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【読書メモ】『旅屋おかえり』(著:原田マハ)

確か最初は、図書館で出会った原田マハさんによる「旅」を題材にした一冊、以前にご紹介させていただいた『楽園のカンヴァス』とはまた少し違った雰囲気の物語となります。

主人公は、ひたすらに旅好きな「丘えり」という“元”アイドル、所属事務所も零細でブレイクの気配が欠片もない彼女、、旅を題材にしたレギュラー番組でどうにか食いつないでいたのですが、その唯一のレギュラー番組が打ち切られたところから物語が始まります。

困りに困った上に始めたのが「旅屋」というサービス。一言でいえば、依頼者の代わりに旅を代行するサービスとなります。そのきっかけは本当にささやかなモノで、、すれ違いを続ける家族を少しでも手助けしたいとの「角館」への旅でした。

その後、旅屋が軌道にのりはじめ、半年ほど過ぎたころに、物語の軸となる「内子」への旅が始まります。物語の終盤、旅屋を続けるのか、打ち切られた番組を復活させるのか、そんな選択肢を前にした「丘えり」の選択は、さて。

最初のモチーフは「角館の桜」、季節は巡り「内子の紅葉」、その四季の移り変わりを感じさせてくれるのもまた、美しく。

人と人とのつながりはどこか「旅」のようで、そんな連環の中で出会い、別れ、また、つながっていく。旅は“人の心を軽やかに”羽ばたかせてくれる、そんな風に感じた、なんともさわやかな読後感の一冊でした(今現在は手元にも置いてあります)。

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