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夜間授乳の孤独のそばに


夜間授乳を経験して、「こんなに孤独なのか」と驚きました。


今年2月に第一子を出産し、喜んだのもの束の間、すぐに慌ただしい子育てがはじまりました。

胃のキャパがさくらんぼくらいしかない新生児は、3時間ごとに起こして授乳する必要があります。朝も夜中も関係なく、です。

主人は別室で寝ているため、夜間は私ひとりで対応しています。
授乳ライトが部屋をぼんやりと照らす中、ミルクを飲み続ける息子を見つめます。

すると昼間には湧かなかった感情が、一気に襲ってきました。


「ちゃんと育てられるかな」
「寝不足になってイライラしないかな」
「社会復帰できるのかな」


近い未来の不安もあれば、育休明けの不安も襲ってきます。
息子はかわいいはずなのに、どうしようもなく泣きそうになってしまいます。

授乳が終わり、ベッドに寝かせると、息子は穏やかな寝息をたてます。
自分も布団に入ると、先ほどまで考えていたネガティブな想像が浮かんできました。

連想ゲームのように次々と湧き出て、眠いはずなのに目が冴えてきます。
悶々と考えては消え、考えては消え、ようやく眠れたと思ったら悪夢を見る始末。

そして聞こえる息子の泣き声。

そんな悪いループが何日か続き、「なんとかせねば……!」と思った私は、Amazonでこちらを購入しました。

サイズ感もちょうどよい

題して、「タブレットで映画を見よう作戦」です(そのまんま)


映画を7本見た1ヶ月


「授乳するだけなら、そんなに映画は見れないのでは?」と思う方もいるかもしれません。私も子育て前ならそう思ったでしょう。

しかし私の場合、

①ミルクを作る
②母乳を左右5分ずつ×2クール
③人肌まで冷めたミルクをあげる
(80mlだと飲み終わるまで大体5~10分くらい)

まず②だけで20分、①と③を合わせて約10分、一回で30分ほどかかっています。
その間ずっと映画を流しているため、2日に1本くらいは見ることができます。

2月は約15日間で、7本の映画を見ていました。


孤独から連れ出してくれた映画たち


夜中3時、ミルクをあげながら、タブレットの中で流れる様々な世界を見つめます。

ベンチャー企業にインターンへ行く60歳の男性

調査員のために北極で調理し続ける料理人

白人の運転手と黒人ピアニストの旅


私が思いもつかない世界や人々が、画面の中で動き続けます。

夜間授乳をしている時、形容しがたい孤独に襲われていました。

しかし、映画を見ているとき、私は孤独ではなかった。

心動かすストーリーが、そっと私のそばにいてくれました。


さまざまなメリット


この作戦のメリットは、孤独をやわらげてくれたこと以外にもありました。

まず1つは「映画の続きが楽しみになったこと」

ミルクをあげて息子を寝かせたあと、映画を一時停止し、自分も布団に入ります。

前だったらネガティブな想像にとり憑かれていましたが、今は映画の続きに思いを馳せています。

「どんな展開になるのだろう」と想像しながら眠りにつけば、あっという間に夢の中です。悪夢を見ることもなくなりました。


2つ目に「あやすことが苦痛ではなくなった」

子供とだけ向き合っていた時は、夜泣きのたびに「またか……」と正直なっていました。3時間ごとならまだしも、ミルクをあげた10分後に泣かれ、あやし、また5分後に泣かれることも多々あったからです。

さらに泣いている理由が分からないことも大半です。

オムツを替えた、ミルクもあげた、気温も適温である……だけど、ずっと泣いている。抱っこしながら、こちらが泣きそうになってしまうこともしばしば。

しかし映画を見ながらあやしていると、いつの間にか時間が経っており、腕の中では眠っている息子。

たとえベッドに寝かせてまた泣いても「映画の続き見れてラッキー」とポジティブに受け止めることができました。


自分の心と体が一番大事


核家族化・夜間・寝不足……思考を悪い方向へと連れて行く要素ばかりです。「産後うつ」という言葉があるのも頷けます。

自分も「孤独だ……」という感情が、シミみたいにこびりついて、落ちなくなっていました。

悪い意味で、子供のことしか考えられない状態です。

「きちんと子育てができるか」「子供が将来どんな風に育つか」

いま考えたところで未来が変わるわけではないーー普段だったらそう考えられるはずが、夜間授乳中だとできなくなっていました。

もちろん我が子に意識を向けるのは大切です。
だけど、そればかりになり、自分のことを後回しにし、心や体のバランスを崩してしまうのは本末転倒です。

目の前の赤ん坊は、自分がいないと生きられないのだから。

第一に自分を大切にして、心のゆとりが生まれた時に、はじめて我が子と笑顔で向き合える……そう思います。


意識だけでも外に向ける


「授乳している時は赤ん坊とコミュニケーションをとらないと」「片手間にミルクあげてもいいのかな…」と真面目な方は考えるかもしれません。

いいよ!私が許す!(アンタに許されても)

だって夜中起きて、オムツ替えたり、母乳やミルクあげているだけでも、すごすぎると思うんです。眠い目をこすって、我が子とはいえ他人のために尽くしているのって、最高にえらい!

コミュニケーションの部分は、自分に余裕がある時にすればいいと思います。義務感でやっても、自分が苦しいだけです。

だったら手を抜けるところは抜いて、余裕がある時に、全力でコミュニケーションをとる。そっちの方が自分も楽しい。

「眠いなぁ」「また泣いてるなぁ」などモヤモヤが生まれたときは、意識を映画に向けることにしています。子育て=不満、にさせない努力ってめちゃめちゃ大事。

子育てへの心理的負担も減るし、
映画から経験や知恵を得られるし、
「趣味:映画鑑賞」とカッコよさげな趣味が書けるし、
「タブレットで映画を見よう作戦」オススメです。


映画を見て考えさせられたこと……いずれ我が子に語れる日を夢見て、今日も映画を見ようと思います。


おまけ:今まで見た映画たち


2月に見た映画
南極料理人
マイインターン
イエスマン
グリーンブック
最高の人生の見つけ方
幸せなひとりぼっち
天使のくれた時間

3月に見た映画
フォレスト・ガンプ
僕のワンダフルライフ
ワンダー 君は太陽
すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ
すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ

すみっコぐらしは子供向けだと侮るなかれ。普通に泣きます。構成も音楽も完璧。そして癒されるキャラクターたち。夜間授乳にはもってこいの映画です(めっちゃ褒めるじゃん)




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