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Prince of Denmarkマーチ

好きな曲。
卒業式の曲だったんだよね。私の勤務校のね。
 
卒業生入場の際、音楽の先生がオルガンでずーっと弾いていてくれた。
1学年200人が、間をたっぷり(1メートル50センチくらい?)取りながら、2本の通路で、2人ずつチャペルに入場した。
私立ってすごいな、と初めて見たとき思った。
一人ひとり、家族がゆっくり顔を見て撮影できるくらいなんだ。
一人ひとりを大事にする、という学校の方針が、時間のかかる入場の様子にはっきり表れていた。
 
先生はゆうに10分以上、オルガンを弾いていた。
チャペル2階のオルガンで、みんなに背中を向けて。
入場してくる卒業生の顔も見ないまま、全身全霊で彼女たちを迎え入れていた。
 
退職するとき、先生に聞いた。これ、なんという曲ですか。
――トランペット・ボランタリーというの。
 
 
Youtubeで検索すると、別名はThe Prince of Denmark's Marchというらしかった。

 
結婚式の定番曲らしい。やはり入場曲として。
「私も40年前にこの曲で結婚式をあげたわ」などのほほえましいコメントがあふれていた。
わかる。豪華で、広やかで、一点の曇りもない。
人生でもっとも晴れがましいときに鳴り響く音楽だ。
 
中高に勤めてわかったことは、
6年間1つの学校に通い続けて卒業するというのは、当たり前のことではなかったんだ、ということだった。
 
毎年3月の半ばにチャペルに鳴り響くこの曲は、
色々なことを乗り越えて、その日を迎えた一人ひとりを、
祝福し、次のステージへ送り出す曲だった。
 
卒業生の胸ポケットにはピンクのカーネーション。生花だ。
運搬で折れてしまうものも出るから、予備がちゃんと用意されていた。

卒業式というのはここまで美しくなりうるものだったのか、と、
初年度の3月に思った。
きっと一生忘れない、この音楽とともに毎年過ごしたあの日のことは。
 

↓劇場型↓


↓よくわからないが離れ業らしい(そしてイケメン)↓

 
 
(↓↓私の卒業式も悪くなかったよ↓↓)

 
 

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