レシートをスマホで快適にスキャンすることだけ考えていたら、「家電」を作ることになった話
「もっと楽に、レシートをスマホでスキャンできないの?」
そんな言葉がまた私に投げかけられてきた。
2022年に「レシートスキャンボード」というニッチ極まりない商品をリリースしたうちのお店。
スマホのカメラでレシートをスキャンすれば、原本を捨ててもよいという法改正もあり、実際に試してみた時に起こるイライラが開発のきっかけだった。
デスクを片付けないと撮影場所が確保できなかったり。
クリアホルダーでシワシワのレシートを伸ばしても、天井照明が映り込んでしまったり、自分の影が入ったり……
そんな小さな苛立ちを解決できるアイテムとして販売した所、なんと漫画家さんの業界も含めてたくさんのご注文をいただくことになった。
じゃあ、冒頭のような言葉はもう投げかけられないのではないか?
そう思われた通り、お客様からそういった言葉はいただいたことはない。
むしろこんなニッチな解決アイテムを作ってくれてありがとうといった感謝をいただくことすらあるくらいだ。
でも、他ならない自分がレシートスキャンボードを使っていて、「もっと簡単にできるのではないか?」と考えてしまったのだ。
たしかに、レシートスキャンボードを使えばスキャンは捗る。
けれど、100枚以上溜まったレシートをまとめてスキャンする時、ボードを書見台に立てかけたり、数枚一気にレシートを挟んで撮影したりする時に先にセッティングしたレシートがズレてしまったり、小さな苛立ちがあった。
そう思ったら黙っていられない。
再び誰も取り組んでいない業務改善に向かって、ドケットストアは取り組み、そして遂に最強のレシートスキャンボードこと、「レシートスキャンボードPRO」をこの度発表した。
いやいや、もう十分だよ。
レシートスキャンボードで、なんなら低反射の安いシートがあればいいんだよ。
そういう方もいらっしゃるとは思うのだけど、見るのはタダだ。
ぜひ文具バカの開発したアイテム「レシートスキャンボードPRO」をご紹介させていただければと思う。
レシートスキャンボードへの身も蓋もない不満
レシートスキャンボードは、低反射シートという反射しにくい素材を採用し、レシートをバインディングボードと挟み込むことで固定し、スマートフォンのカメラを使ったレシートのスキャンをスムーズにしてくれるアイテムだ。
もちろん使い心地にこだわって作ったため、あるのとないのとではレシートスキャンの快適さがぜんぜん違う。
これは今も変わらず自信を持って言えることだ。
ポケットの中でしわしわになってしまったレシートも、この通りしっかり伸ばして撮影することができる。
バイク通勤の際についついポケットに突っ込んでぐちゃぐちゃになってしまったレシートがどれだけ助けられてきたかわからない。
さらに、これは副次的な効果ではあるのだが、低反射シートで挟み込むことによって、摩擦と静電気が働き、レシートを挟んだ状態でボードを斜めに傾けても、レシートがずり落ちないというのも大きな特徴だ。
この機能によって、斜めにすれば天井照明の映り込みそのものが少なくなるし、デスクの上でなくても手に持って気軽にレシートのスキャンができるようになった。
しかしながら、画像のように複数枚のレシートをセッティングして撮影する際に小さな苛立ちがあった。
それは、デスクの上に置いてきちんとセッティングしないと、低反射シートで複数枚のレシートを挟んでる途中で初めにセッティングしたレシートがズレてしまったりするのだ。
知らんがなと思われる方は多数おられると思うけれど、これが制作した本人のプチクレームなのだから無視はできない。
更にこれもどうでもいい問題に感じられるかもしれないのだけど、ずっと作業をしているとレシートスキャンボードを持つ手が疲れてくるのだ。
結果としてクリップボードや本を立てるためのアイテムと組み合わせて使うことで解決を図るのだけど、1台でうまく完結できないものか……
あと、そもそもキレイなレシートは、低反射シートに挟み込まなくてもシワがそもそもないんだし、手間なのでこうなんというか「パッ」とくっつけるだけで固定されたらいいのに。
そんなうまい話が……、あったのである。
くっつくという快感と解決法
レシートスキャンボードPROは、先程あげた身も蓋もない制作者の不満を解決できるようにできている。
低反射シートで挟み込むことがめんどくさかった私は、ある技術に目をつけることになった。
それは「静電気による吸着機能」である。
微弱な静電気を発生する装置を搭載することで、このように「レシートをのせるだけで固定する」ことが可能になった。
保持力についてもこの通り。逆さにしても落ちることはない。
キレイなレシートであれば、想像以上にしっかりとくっついてくれることがわかると思う。
複数枚を固定する際にもこの通り。
先に貼ったレシートがずれるかなんて気にしなくて良い。
この感触だけでもものすごく気持ちいい。
狙ったところにビシっと貼り付く様は、なんともいえない快感につながる。
ただ、実はこの「静電吸着ボード」というのは目新しい技術ではない。
複数のメーカーから吸着機能のある商品は世に出て10年以上が経過している。
メモなんかを貼り付けて使っている人も多いし、イベント施設ではポスターを固定するための巨大なタイプも使われている。
単4電池4個で静電気を発生させることができ、貼り付けるだけなら半年近く稼働する省エネな技術でもあり、紙が貼ったり離れたりする時ぐらいしか電気を消耗しないのもぽいんと。
実際、レシートスキャンボードを開発する際にも一瞬思い出していたのだが、レシートをスキャンする上では一つ、気になる弱点があった。
それは「キレイに貼り付きすぎる」こと。
静電気によってピタッと貼り付いてしまうと、レシートの角がしわになってしまう勢いでこすらないと剥がれないこともしばしばあるのだ。
これでは「快適」なレシートスキャン体験とはいえない。
ただ、ここで思いもしないものが役立つことになった。
それがレシートスキャンボードの心臓とも言える「低反射シート」である。
取り外しも気持ちよくなければ意味がない
低反射シートは、レシートスキャンボードの心臓とも言えるパーツだ。
大阪の老舗デスクマットメーカーMIWAXさんの協力をいただき、レシートスキャンボードでレシートを撮影するためのパーツとして採用することが出来ている
。
強めのLEDライトでクリアホルダー(左)と低反射シート(右)を交互に照らしても一目瞭然。
光源の映り込みを分散してくれることで、多少白っぽくなるというデメリットはあるものの、極端な色飛びを防いでくれている。
実際にパーツとして販売している低反射シートは2023年だけでも3000枚以上が売れており、漫画家さんに愛用されたことがニュースになったり、大きな会社のデジタル化のための備品としても採用された実績もある。
この低反射シートが一体、静電吸着ボードとなんの関係があるのか。
私自身もそう思っていた。
でも、アイデアは何かと何かの組み合わせという本がロングセラーであるように、静電吸着ボードと低反射シートを物理的に重ねたことで、想像していなかった活用方法が見つかった。
そう。この通り。
レシートが楽に剥がせるようになってしまったのである。
低反射シートには「やわらかい」という性質と、「静電気を帯びやすい」という性質が元々あった。
レシートスキャンボードにおいても、その性質のおかげで挟んだレシートがズレ落ちにくいという機能性が得られていた。
これが「静電吸着ボード」が発生させる静電気をその表面に帯びることで、レシートのような静電気でくっつきやすい薄い紙をしっかり吸着。
更に、くにゃっとくねらせることで、硬い静電吸着ボードでは不可能な「剥がしやすさ」を実現することに成功したのである。
この貼って剥がせる動作は、他に体験したことがないような快感がある。
経理という面倒くさい作業に、感触的な快感が付随することは、すこしでも日々の作業を快適にする要素としても必要なことだと思っている。
もちろんシワ伸ばしもできること
低反射シートを採用することによって、レシートスキャンボードの得意技であった「しわくちゃレシートをキレイに伸ばす」という技ももちろん展開することができる。
しわくちゃなレシートは本来、静電吸着ボードに単体ではひっつきにくい。
それは、ボードとレシートの間に空間が生まれてしまうことでピッタリとくっつくことができないからだ。
しかしながらボードと同じサイズの低反射シート自体が静電気の力でボードに吸い付くため、しっかりとレシートを伸ばしながら固定することに成功した。
しかも、静電吸着ボードから剥がす際にも、低反射シートで挟み込むことをやめれば、静電気による固定ができずに自然と剥がしやすい状態になる。
このように低反射シートの表面でキレイなレシートを固定し、低反射シートの内側でシワクチャなレシートを挟み込むこと役割分けができていることは、スムーズなレシートスキャン体験を実現する鍵となっている。
待望のA4サイズへの対応
実は、レシートスキャンボードに対してお客様から「A4サイズに対応してほしい!」という声を多く頂いていた。
理由は、A4サイズの書類やイベントのチラシ・パンフレット、お子様の持って帰ってきたシワクチャな「学校からのお知らせ」などをデータ化したいという背景からだった。
配送料等の物流上の理由からなかなか実現できなかったA4書類のスキャンも、レシートスキャンボードPROならしっかりとお役に立てる。
更に、A4資料やメモをデスクに置いておくのにも「レシートスキャンボードPRO」は活躍する。
これは、静電吸着ボードであれば同じ様に使ってきた方もいらっしゃると思うのだけど、なにせ剥がしやすさが従来とは大きく違う。
静電吸着ボードから剥がすのがめんどくさいので、ブックマークのようにメモをはみ出させる形で貼り付けていた……なんて方にもぜひオススメをしたい。
もちろん立たせて置くために、手で支える必要はない。
レシートスキャンボードPROに搭載されたスタンドは、多段階で角度調整をしつつ、あなたのレシートやメモ、書類を保持してくれる。
この様に「レシートスキャンボードPRO」を置いて撮影をしたり、
スタンドを外して、「ヨコ」モードにすることも可能となっている。
領収書も感熱紙でレジから印刷されるタイプは極端に長いケースもある。
タテヨコ、それぞれ使いやすい形で使ってもらえれば嬉しい。
そして、私のように長時間レシートスキャンボードを手に持つのがしんどかった方がいらっしゃれば使ってみてほしい。
「レシートスキャンボードPRO」の販売を開始します
レシートを快適にスキャンしたい男の試行錯誤を書かせていただきました。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。
また、今回の「レシートスキャンボードPRO」は、ドケットストア初の家電への挑戦となりました。
静電気吸着ボードの日本国内での特許を持ち、静電チャックのパイオニアであるクリエイティブテクノロジー株式会社さんの「ESCLIP」を本体パーツとして使用することで、安心して御使用頂ける様に製造してまいります。
全く、家電を作ることなんて考えていなかったのですが、快適さを求め続けているとどうしても作らずにいられなくなりました。
この記事を読んでいただいた方にはぜひ、この使い心地をお試しいただければと思います。
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予約販売について
「レシートスキャンボードPRO」は、オンラインストアで予約販売をスタートしております。
2月からの出荷を予定しておりまして、おまたせする分「10%OFF」にてご用意をしております。
PROではない「レシートスキャンボード」も下記サイトにて好評販売中です!
東京でのポップアップイベントについて
また、2023年12月19日(火)〜12月20日(水)の2日間
アトレ恵比寿の有隣堂書店様で数量限定での「試験モデル」の販売を行います。
20点の数量限定での試験販売となりますので、なくなり次第終了となりますため、予めご了承下さい。
※試験販売モデルはパッケージが仮パッケージであることと、製品版と仕様が一部異なりますのでご確認をお願い致します。
※価格については販売予定価格である定価 ¥6,600(税込)での販売となりますのでご注意下さい。
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