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優勝争いのプレッシャーがまだ見えてこない(神戸3-1鹿島)

今年、神戸をリーグ優勝候補にはしていなかった。
そしてリーグ中盤になって神戸が首位に立っていた時も優勝はないと予想していた。
理由はシンプルに、

「リーグ優勝争いをしたことないクラブが、いきなり優勝を成し遂げる事例はほぼないから」


川崎はシルバーコレクターと揶揄される程、何度もリーグ優勝争いをしつつも逃してきた。その経験を経て4度のリーグ優勝を成し遂げている。
マリノスは95年および03、04年の連覇を既に経験しているし2013年は最後の最後で広島にリーグ優勝を掻っ攫われる悲劇も経験している。
過去10年、20年で一度もリーグ優勝争いをしていない中、いきなり初優勝を成し遂げたクラブは一つもない。
2011年優勝の柏も鹿島との優勝争いを過去に経験しているし、2010年優勝の名古屋もリーグ2位を過去に何度も経験しての初優勝。2005年ガンバも2002年に磐田との優勝争いを経験している。

なので、神戸は優勝しない
いくら中盤までは圧倒的な戦力で勝ち点を積み重ねても途中で初のリーグ優勝争いのプレッシャーに潰れて、一気に崩れ始めるだろう。そこを優勝争い経験を持つクラブが追い抜く……、
そう予想していた。

この自分の予想が崩れたかと思わせたのが、前節マリノスとのアウェー直接対決。
現地日産で観戦していたが、神戸はプレッシャーとはまるで無縁のペースで悠々と0-2の完勝。
むしろマリノス側が「絶対に勝たないと」というプレッシャーに飲まれたかのような動きでなすすべなく神戸に完敗。(正直、マリノスが2013年の6万人大観衆・ホームで勝って優勝決める新潟戦を0-2で落としたあの光景がフラッシュバックした)

この試合で
「全くプレッシャーを感じさせてないしこのまま突き抜けるのでは?」
「初のリーグ優勝争いから初優勝を成し遂げる超レアなクラブとなるのでは?」
と自分の予想が揺らぐ気配をもったし、神戸のプレーを見ててかなりの驚きをもった。

そして今日のホーム扱い・国立での鹿島戦。
マリノス戦と全く同じ光景が繰り広げられた。

百戦錬磨の鹿島なら神戸に何かやれるのでは、そう思った人もいたかもしれないが、鹿島は何もできていなかった。
神戸が淡々と鹿島の最大の弱点である左SB安西を突きまくって前半で2-0。
あまりにも神戸が楽々と狙い通りにリードする前半、あまりにも鹿島が何もできない、ただただ弱点を手当てすることできずに追い込まれた前半。
観客側も当然それは皆わかっていたので、後半開始の鹿島ゴール裏からは「奇跡を起こせ」のチャントが延々と歌われていた。それほどまでに差があった。

プレッシャーによる試合影響は具体的に何を指すのか。
例えばトラップ。ボールが足につかない、そこまで酷くなくてもいつもよりほんの少しだけトラップが大きくなり相手に奪われる。
例えばパス。無茶な厳しいパスで受け手と合わない、少しズレたとこに出してしまい相手に奪われる、タッチラインを割る。
こんなシーンがほとんど神戸にはなかった。今節鹿島戦も、前節マリノス戦も。

マリノス戦後:武藤嘉紀
「本当、僕たちの120%を出さないと勝てない試合だと分かっていました。どんな状態になろうと、たとえ筋肉が切れてしまっても、とにかく最後までチームのために走り続けるという気持ちを持って今日は試合に臨みました」

マリノス戦後の、非常に印象的な武藤のコメント。
確かにマリノス戦はタイムアップの瞬間神戸の選手達がバタバタと精魂尽き果て倒れていた。今日の鹿島戦も終了後に佐々木がピッチに倒れていた。自分が見ている限りではプレッシャーの影響を感じ取れなかったが、選手達は内心プレッシャーを感じているのかもしれない。

ただ、それが試合には出ていない。
これこそが今の神戸の強みだと思う。

相手に対し前半のうちに得点重ねてイージーな展開を勝ち取れる。
それは無理をして大きな怪我に繋がることも避けられる。

神戸の関東四連戦、マリノス、鹿島、湘南、浦和。
全て現地で見届けるが次の湘南は残留争いで必死であり、浦和は埼スタ大観衆で大きな圧をかけてくる。相当やりにくい相手だろうが、もう残り4試合。ここで2位マリノスとの勝ち点差は4。
マリノスの方が守備陣の怪我人続出+ACLの過密日程で遥かに厳しい状況なので、神戸がプレッシャーに押し潰されようともマリノス側が満身創痍で自滅していく可能性もある。

現時点では神戸が圧倒的に有利。
そして「優勝争いのプレッシャーがまだ見えてこない」
いつ見えてくるのか。
残り31節・湘南戦か、32節・浦和戦か、33節・名古屋戦か、最終節ガンバ戦か。または、プレッシャー感じつつも試合では出てこないまま乗り切って優勝を掴み取るのか。
本当に気になる。最後まで見届けたい。
残り4試合。

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