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千代に織る『日向坂で会いましょう』は継ぎゆき

今回も『日向坂で会いましょう』おもしろかったですね。

うすうす気づかれてるとおもうが、わたしは日向坂4期生についてそこまで深くは知らない。ライブは昨年の『Happy Train Tour』で数曲見かけた程度だったし『おもてなし会』や『新参者』などのイベントは不参加だったので、彼女たちを知るメディアは各位ブログや主にこの『日向坂で会いましょう』くらいで、それ以上積極的に踏み込んでいこうともそこまで思っていない。孫をみてる気持ちってこんな感じかもしれない

なので最近はそこを逆手にとり、『日向坂で会いましょう』で4期生のパーソナリティや彼女たちの成長をまなざしていこうというスタンスを採用している。今回の企画である、11thシングルセンターをつとめる正源司陽子にまつわるクイズを出題する【アタイ!知りたい!深堀りタイ!正源司王決定戦!!】企画は、まさにドンピシャの企画だと思っていた。先週までは

この企画は正源司陽子にまつわるクイズを同期である4期生メンバーが出題、その問題を先輩メンバーが回答するという構造。むき出しの大喜利などで先輩が屋台骨を形成しつつ、その下を渡辺莉奈のモノマネや山下葉留花の不安定な日本語など、4期生が存分にチャレンジングしていたようにみえた。わたしが気づいてる範囲だが、個性ができたり個性になったり、個性がキャラクターとして確立してるメンバーがちらほら見られる。

特に平尾帆夏がポイントを横取りする相手を選ぶときに「普通に考えて、春日さん」と指名したシーンでは、あまりの落ち着きっぷりに思わず身体をのけぞってしまったウケることを察知した上でそれを最大限にもっていくために演出をほどこす胆力。これまでも所々で爪痕を残してきた彼女が着実に成長しているのが明確にわかる場面だった。

ほかには、大活躍だった森本茉莉。彼女を見る若林の顔は、何かしでかしてくれる彼女への期待感を隠しきれないでいた。一生懸命ふざけようとしているのに恥ずかしさが勝ってしまうのか、ずっと顔が赤かったのが可愛かった。

選抜制が導入されて企画に流動性が生まれてしまったことで、名シーンが生まれても定着しにくくなってしまった

『日向坂で会いましょう』の果実はドロップキックで皮を割る」より

今回の放送をみて、こんなことを前回記事で言ってたおのれを大いに恥じたむしろ逆。メンバーの増員によって手数が増えて流動性が生まれたことで名シーンが量産できるようになったのだ。さながら高度経済成長期にみられた大量生産・大量消費のように、次から次へと新しいものを生み出されては消費していくフェーズへと移行していた。

大喜利から始まった連鎖化学反応は春日を動かし、若林を動かした。見事な編集をかけられた24時間テレビ風エンディングの総仕上げは、この収録で何かが欠けていたら実現しなかった奇跡の光景だったとおもう。

あの時間で巻き起こったのは、かつて”バラエティに一生懸命”と称された日向坂46の熱量を引き継ぎながらも、新たな視点・アプローチによってその精神性があらたな形に再構築されようとしている営み。いわゆる「伝統」である。今回の『日向坂で会いましょう』では、ただ単にめちゃくちゃおもしろかっただけではなく、それ以上に意義のある回だったようにおもえた。

おしまい。


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