとしてDX人材育成を位置づけ、2023年4月に「大阪市DX人材育成方針」を策定しました。

その中でUdemy Business(以下、Udemy)を活用したDX人材育成を行っています。
DX戦略がめざす未来の姿や大阪市が育成したい人材像についてお聞きしました。

【話し手】
大阪市 デジタル統括室戦略担当(戦略グループ)担当係長 浦田諒さん
2005年に大阪市役所へ入庁。浪速区役所、水道局、総務局、ICT戦略室を経て2023年より現職。


デジタルを活用し行政の進化を促す「大阪市DX戦略」

近年、日本全体の課題として、生産年齢人口が減り労働力が不足する「2040年問題」が取り沙汰されています。
大阪市を含めた自治体も、労働力の減少によってこれまでの行政運営のスタイルでは対応できない時代がやってくる可能性が高まっています。

また直近では、コロナ禍をきっかけに生活様式や仕事の進め方が大きく変化しました。
そのような状況を踏まえ、2040年までに実現したい大阪市の未来の姿を描いた方針として2023年3月に「Re-Designおおさか〜大阪市DX戦略〜」を策定しました。

これまでの行政の在り方を見直し、さらなる「Well-being」をめざす

今回のDX戦略では、社会課題や社会ニーズの大きな変化に対応していくため、大阪市の行政サービスの在り方を見つめなおすことをテーマとして掲げています。
これまでのやり方をデザインし直すことに加え、大阪市の魅力を活かしながらデジタルの力を融合させることで「Well-beingを実感できる都市」へと成長・発展させていくことが目的です。

その活動の中では、区役所のDX、行政手続きのオンライン化の加速、そしてバックオフィスのDXやデータ活用を進めています。
これらの幅広い取組について、部局の垣根を超えた推進活動を行うのがデジタル統括室の役割です。

デジタル統括室は、専門的なデジタル知識を持つ集団として、全庁的な視野で取組を進めることが求められます。
大阪市の各区や局等について、デジタル統括室ではそれぞれの窓口担当者を決めました。

個別の支援体制を持つことにより、各部局へDX推進に関する声かけをすることに加え、DX推進で困ったことがあれば気軽に相談できる仕組みも整えています。
必要に応じて、DXの取組に対するソリューションの提案から事業計画の設計まで伴走型の支援にも対応しています。

DX推進の司令塔としての役割を担う人材育成

DX戦略では、職員一人ひとりの人材育成の必要性を掲げており、DX人材育成方針においても、全職員を「DX人材」と定義しています。
その中でも、デジタル統括室は「DXエキスパート」として、各所属と緊密に連携しながらDXを推進する司令塔のような役割を担っています。

DXの推進に向けては、専門的な知識もさることながら、より幅広い分野について学習するスキルアップの機会や、学習基盤の整備が必要であると考えました。
そこで今回、Udemyを活用したデジタル統括室職員に対する人材育成をスタートしました。

Udemyはスキル・経験が異なる職員の学びも幅広くカバーできる

デジタル統括室では、過去にもEラーニングやオンライン研修を利用してきましたが、任意受講のために学ぶ職員が限られてしまったり、職員それぞれの知識レベルに合った研修を見つけるのが難しいと感じたりする場面がありました。
そこで、デジタルやビジネススキルに関する講座が網羅的に用意されているUdemyを使い、レベルの違う職員も一様に学べる環境を用意しました。

Udemyには自治体職員向けの講座があり、随時アップデートされているので職員にも大変好評です。
また、デジタル分野ではネットワークやインフラ系など個別の業務に役立つ基礎知識も学べます。
非常に幅広い分野を自由に学べる点が便利だと感じます。

デジタル統括室では職級にかかわらず全員のレベルアップをめざしてUdemyを導入しました。
それぞれの担当業務に求められるスキルを身につけ、全体的にレベルアップしていくのが目標です。
今の時点では部長などのマネジメント層が積極的にUdemyを受講しており、学びに対する前向きな風土は部署全体にあると思います。 

スキルマップ作成やUdemy学習時間を設け学習を促進

Udemyの受講方法に関しては、60講座ほどをあらかじめ事務局で選定し、少なくとも3講座について期限内に受講することを周知しました。
ただ、受講ノルマを終えると学習が止まってしまう職員も一定数おり、通年で学べる環境づくりにはまだ課題が残ります。

デジタル統括室の職員は業務歴や在籍年数も様々で、それぞれの学びたい内容が違う中で固定の講座を必修とできないのが難しい部分です。
今後は業務の担当分野ごとにスキルマップや推奨講座を提示し、受講を促す仕組みづくりをしたいと思います。

デジタル統括室では「業務時間中にUdemy講座を受講してもよい」というルールにしていますが、やはり自席ではなかなか学びを進めづらい面があります。
そこで、今後は定期的に「もくもく会」を開催し、別室で集中してUdemyを受講するための時間を作る計画を立てました。
これを継続することで、Udemyの受講時間を徐々に伸ばしていきたいと考えています。

全市的な機運醸成とともに、「DXエキスパート」の育成を通じてDX推進へ着実に進む

DXに向けた機運醸成のため、デジタル統括室では月1回、全職員に対して「DXレター」(情報誌)を発行しています。
DXを進める意義、デジタル統括室の取組や他所属の参考事例、対面研修の実施結果など、様々な切り口からDXをわかりやすく紹介しています。

また、デジタル統括室の職員に向けた研修とともに、各所属のDXに向けた対面形式の研修等も適宜実施しています。
これらの機運醸成と人材育成を並行し、大阪市全体でDXを推進していけるように行動を継続したいと思います。