見出し画像

小説精読 少年の日の思い出10(最終回)

ラストに来ました。言いたかったことたくさんありすぎて、言えないことも多かったけど、とりあえず今回て終わりです。

謝罪を受け入れてもらえなかったぼくは、夜中、一人で起きて、自分の蝶の収集を全て粉々に潰してしまう。一度起きてしまったことは取り返しのつかないものだと知り、自分で自分を罰するんです。んん。なんというか、こうしてぼくは少年時代と決別するんです。苦いですな。

子供時代は誰もが天才でしょう。子供の描いた絵は、間違いなく天才的に素晴らしいです。中学生くらいから、描いた絵は面白くなくなります。そら、中学生が描いた絵の方が小学生より上手いんですが、見ててつまらんです。高校の美術部の絵なんて最低です。だいたいが全く心に響かない。(たまに凄いのもありますが)

型にはまって、出来上がったものなんて、大概つまらんのです。ぼくも、ここでつまらん世界へ行っちまった。つまらん生き方の行き着く先が、湖畔の別荘で葉巻を燻らしながら、「悪く思わないでくれたまえ」なんて言う、くれたまえオヤジなんです。人生の成功者ってなんなんですかね。ファーブルがフンコロガシ見るのやめて、大会社の社長になったら幸せだったのかしらね。牧野富太郎が植物採取やめて、会社の役員になって湖畔の別荘もてたら、人生の成功者なんですかね。

まぁ、こうして人は生きてしまうんで、だからこその、子供時代の輝きをヘッセは書きたかったのかもしれません。子供時代、皆んな天才だったって。そして皆んな人生のどこかで持っていた宝物を自ら壊し、従順な社会的人間になっていく。

あなたの蝶は何ですか。そうヘッセは訊いているのかもしれませんな。

       おしまいです

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?