見出し画像

バカの山と絶望の谷

書きかけ

ダニング=クルーガー効果

ダニング=クルーガー効果(Dunning-Kruger effect)という有名なやつがある。これを考えたデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーはイグ・ノーベル賞も受賞した。

In the field of psychology, the Dunning–Kruger effect is a cognitive bias in which people assess their cognitive ability as greater than it is.

実際よりも自分が優れていると誤認してしまう認知的バイアス。らしい。

厳密な定義はさておき、よくみるのはこんなグラフ(Google Image Search)。

画像2

何かを勉強している。例えばJavascript。何も知らない(know nothing)、自信もない(low confidence)ところから始まって、ちょっと進むと全てわかったように錯覚する。ここがバカの山の頂上(peak of Mt. Stupid)。

ここに留まれる幸せ(?)な人もいるが、やがて視界が開け、自分の知らないことが山ほどあることに気づき絶望の谷(valley of despair)に落ちる。最初には存在にすら気づかなかったことが見えるこの場所が、知恵(wisdom)を磨き、悟り(enlightenment)へと到る第一歩 。

ここから下は全部私的な意見

持続可能性な高み(plateau of sustainability)は実際には存在しないと思う。知恵や知識はどんどん古くなる。更新をやめた大人はすぐ落ちる。

山はひとつではない

実際にはこの山はひとつではない。

今見ている山はもっと大きな山の一部や、他の山と交差する地点かもしれない。今の仕事の範囲で神速のコーディングができるようになっても、他の言語やライブラリへの応用とか、プロジェクトマネジメントまで含めた生産性とか、コンピュータサイエンス一般とか、違う角度から見たら "Know nothing" かもしれない。逆に、大学で教えるようなコンピュータサイエンスのグルには現場のディベロッパーほど早くコードが書けないかもしれない。

いつ山を越えたことがわかるか

大抵の場合わからない。認知的バイアスの中にいる人がそのことに気づくのは難しい。一応の目安になるのは、「自分は大したことがないと思うのに他の人が褒めてくれる」とか「昔読めなかった上級者向けの本が読めるようになる」とか。

自分の理解を書いたり、人に説明するのは今どこにいるかを探るのに役立つ。

必ず極める必要はない

右端に行くのは大変なコストがかかるので、何に時間を投資するかはよく考える必要がある。分野によるが、絶望の谷で視界が開けた状態まで行けばそれなりに尊敬される。必要に応じて自分で効率的に学習を進められる状態でもある。ここで一息置いて他に目を移すのもスキルの掛け算の観点から良いかもしれない。

バカの山は悪いことではない

バカの山は悪いことではない。みんな通るし、そこにいるときが一番楽しかったり生産的だったりする。無知であることが強みになることもある。

何かを極めるまで閉じこもるのは良くない。極めたと思える日は一生こない。初めから発信したり行動した方が早く成長できる。

一番良くないのは周りから出る杭を打つ人。不完全だからと非難し、人を萎縮させたり、成長の邪魔をするのは害悪。ここで必要なのは「いいぞ、もっとやれ」というメッセージと建設的なヒント。そして自分もバカの山にいるかもしれないと思う謙虚さ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?