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日本国憲法と2025年入試を考える

 今日は憲法記念日です。メディアや政党が日本国憲法について見解を出す日でもあります。
 日本国憲法は日本の最高法規です。そのため毎年日本国憲法を振りにした問題が出ます。
 ここ数年、毎年日本国憲法と時事問題に関する記事をnoteに掲載しました。

日本国憲法と2022年入試を考える|中貴社|note

日本国憲法と2023年入試を考える|中貴社|note

日本国憲法と2024年入試を考える|田中則行(旧中貴社) (note.com)

 今年も時事問題と関連づけて日本国憲法について考えてみたいと思います。

追伸:2025年で狙われる時事問題も近日中に提示したいと思います。


1,2025年入試で注目したい日本国憲法


 日本国憲法は11の章からなります。そこで、各章の重要度を表にまとめました。


 誤解して欲しくないのは、「無印=出ない」ではないというわけではありません。あくまでも時事問題と関連づけて出題しやすい章というだけのことです。公民分野の学習を通して日本国憲法そして条文を理解して欲しいと思います。では、関連度に合わせて紹介していきたいと思います。

 ただし先に申しあげると、2025年入試は日本国憲法と時事問題が深く結びつくことはあまりないと思います。もちろんそれなりに関連しますが、憲法の条文に明確に記されているものではなく、憲法に基づいて制定された法律と深く関連するニュースが多いからです。その点も交えて述べていきたいと思います。


(1)基本的人権の尊重

 人権に関する問題は毎年注目されます。では2025年入試ではどの人権が注目されるでしょう。

①平等権
 
平等権は日本国憲法第14条に記されています。

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 もちろん、ジェンダーと関連づけた男女差別の出題も考えられます。他にも身体障害者に関することが時事問題と関連づけて出題される可能性があります。例えば、映画館などのレジャー施設に車イスの方や盲導犬を連れてきた方の入場が断られたことがニュースになりました。平等権で考えると問題といえますし、それに関連づけた問題も出るでしょう。ただし、問題を述べただけでは解決できません。解決のためにどのようなことが考えられるか、そうした思考型の問題が出る可能性があると思います。みなさんもニュースを見て問題を感じたら、そこで終わりにせずどうしたら解決できるか、また自分の考えた解決策に何か問題がないかと深く考えてみて下さい。

②社会権

 社会権も様々な項目がありますが、その中でも労働に関するものが注目されるでしょう。2024年4月に改正労働基準法が施行され、トラック運転手などの残業時間の規制が徹底されるようになりました。そのことで物流が滞る2024年問題が生じるおそれがあります。こうした問題に対して雇用する側、労働者、利用する私たちがどう取り組むべきか。それぞれの立場から考える必要があります。もちろん、それに関連した問題も出る可能性は十分にあります。
 ただし、平等権には身体障害者のこと、社会権には労働時間については書かれていません。憲法を基に制定された法律に記され、人権を保障しています。このように日本国憲法に明記されているものと結びつきにくいことが先述した日本国憲法と時事問題が結びつきにくい理由だと考えるのです

(2)平和主義

 平和主義は日本国憲法第9条に記されています
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しな い。国の交戦権は、これを認めない。  

 2022年のロシアのウクライナ侵攻、2023年のイスラエルとパレスチナのハマスとの対立、2023年度予算における防衛費の増額など世界の平和が脅かされていることが日本にも影響を及ぼすようになりました。
 しかし、2025年入試ではこれらと関連づけて平和主義を扱う可能性は低いと思います。それよりも2025年が戦後80年ということを踏まえて改めて平和主義について考えさせる問題が出る可能性があります。また、2024年でみると自衛隊が発足して70年になります。戦後80年と自衛隊70年と関連づけて平和主義が扱われる可能性が高いでしょう

(3)国会

  国会について出題される可能性が高まるのは2つの場合です。
 ①大きな法律が制定したとき
 ②選挙が行われたとき
 ①については政治資金規正法や改正民法(共同親権)など重要な法案の審議が行われていますが、小学生には少し扱いにくいテーマですので出題される可能性は低いでしょう。また他の法律も中学受験生に高い関心を持ってほしいものとまでは言えないので、①からの出題は少ないと言えます。 
 むしろ狙われやすいのは②です。入試年の2025年は参議院議員通常選挙が行われます。また衆議院も2025年に任期を満了します。いずれにしても選挙はテーマになる可能性が高いのです。
 対策としては衆参両院の定数などの数字に関することや選挙の仕組みなどを押さえることです。国会の仕組みはそれを押さえてから学習するといいでしょう。国会についても憲法の条文よりも国会に関連する法律や仕組みなどに注目して対策するといいでしょう。

(4)内閣

 内閣に(○)と(  )付けしているのには理由があります。(  )が外して時事問題と絡めて注目するテーマになるとしたら、内閣総理大臣が交代した場合のみです。ただ、これについては不確定要素が強いため、あまり深く考えないといいでしょう。 
 ではもし内閣総理大臣が交代したらどのような視点での出題が考えられるでしょう。内閣総理大臣の選ばれ方、内閣の主な仕事が狙われやすくなるでしょう。他にも内閣を構成する省庁の機能に関する出題も考えられます。 
 つまり、内閣に関することと言ってもそれほど特別なことではありません。現内閣総理大臣もしくは次の内閣総理大臣を漢字で正確に書けるようにしておけば、時事問題における内閣の対策は十分といえるでしょう。

2,まとめにかえて

 以上、日本国憲法と2025年入試のポイントは以下の通りです。
①時事問題に関わらず日本国憲法は押さえるべき
②2025年入試は例年に比べて日本国憲法と時事問題を絡めた大問は組みづらい
③その中で比較的狙われやすいのが、基本的人権の尊重(平等権・社会権)、平和主義(戦後80年)、国会(参議院選挙)

 改めてですが2025年入試では日本国憲法と時事問題を関連づけた問題は多くは出ないでしょう。ただし、日本国憲法が中学入試で出ないということではありません。日本国憲法の主な条文は押さえて下さい。
 最後に2つ。1つはこの記事が5月3日時点ということです。これから日本国憲法と大きく結びつくニュースが起きるかもしれません。もし起きたら、そのニュースと日本国憲法を結びつけて学習を進めて下さい。
 もう1つは日本国憲法を基にした問題は2026年、2027年入試で出やすいということです。日本国憲法は1946年11月3日公布、1947年5月3日に施行されました。つまり、2026年、2027年はいずれにしても日本国憲法公布もしくは施行から80年になります。こういう周年問題は中学入試でよく出ます。日本国憲法の場合ですと憲法改正と結びつけた出題が考えられます。現5年生と4年生は今から対策する必要はありませんが、受験学年になった際は強い関心を持って学習して欲しいと思います。


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