矢口 季男(天風哲学を経営に活かす)

主に小規模企業を対象に経営コンサルタントを行っています。約37年間、2万人以上の社長さ…

矢口 季男(天風哲学を経営に活かす)

主に小規模企業を対象に経営コンサルタントを行っています。約37年間、2万人以上の社長さんと向かい合ってきました。 これらの経験から学んだことと天風哲学を学んだこと、この両方との関連性にはかなり多くの共通点があることを感じました。

最近の記事

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 9-1

経営は単純に考えるべき(9-1)  私の最近(2023~2024年)の相談経験から話してみたい。県北のある和洋菓子製造販売業の件であるが、この会社は創業100年以上の老舗会社で観光客などを対象とした土産店として発足。その後事業拡大に波に乗り、現在の売上高の70%以上は首都圏の量販店など向けの卸売業である。  当初は観光地である当地に2店舗を出店、取り扱う菓子類は味や見栄えが良く、ネームバリューもあり、また老舗ということから安定的な商売がなされていた。しかし、さらなる売上拡大の

    • 天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 8-2

      社長の気持ちの持ち方は重要(8-2) 前回からの続き ③ 気の持ち方によっては命を落とす-その1 1883年、オランダで国事犯を使って一つの実験が行われた。ひとりの人間からどれだけの血液をとったら人間は死ぬものかというもの。医師団はブアメード(国事犯)をベットの上に縛り付けて周りで話し合いをする。「1/3の血液を失ったら人間は死ぬでしょう」という結論に達した。 医師団は「これから実験を始めます」といって、ブアメードの足の親指にメスを入れた。数時間が過ぎた。医師団は「どれくら

      • 天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 8-1

        社長の気持ちの持ち方は重要(8-1)  今回は堅い話から離れ、「眼からウロコが落ちる本」(笠巻勝利著)から引用してリラックスしてみたい。すべて実話に基づいています。 ① アメリカの心理学者エルマ・ゲイツ博士の人間の吐き出す息を使った実験  ■ 健全な人間の吐き出す息は無色  ■ 怒っているときの息の沈殿物の色は栗色  ■ 悲しんだり、苦しんだりしているときの息の沈殿物は灰色  ■ 後悔して苦しんでいるときの息の沈殿物は淡紅色   栗色の沈殿物を水に溶かしネズミに

        • 天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-2

          社長の心構えと必要な考え方(7-2) ④ 経営がうまくいかない場合の責任 ダメな社長の共通点に経営がうまくいっていない場合の原因を社長自身以外に置いている。業種・業態にもよるが一般的には自分以外の他人などであり、それが競合店であったり、立地であったり、景気であったり、あるいは従業員や取引先に起因していると判断している。 逆に経営がうまくいっている社長は、例え今回のコロナ禍においての業績不振であっても、自らの判断ミス、対応ミスによって回避できなかったと前向きに捉え、社長自ら

        天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 9-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-1

          社長の心構えと必要な考え方(7-1) 中小規模企業の盛衰の原因を追っていくと、最終的には社長の心構えや考え方に起因している例が多い。一方、経営管理や知識、技術、手法などノハウツー的な知識も重要な要素となる。 前者を経営者の「人間力」、後者を「経営力」というならば、この両者がバランスよく確立されていなければ安定経営は難しい。特に前者の人間力が安定経営の前提条件となる。 では、どのような社長が安定的な経営を行う人間力を持っているのかをみると、これまた共有点がある。これを天風哲学か

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-2

          社長、その考え方で大丈夫ですか(6-2)  次に小規模企業の社長の役割や責任について考えていきたい。下図は先ほどのピラミッド図の全く正反対の逆ピラミット図であり、小規模企業における社長の責任の重さを表している。すなわち社長が企業全体を支えている。従業員が少ないため組織化の必要性はなく、むしろ社長の意思決定力が会社の存亡を決定づける。 小規模企業や創業間もない一部の企業などはいつ倒れてもおかしくない状態にあり、またその支えとなっているのは社長一人である。したがって、社長の意

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-2

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-1

          社長、その考え方で大丈夫ですか(6-1) 小規模企業に組織は必要か、その前に組織とは何かを考えてみたい。組織とは、企業などにおいて二人以上が共通の目的を遂げようとする場合に必要な「分業」と「調整」の仕組みといえる。 社内での部門や役職の相互関係、また指揮系統や予算の配分、役割や権限を明確にすることといえる。また、組織図の作成目的は、組織管理のために役立たせ機能をスムーズにするためともいえる。 しかし、小規模企業でも社長に就くと、社屋の有無、従業員数や売上規模、さらに自らの

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-2

          当社の使命とは (5-2) したがって、企業は規模の大小、顧客層、市場、商品やサービスなどに関係なく、その企業を必要としている人達や企業などが存在している以上、価値を果たしているといえる。ただ、ここで考えなくてはいけないのは、企業の存在価値と存続とは違うことである。いくら価値を果たしていると思っていても、業績不振で存在が危ぶまれる企業もある。いわゆる企業存続のため資金を稼ぐことができない場合は、必然的に市場から去らなければならない。 ここに企業の存在価値だけではなく企業存

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-2

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-1

          当社の使命とは (5-1) 企業が存在する意義はどこにあるのだろうか。同様に人間は何のために生まれてきたのだろうか。両方とも共通の課題が含まれており、回答も一つに集約できるのではないだろうか。 私たちが生まれてきたことは偶然でもなく必然的でかつ必要だから、すなわち生まれるべきして生まれたのであって明確な目的があるはずである。 この問いに対する回答は人それぞれの解釈があり、どれが正解であるかどうかは定かではないが、経営に携わる人間であれば、この点を明確にして対応していくこと

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-2

          正しい経営とは何か!(4-2) 一方、経営が成り立つためには、適正利益を獲得して企業の維持発展を行っていかねばならない。その中には人件費や光熱費などその企業が必要とする経費が維持でき、さらに税金や社会保険、あるいは借り入れがあれば返済原資なども賄わなければならない。 ということは、必要経費を賄うだけの利益を獲得しても顧客が十分に満足できる商品やサービスを提供していかねばならないことになる。 ここに正しい経営の根幹は、企業が維持するための必要最低限の経費等を賄うだけの利益を獲得

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-2

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-1

          正しい経営とは何か!(4-1) 経営とは一般的に複数の人が協力して、その会社の目的・役割を果たすためにある。その目的や役割は何かというと、当社が扱う製品や商品そしてサービスなどを通して、これらを必要とする人たちに適正価格でスムーズに提供することにある。その結果は満足を伴うものでなければならない。 こう考えると、あらゆる会社は、その会社の提供するモノやサービスによって社会全体、あるいは個々の人たちに役立つことを行ない、強いてはこの行為が社会全体の進化と向上をもたらしているも

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 3-2

          社長の仕事は「金の管理」と「人の管理」で十分(3-2) 人の管理とは、命令や指示をすることだけをいうのではない。従業員一人ひとりのモチベーションを高め、自ら率先して動くように仕向けることである。それには、会社の目的や理念を理解し、全員が一体として同じ方向に向かって動くようにすることである。 まず、社長自身が会社の目的や理念を明確に理解していなければ、社長の背中をみている従業員には伝わらない。当社の存在意義はどこにあるのか、一般的には顧客、従業員、そして広く当社を取り巻く社会全

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 3-2

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 3-1

          社長の仕事は「金の管理」と「人の管理」で十分(3-1) ここでは小規模企業の場合を例にとって述べる。極端なことかもしれないが、私の経験からいえることは、社長の仕事(管理)とは「金の管理」と「人の管理」で経営の80%以上をこなしたといってもよい。しかし実態は「金の管理」から逃げている姿が多く見受けられる。社長の奥さんや身内、あるいは従業員に経理を任せ、自らは営業や現場の仕事を優先している姿である。 社長が自らお金の心配(資金繰り管理)をするからこそ、模索し、対応策を考え、そ

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 3-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 2-2

          なぜ、社長の責任は重いのか(2-2)  社長に問題があれば、従業員や取引先にも影響が波及し不幸な状況に追い込まれることになる。社長の舵取りの良し悪しは多くの人たちの生活にも影響し、ひいては雇用や税金などを通して社会全体の貢献度にも影響する。 だから社長の考え方や資質は重要であり、そのことに対して十分な認識をもって行動しなければならない。失敗は許されないのであり、常に安定経営を持続させていかねばならない責任と能力が必要となる。  特に小規模企業の多くは、仮に社長の資質に問題

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 2-2

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 2-1

          なぜ、社長の責任は重いのか(2-1) 従業員は常に社長の言動を注目している。従業員からみれば、社長はその組織体のトップに立つ長であり、社長の考え方や手腕によって会社の将来が左右されてしまう。このような会社の舵取りを行う権限と責任を従業員が認めているからである。 従業員は社長の言動の一言一動が将来の行方を方向づける力があることを認め、常に会社の将来に対し希望や憂いを抱いている。だから、業界の動向を探ったり、時にはボーナスや昇給、昇格を同僚や同業他社と比較し、良し悪しを比べて

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 2-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 1

          社長のあるべき姿を考える(1) 小規模企業の相談を36年間行い、その数は約2万社以上となる。同時に中村天風氏の教えや考え方を自己流で勉強し、その教えから社長の抱く哲学や心構えの大切さを身にしみて感じている。結局、企業経営の良し悪しは社長が抱く、哲学、考え方、心の持ち方、資質など(以下、考え方という)で決定づけられるということである。 特に企業のトップである社長の考え方は日常の経営活動を通じて、従業員をはじめ、顧客や取引先、あるいは会社を取り巻く関係者全般に何らかの形で影響を

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 1