【詩の森】642 カミのいる場所
カミのいる場所
学生時代の友人は
子どもの頃から
何か嫌なことがあると
いつも海を見に行くといっていた
海を見ていると
不思議と心が落ち着くという
外房の海辺で育った彼は
寮生活をしながら
あの海が恋しい
とつぶやいた―――
僕がよく散歩にでかけるのは
近くの小貝川の土手だ
河川敷の野球場には
土日たくさんの人が集い
たくさんの鳥たちも住んでいる
冬鳥が夏鳥に入れ替わる
初夏のこの季節―――
鴨の一群は遠くシベリアへ発ち
蘆原には東南アジアから来た
葭切が盛んに啼いて