Aロマンティックを自覚した途端に恋人ができた話

 こんにちは。あらかじめ申し上げるといわゆる「悩んだけど素敵なパートナーのおかげで幸せ!」オチなので苦手な人はすまない…
 あと恋人といいつつ今は結婚していて、気持ちもAロマというよりデミロマというべきかな…という感じに変化してるけど、いつか書きたいなと思っていたので残します。

 Aロマンティック=恋愛感情が無い、自分がそうだと自覚したのは今の旦那さんと出会ってしばらくした頃。
 まだ付き合っていない時期で、ちょうど何というか…「この次のデートで決めるだろうな…お互いな…」というタイミング。
 彼のことは出会ったときから本当に興味深くて大好きで、あっこれは恋愛感情ではないんだけどまあいいや とにかくすごく仲良くなりたかったんですよ!!出かけるのも話するのも楽しいし、とっても優しいし、めちゃくちゃ良い人。顔もいいひと。
 彼からはどんどんお誘いをくれて、私もそれに答えて、基本的に会話をブチりがち&適当なとこで再開しがちな私が毎日のようにラインできちんと挨拶からやりとりをしていた程、いい雰囲気だったんですよ。

でも、ずっっっっっと違和感。

 こんなに大好きで仲良くなりたいのだけど、一緒にいたいのだけど、違うんだよな~~手をつないだり、彼はおそらく私とお付き合いしたいのだろうな…というアプローチ、その空気だったり。本当にだめだった。
 距離が近づくにつれ、こんなに私に興味をもって大事にしてくれる人の何が嫌なんだろうな、近づいておいて振っちゃいたいとか、ああ何てヤツだ私は……とか罪悪感に似た何かにまみれてしまっている状態。

 そしてもう考えすぎて考えすぎてダメになりそうだった瞬間にふと「やっぱAロマなんだな」と、気づいたのです。
 その時ようやく自分を認めたというか、初めて自分のすがたをはっきり認識したような気がして、なんだかそれだけでびっくりするほど身体が軽くなった。

 ただそれでもデートの日はやってくる。「決めるだろうな~」の日。
あちらからすれば告白、そして恋人になるだろうというその日だというのに…迷ったままデートを断り切れなかった私は、どっちみちここで決着だと思って、全てそのままお話しすることに決めました。

 経験上、私付き合えないよ〜って伝えた男性はだいたい捨て台詞からの音信不通になったり逆に怖いメール送ってきたりろくなことにならないし、その後仲良くお友達でいることなんて出来ないもんです。

 大好きな彼とは本当はこんなことで縁を切りたくないけど、これは自分が自分らしく生きるために告げなくてはならない…嫌われてしまってもこれが私なんだ…!!!!と道中勢いをつける。
 気分としては正直少し晴れやかというかハイだったような気もする…あと道中はずっと告白ソング聴いてた。告白ちがいだよ。

 おいしいごはんを食べて、デートはやっぱりお互いちゃんと気持ちを告げる流れになった。というか耐え切れずに私が先に話をした。
 あなたとはもっと仲良くなりたいけど、あなたの気持ちにこたえられません。こんな理由で嫌われたくなくてずっと言えませんでした。伝わらないかもしれないけど、一方的にでも伝えさせてください。

 そう告げると彼はやっぱり戸惑っていたけれど、最後まで話を聞いてくれた。そしてうまく整理ができない顔を見せつつも
 「正直悲しいけど、悩んでいてくれたのは嬉しいし、それでもいいから俺たちらしい関係になりたい。ちゃんと好きなんだ」と。

目から鱗ですよ

 最悪このまま殴られたってしょうがない、くらいの覚悟でいたのに(今思うと私の不信感もなかなか)
 私のことをいっさい否定せず、黙って話をきいてそれでも“自分は”付き合いたいんだ、という強い主張は曲げず、言葉を選びながら丁寧に答えてくれた。
 自分はこんなだから人間の中で生きるのは諦めるね!そう告げたつもりだったのに、『恋愛感情の持てない私』が、初めて人間扱いされてしまった、そんな感覚。


 結局、それがあまりにも嬉しくて「なんとかこの人を好きになりたい」という気持ちが芽生えてしまったので、一転して付き合うことにしたのでした。付き合ってみたら何か変わるかもしれないし!くらいの気持ちでもあり、何より「自分達らしく、変にあせらず」と繰り返し言ってくれるのは安心以外の何物でもなかった。
 そこから気づけばバカップルといって差し支えないほどになって、結婚までしてるんだけどな。自分達らしくの答えはこれだ…!

 彼は別に普段から他人のSOGIやらセクシャリティに関して知識や理解がある人ではないと思います。むしろあまりピンときていない方というか。性に違和感がなく、モノガミーの男と女は付き合って結婚して家庭をもって…それが当たり前な世界で生きている人のように見えるし、きっと当時の私の話も、ちゃんと理解して聞いていたわけでは無いと思う。
 それでもパートナーとしていられるのは、ただシンプルに、真剣に“私”と向き合ってくれているから。目の前の人の曲げられない生き方や考えは尊重するし、苦しんでいるなら向き合ったり、時には解くサポートを。嫌なことはしない。それだけ。

 正直見習わなくては…と思う。常々アライであろうと思ってきたけど、昔の私はまだ「いろいろなタイプの人と生きてゆく」みたいな、結局タイプありきの考えだったし。
 それに私とは逆に、結婚や出産をしない人間はおかしい!という人達ともなんやかんや一緒に生きてゆくことを考えると、どこか『普通VSそうじゃない』みたいな意識になってしまいがちで、周囲の人たちを悲しく思ってしまうことも多かったのだけど、一人と向き合う、というのを忘れていたかもしれない…と思わされてます。

 ずっと生きづらい世界だと思っていたけど、そもそも見てる世界が広すぎたのかもしれない。少なくとも私と彼のあいだにある世界はとっても優しいので、大切にしていこう。

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