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【白饅頭日誌感想】過酷な環境が社会を存続させていた話について

氏の記事で感想を書くのは久々である。

本日の日誌では「先進国の若者が男女間で異なる思想を持っている」というニュース記事に対して

・元々男女間で求めている者は違っていたが近年になりそれが顕在化しただけではないか?

・昔は生きるだけでも大変だったので社会全体で保守的な規範を守る必要があり、女性もそれに従う必要があった。それが男性の重要性をつくり婚姻や出生にも結び付いていた

・平和で快適な社会が確立された結果、男性も保守的な規範もその必要性が薄れてしまい、女性はそれらからの「解放」を求めてリベラル化した。そして男性も良かれと思って社会のリベラル化に賛同してしまった

・平和で快適な社会が確立された結果としてフェミニズム的な思想が蔓延し、社会の持続性が脅かされている


という皮肉としか言いようがない仮説を立てている訳である。元より平和で快適な社会になると子孫を残す動機が薄れるという話は随所から出ていたし、国家社会を持続させるために何が必要かを忘れてしまう事は「平和ボケ」なんて言葉があるくらいなのでよくある事なのだろう。個人的にはそこまで違和感のある話ではなかった。


本題に入るが、この仮説について日本社会と照らし合わせると「こう考えることも出来るのでは?」と思ったことがいくつかあった。なのでそれについてちょっとまとめてみようと思う。


・大都市一極集中と少子化


知っての通り日本では東京一極集中が続いており、それ以外の県でも大都市に人が流入する傾向にある。


今回の話を聞いて、この現象は人の生存本能が作用して起きている面もあるのでは?と感じた。

地方では現在進行形で街の過疎化や縮小が続いており、「先がない」事が目に見えている自治体も少なくない。こうした場所に暮らしている人達からすると正に自分の生存環境が脅かされているも同然で、一刻も早く抜け出さないと街の消滅で道連れにされてしまう懸念が出てくる訳である。なので、豊かで便利な暮らしの出来る大都市に逃げる事で自分の生き残りを図ろうとする。当人たちに自覚があるかはともかく、そうした危機感が作用する人が多いからこそ大都市、東京への転入が続いている面もあるのではないだろうか。

もっと言えば、大都市は街の明かりも多く人が多く集まっている環境でもある。そうした環境が人の「群れ」として生きたい性質と合致している側面もあるのかもしれない。地方で孤独に暮らすよりは当人たちにとってよっぽど安心できるのである。

しかし記事にもある通り、都会は便利で安全で快適な環境であるがゆえに、保守的な規範に従う必要性を感じにくくリベラル化しやすい。なので子供を産まない生き方を選びたがる人は増えるし、女性は男性の力無しでも生きれるようになって男性に魅力を感じにくくなる(厳密には男性に求めるスペックが飛び抜けて高くなると言うべきか)。

なので人を集めるだけ集めて少子化させてしまうという現象が起きる。ついでに言うと人が密集している分、地価や家賃も高騰するので広い家に住むにはお金がかかる。子供を持ちたい人でも1人2人しか産めない環境に追いやられる、という現象も起きる。


・災害大国という特殊環境


日本は地震に台風、大雨による洪水や土砂崩れといった自然災害に見舞われやすい環境である。その為、平和で豊かな生活とは言っても常に日本のどこかでは生存が脅威に晒される事態に直面している。

こうした災害の多い環境が、少なからず「男らしさ」「男の必要性」を創出している面はあるのではないだろうか。いくらジェンダー平等と言っても災害現場で復旧に当たるのはほとんどが男性だ。男性の力が無ければこうした災害に対して迅速な復旧は難しくなってしまう。

筆者は日本が韓国の隣国でありながら韓国より男女対立や少子化の問題がマシと言える状況なのは、こうした男らしさがどうしても必要になってしまう日本の特殊な環境も一因ではないかと考える。白饅頭氏ならここで「男もこれからは寝そべりやメス化でこうした重労働を放棄するようになる!」と続けるかもしれないが、誰かがやらなければ社会が機能しなくなるという状況下で男性が皆復旧を放棄するというのも考えにくい。戦争とは違う過酷な環境があるからこそ日本はまだマシ(良いとは言っていない)な状況なのかもしれない。

同時に、ネット上であれほどフェミニズム的な言論が旺盛を極めるのは、ネットに在住して強い発言力を得ているのが東京をはじめとした大都市の人間だからであり、それこそ氏の言うようにSNSが東京の論理で動いているからこそとも考えられる。東京の近年大きな災害に見舞われていない高度なインフラ下では、男らしさで災害復旧をする場面も目に入りにくいので男の必要性が軽視されやすいという訳である。


今回の話はこれまで白饅頭氏日誌で語られてきたことや筆者自身が考えてきた事とも合致する部分が多く、色んな意味で感慨深かった。

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