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コミティア148参加のお知らせ
!おしらせ! COMITIA148、「うみうし海底図書館」のスペースを頂けることとなりました! やった~~~~!!!
今回は魔書シリーズ新刊を2冊引っ提げて行きます。既刊もたくさんご用意がありますので、ぜひともいらしてください。
スペースは東1そ11Aとなります!
!新刊!「ペンドラゴンの騎士Ⅱ」
▽概要
舞台は魔書世界英国。「騎士」と呼ばれる国家守護機関と、魔書をめぐる短編集。Ⅰの続刊
第二話/無花果の葉は枯れた⑤【呪いの箱庭】
〈10/錆〉
入学してからおおよそ、1年と半年が経過した。6月の末、もうすぐ夏休みにさしかかろうとするこの時、グザヴィエは学院から渡された二枚の紙を握りしめ、頭を抱えていた。
その表題は『進路希望及び、次年度の授業選択希望票』、『血液詳細検査案内書』。前者は、言うまでも無く、今後の進路とそれに準じた科目を記入するための書類。後者は、魔術師としての適性を生体基準で測定するための指令書。成人し、
第二話/無花果の葉は枯れた③【呪いの箱庭】
〈7/情動〉
埃と黴の匂いに包まれる、廃校舎の一室。若き命溢れる華々しい外界から隔絶されたその空間に二人はいた。
ふたり。そう、たった二人きり。
肩に感じる僅かな重みに、心が満たされる。
つい先ほど、学院の不良集団に目をつけられ、暴行を受けていたルノーを助け出した。随分とひどくされたようで、全身は痣だらけ。目を背けたくなるほどの傷を負ってしまっていた。
もし、廊下での会話の直後
第二話/無花果の葉は枯れた①【呪いの箱庭】
〈1/レイ家の呪い〉
「レイ家の血を引く物は皆、〈獣の呪い〉をその身に宿す」
父から告げられた真実に、グザヴィエはぎこちなく微笑む。幼き彼は父の口から語られる真実を、もう既に知っていた。
ああ、知ってるよ。
そう言い放つには、リビングの空気は張り詰め過ぎていた。父と母は申し訳なさそうに俯き、メイドは眉1つ動かさず、来る食事の時間へ向けて支度を整えていた。
両者の間に存在する決定的
第一話/白鳥のワルツ⑤【呪いの箱庭】
〈7/一時の風〉
「えぇと、だからして。〈獣〉の血を引き継ぐ者には、魔術師でありながら〈獣〉と特製を引き継ぐ者が現れる。これは極めて稀な事例であるが……」
教授の言葉を遮るように、終礼が鳴った。生徒たちはそそくさと教材を片付け、各々席を立っていく。ルノーもまた、その一人だった。
足下に差し出された爪先を軽々と飛び越え、教室を出る。心地よい初秋の風を凪ぎながら、彼の言う集合場所を目指した。
第四話/獅子の心臓⑥【ペンドラゴンの騎士】
六章/暁
一九二〇年、九月。穏やかな潮風の吹くその日、テンビー=ペンドラゴン城の前にはロンドン行きの馬車が停まっていた。
その乗客であるリュザールは、未だ自室の中。伸びた髪に、しっかりと香油を馴染ませている。あの日から伸ばしていた髪は腰まで届き、分隊の誰よりも艶やかな光沢を持つ。ここまで美しくなったのは、洒落もの好きのトレイシーに、毎日のように櫛で整えられていたおかげだろう。
机の上に並べ