【つながる旅行記#270】新宿御苑の温室でさらなる知識を得る【ウツボカズラ飯】
前回は旧御凉亭のできた経緯を知り、まさかの温室も発見した。
というわけでさっそく温室に入っていこう。
どんな出会いがあるだろうか。
まず自分が惹かれたのはウツボカズラだった。
超有名な食虫植物だが、こんなにポコポコ実っているとは……
いや、実ではないのかこの袋は。
そう、ウツボカズラの葉っぱから作られたこの捕虫袋の中に入った昆虫は、消化液で体を徐々に溶かされてウツボカズラの栄養分にされてしまうのだ。
(一体なにがどうなってこんな進化を……?)
そして、このウツボカヅラをまさかの料理に用いた、『ウツボカズラ飯』というものがマレーシアには存在するらしい。
どんなものかというと、このウツボカズラの捕虫袋の中に米やらココナッツミルクやらを入れて蒸す料理とのこと。
(もちろん事前にしっかり中にいる虫は洗い流すので安心してほしい)
まあ要するに、ウツボカズラは「自然が提供してくれる調理袋」みたいな扱いなのだろう。
……世界はすげぇや。
そして今度は全く見たことのない謎の植物があった。
一本筋の通ったまっすぐな植物かと思いきや、頭が急にファンキーな感じで広がっている。
こちらの植物はカミガヤツリといい、なんとあのエジプト文明で有名なパピルスという紙の素材になる植物なのだ。
まあ肝心のエジプトでは一時期の乱獲でほぼ絶滅状態になってしまったらしいのだが、今では観光資源として再生していく流れになったとのこと。
エジプト以外の国では現在も船の材料にも使ったりしているメジャー植物だ。
おっ、ついこの前伊豆シャボテン動物公園で見た金鯱(キンシャチ)やアオサンゴも居た。
このキンシャチは……100歳は余裕で越えてそうだな。
サボテンを見て年齢を考えるようになったのも、あの日の学びのおかげだ。
山などに行くと木から垂れ下がったサルオガセ(地衣類)を見ることがあるが、このサルオガセモドキはまさかのパイナップル科。
土のない環境でも育ち、花言葉は『不屈』。
紹介ページでは開店祝いや父親へのプレゼントにオススメと書いてあったが、本気か……?
なおこちらの植物は着生植物なので、なにかに寄生する植物ではない。
あくまでも栄養は自分で作り出しているのだ。
うーむ、シャボテン動物公園で得た知識が生きているのを感じる……!
さて、このガラス張りの温室だが、前回もチラッと話したように昔にも温室自体はあった。
無加温式から始まって、加温式の温室もその後どんどん作り、洋ランやメロンやパイナップルなどの収集と研究をしていたらしい。
しかし残念ながら、新宿御苑は空襲によってほぼ全焼してしまうのだ。
これにより温室で作られていた植物や交配していた洋ランの品種の多くは失われてしまった。
ほんの一部だけ、苑内の薪を集めて燃やしてどうにか越冬させたという。
(……こういう場所にはこういう場所の戦争秘話があるんだな)
いやはや新宿御苑、本当に素晴らしいところだった。
こんなに多様な植物に囲まれて、温室まで楽しめるなんて想像していなかったな。
それじゃあそろそろ帰ろ……
……!?
ま、まだ見どころがあるというのか!?
(……もうサラッと流そう)
流石は国民公園だけあって、十分すぎるほどに楽しませてくれた新宿御苑。
もう情報でお腹はいっぱいだ。
これは都民から愛されるわけである。
そしてこんな新宿御苑の作業車は電気自動車らしい。(軽トラEVなんてあるのか)
排ガスで植物にダメージを与えないための配慮だそうだ。
看板の劣化具合からして、こりゃ相当昔から電気自動車だったのだろう。
時代の先を行っている。
……そしてこれを見てふと思い出した。
小学校の頃に、「道沿いの植物の気孔を顕微鏡で観察・比較する」という自由研究をした子がいたのだ。
たしか車通りの多い場所の気孔は汚れて塞がっていて、車の排ガスというのは本当に植物に悪影響が〜……みたいな感じだったっけ?
というか当時ゲームのことしか頭になかった自分がこんな自由研究を覚えてたことにちょっとびっくり。
そして、そんな凄い自由研究をした彼は今では地元の中学校で立派に先生をやっているそうだ。
きっと彼の両親も鼻が高いことだろう。
(かたや自分は、仕事はほどほどに、休みになればソロ旅行で知識収集……)
……いや、人間はそれぞれ違うからこそ意味があるのだ。
自分は自分の人生を探求していこう。
(それが人から評価されるかはともかくとして)
なんかちょっとしんみりしたが、次回へ続く!!
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