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あわや香港旅行消滅のすったもんだ。勘弁してくれLCC!〜学生必見LCCの注意点【5,000文字】

学生旅行や弾丸旅行、旅費を節約しようとすると必ず海外のLCCに行き当たる。リスクを考慮して上手に使えばとても有り難いが、勢いだけで突っ走るとこのようになるという世にも恐ろしい旅行前日のおはなし。学生さん必見。

序章

昨年の11月ごろより会社の同期と海外旅行を企画していた。

ぼく「海外行かん?」
"M"「良いねー、行こう」
ぼく「"G"も誘うわ」

ぼく「海外行かん?」
"G"「やばいね、何人で?」
ぼく「"M"も誘ってる」
"G"「やばいね、借金してでも行く」

完全に思いつきで声をかけたが、本当にこんな感じで同期との海外旅行が決まった。

同期であり親友でもある"G"と"M"とは入社以来何かとウマが合い、違う職場ではあるものの定期的に連絡を取っていた。それぞれに家族がおり、仕事もプライベートも日々忙しくしているのだが、こういうときのユニクロのウルトラライトダウンより軽いフットワークはとてもありがたい。お互いに「こいつらと旅行に行ったら絶対に面白い」という確信があるからこそなのだろう。

ユニクロのウルトラライトダウン

そうと決まれば話は早い。旅行の計画は具体的に話を進めないと往々にして流れてしまいがちである。それから彼らに積極的にアプローチし、日程と行き先を固めた。

軽く打ち合わせをしたところ、奇跡的に3人同時に休みが取れる可能性があるのは2月末の金土日の3日間のみ。家族にも了承をとった後、会社へ有給申請をだし旅行を強行することにした。

家族以外との旅行なんてまず行く機会がないので、気心の知れた彼らと行けるのなら行き先はどこでも良かったが、協議の結果行き先は全員の要望が合致した香港・マカオに決まった。

ぼくらを待ってる香港の狂乱

3人とも懐事情は同じで、限られた小遣い(へそくり)を駆使して旅費を捻出するため、極力費用は抑えなければならない。

幸い"G"はLCCを利用したアジア圏への旅行を何度か経験しており、航空券の予約は彼にお願いすることになった。また3人のなかで唯一香港旅行を経験していたぼくは、旅行の工程表作成と宿泊先の予約を担当することになった。

そんなこんなで旅行の計画がスタートした。

一度行ったことがあるとはいえ、旅行会社のパックツアーだった当時の旅行で記憶に残っているのは、看板が道に突き出したネイザンロードの喧騒と、ピークトラムのとんでもない待ち時間くらいなもので、どのエリアに宿泊したかも覚えていない。

昔の香港(名物の看板はもう撤去されている)

行きたいところ、やりたいことを2人にヒアリングし、あとはひたすらネットで情報をかき集めた。調べれば調べるほど行きたいところ、やりたいことが増えてきたため、効率よく回らなければとてもじゃないがすべての場所を観光することはできない。

なにしろ時間は金土日の3日間しかない。この3日間をフル活用するため便は木曜日の夜出発にしてもらった。ぼくは念のため旅行前の木曜日も休みを取ったが、他の2人は仕事が終わってからの出発となる。木曜日の夜はろくに眠れないスケジュールだが、それでも半日旅行が長くなることを優先してくれた。

彼らの心意気を無駄にしないよう、回る順番やそれぞれの場所での所要時間、次の場所への移動手段、移動時間などをひたすらGoogleマップでシミュレーションした。まとめ上げるのにかなりの時間を要し、約2ヶ月ほどの間でかかった時間はのべ30時間にも及んだ。

タイムスケジュールを分刻みで計算した工程表が出来上がると居ても立っても居られず、早々に2人に連絡を取り、週末の深夜にZOOM会議で工程表のプレゼンを執り行うことになった。

香港・マカオについて何の知識もなかった2人も、このプレゼンにより実感が湧き興奮してきたのか、会議は盛りに盛り上がり、家族が寝静まっているなか奇声をあげながら3時間も続いた。

この計画と旅行の詳細はおいおい書くことにする。

宿泊先も問題なく予約が完了し、あとは出発日を待つだけとなった。

オンラインチェックイン時に判明したLCCの恐ろしさ

"G"が取ってくれた便は、中国系のLCCで夜の出発。

"G"は出発の数週間前から関空のHPで出航状況の確認をしてくれていた。日によって10〜15分前倒しで出航していることがわかり、早めに行動した方が無難であると教えてくれた。

そうこうしている間に、あっという間に出発前日となった。24時間前からオンラインチェックインが可能なので、チェックイン完了次第"G"から連絡が入ることになっていた。

ぼくはLCCを利用したことがなく、このオンラインチェックインの仕組みがよくわかっていなかった。聞くところによるとオンラインでチェックインしたあと、結局航空券の出力が必要だとのこと。何のためのオンラインなんだと思っていたが、調べると納得がいった。この辺はLCCの利用に慣れた方には常識のことかもしれない。

LCC独特のルールで、「オーバーブッキング」というものがある。格安で航空券を販売しているLCCは極力座席数を埋めなければならない。便の予約が満席でも大量のキャンセルが出ると利益が減ってしまう。「オーバーブッキング」はそういった航空会社の不利益を防ぐために席数以上の予約を取ることを指す。事前に座席の確定がなされていないため、乗客は出発の24〜48時間前(航空会社によって異なる)からオンラインチェックインを行い座席の確保を行う。

LCCに慣れた"G"はこのオーバーブッキングに巻き込まれない様、出発の24時間前ににチェックインのスタンバイをしてくれていた。

その"G"からチェックイン開始から20分経過した頃、電話がかかってきた。

「なんか予約がないねんけど・・・」

はじめは何のことを行っているのか訳がわからなかった。

"G"「何回見ても『取った便の予約はありません』ってなる・・・」

普段は能天気で冗談ばかり言ってる"G"だが、電話越しでも顔面蒼白なのがわかるくらい緊迫した声だった。冗談でないことは聞くまでもなかった。

"G"「ほんで、なんか知らんけど2時の便の予約が入ってんねん」

ぼく「よく分からんけど、まあ2時なら少し関空で時間潰さないかんくらいでそこまで支障ないか」

"G"「いや昼の2時やから、俺行かれへん」

ぼく「!!!!」

そこからバタバタと"M"も交えて深夜のZOOM会議が始まった。

ひとまず状況の確認が急務だったので、手当たり次第情報収集することになった。顔面蒼白を通り越して魂が抜け、人形の様な表情になっている"G"の顔を眺めながら。

すると早々に以下のことが判明した。
①同時間の便は数日前から欠航が続いている
②数日前に、予約した航空会社から"G"へ欠航の連絡と便の振り替えの案内メールが送られていた

①については、ある程度の情報が取れたので"G"も直近の出航状況は確認していなかったらしい。

②について、最大のポイントはこのメールが中国語と英語で送られてきたこと。そもそも、チケット購入時も英語のみのメールだったのだが、そこに中国語まで入ってきたので迷惑メール認定されていた。

唯一の救いは「キャンセル対応には応じる」と明記されていたこと。こちらからすると当然のことだが、数日前に突然欠航を決める航空会社に対して、当たり前の対応を取ってくれるのか疑心暗鬼になっている。

欠航の理由がどうあれ、このままだと昼の便に振り替えられてしまう。ぼくらはそこから予約した便の払い戻し処理と、予定通りの旅行を決行できる便の調査を始めなければならなかった。この時点で0:00を回っている。

便の払い戻しについては、思ったよりスムーズに完了した。ただし払い戻しの時期は数ヶ月後。一時的に2社分の航空券の支払いをすることになるが、背に腹は変えられない。

一方で仕事の早い"M"が、話をしている最中に唯一ぼくらが搭乗できそうな便のピックアップを済ませてくれていた。出発は2時間前倒し、当初の予約同様海外のLCCなので一抹の不安はあるものの、コスト的にも多少の上乗せで済みそうだった。

その便の予約が出来なければ、良くて翌日の朝出発、金額は当初の倍以上となる便しか無かった。

数時間後には出社しなければならない"G"と"M"だったが、旅行が吹っ飛ぶくらいなら死ぬ気で仕事を終わらせると言ってくれた。

さらに"M"は話をしながら航空券の購入手続きも進めてくれていた。パスポート情報など航空券手配に必要な情報を入力し、いざ購入という段になって画面の向こうの"M"がまごつき出した。

海外LCCのホームページで直接航空券を購入する際の落とし穴

"M"「決済完了にならん・・・」

ぼく「他のカードは?」

"M"「今やってるけど・・・う〜ん、やっぱりダメ」

3枚目までカード決済を試したが、やはり完了まで至らず。ぼくに選手交代となったが、なぜか同様に決済ができない。2〜3枚試したが結果は同じだった。JCBだけでなくVISAも使えない。限度額は決済額より高い。すぐには原因が思い当たらなかった。

もう1:30を回っている。この便が取れたとして彼らは、2時間前倒しになる出発に間に合わせるため、5時過ぎには起床し仕事に向かわなければならない。通常の旅行なら良いが、明日の夜は飛行機で仮眠したあと深夜からマカオのカジノに赴き、1日散々観光地を練り歩く地獄スケジュールだ。

本来ならば、今日しっかり睡眠を取り明日に備えていなければならない。しかしここで代替の便の確保をしておかないと、ぼくらと同様に便が欠航することを知らなかった客がどれだけいるかわからない。一晩寝て起きたら便が埋まってる可能性もあるだけにここが踏ん張りどきだった。

最初はかなりの焦りを感じていたが、ここまで来ると逆にテンションが上がり「何がなんでもこのミッションをコンプリートしてやろう」という気になってきた。

まずは計6枚ものカードが決済できない原因を突き止めなければならない。調べてみると、どうやら海外のサイトでの決済は高確率で不正利用防止のシステムに引っ掛かるらしい。

とりわけ今回は3人分の往復航空券の支払いで高額となっていたため、ぼくらが持ってるカードは悉くこのシステムに引っかかっているらしかった。

原因は判明したが、じゃあどうする?

解決方法を記した記事は無数にあったが、そこに書かれていた内容はどれもカード会社に問い合わせをすることだった。

無理。だっていま夜中の2時なんだもん❤️

色んな検索ワードの組み合わせを試し、ポイントを絞っていった。

「JCB 不正利用解除」
「楽天カード セキュリティロック解除」
「⚫︎⚫︎航空 詐欺」
「クレジットカード 決済できない」
「VISA 決済できない セキュリティロック解除」
「海外航空券 クレジット」

地道に検索を続けると、ついにそれっぽいところにたどり着いた。それがこちら。

広告の誘導みたいになってしまっているが、この記事に本当に救われた。

タイトルを見てもわかる通り、ぼくらと同じ状況に陥った方の記事だったため、内容がドンピシャではまった。

記事に書いてある通りに進めるとモノの2分程度であっさりセキュリティロックが解除された。解除できたカードはこの記事にある「楽天カード」。

あとで見返すと楽天カードのヘルプページにも上記のサイトと同様の記載があったが、「不正検知したらメールが届きます」という内容にフォーカスが当たっていたためスルーしていた。

さあ後は改めて決済をするだけだ。

ふとZOOM会議の画面を見ると、2人の後頭部が映っていた。

完全に寝落ちしたらしいが、彼らは明日も仕事だ。とにかく最後まで気は抜けない。パスポート情報を慎重に入力し、いよいよ決済画面まで来た。

祈る気持ちで決済ボタンをクリックすると・・・


ミッションコンプリート。

難攻不落であったが遂に攻略した。

ぼく「"G" ! "M" ! 行けたよ!」

"G"「んあ・・・・」

"M"「・・・・・・」

"M"は深い眠りについていた。クレジットカードが使えない騒動の中で寝落ちした彼は、夢のなかで家中のクレジットカードを引っ張り出してる最中かもしれない。

そっと寝かしておいてあげよう。

無事に航空券の購入はできたが、まだ一つだけ仕事が残っている。オンラインチェックインだ。残席の状況は航空券購入の過程で確認ができたので、何事もなく済ますことができた。

いよいよ3時を回ってしまった。かろうじて息のあった"G"にすべてが完了したことを伝え、完落ちした"M"を尻目にZOOM会議を終えた。

長い夜を過ごしたぼくらは、ようやく眠りについた。このときはまだ、出発直前にさらなる大波乱があることを誰も知らない・・・。

つづく

【後日談〜今回の騒動の元凶となった欠航の理由】


今回の騒動で1番肝を冷やしていたのは、航空券を手配してくれた"G"だった。数日経ってこの騒動を思い返すと次第に怒りが込み上げてきたようで、航空会社に欠航の理由を問いただした。

最初の回答は「コマーシャルリーズン」とのこと。

コマーシャルリーズン・・・



「は?」



"G"から連絡をもらって早速言葉の意味を調べてみたが、全くヒットしない。当然"G"も何のことやらという感じである。

航空会社側の要領を得ない回答に憤りを感じた"G"は「意味がわからん!」と回答を突き返した。

そこ後ようやく出てきた回答は「商業的理由」とのこと。


商業的理由・・・

「乗客少なくて赤字になんねんから飛ばすわけないですやん(中国語で)」ということだ。わかりやすくて良い。どんな言い訳されたって結局飛ばなかったんだから。

確かに当初予約していた航空券は圧倒的な安さだった。数日前までは同じ価格帯で実際に出航しているので、飛びさえすれば格段に費用は抑えられたわけだ。

この記事を書き始めた当初は、タイトルにも航空会社名を明記しており、「この航空会社には気をつけろ!」的な告発文のような内容だったのだが、客観的に振り返りながら書いてると「リスクを踏まえた価格なんだから自己責任やん」と思えるようになった。

というわけで「安いLCCにはリスクがありますよ!」という利用者の97%くらいが理解していることを5,000文字くらいかけて書いてみました。

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