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百術は一誠に如かず 雑感 20240502  バイタリティ

 昨日、85歳に社長さんに会った。
 その方は、85歳にして「もっと会社を大きくしたいんだよ!」という。

 僕は、43歳で独立して、一時は資本金2千5百万円の株式会社を持っていたが、社員を抱えるのが嫌で、「独りになりたい」一心で、資本金30万円で合同会社を作って自分だけで仕事をした。
その後は、「法人の必要はないよなあ」と思い、転居を機に(法人移転には自分で手続しても6万円位かかった)個人事業に切り替えてコンサルタント業を続けていた。

だから「会社を大きくしたい!」という気持ちがわからない。

元々僕は、1人で仕事をするのが好きだ。

必要な時に必要な人材と組めばいい。
フリーランス連合型が一番性に合っている。

でも、「大きなこと」はしたいという野望はある。

独立して最初に取り組んだ案件は、日本を大きく変えた仕事だと思っている。

でも、ほとんど一人でやったことだ。

もう一度、あのような仕事をしたいなあと思う。

あの時も「無理だよ」と言われることが多かった。

他人に「無理」だと言われれば「可能にしたい」と思うのが僕の性格である。

「ほかの人にはできないかもしれないが、僕にはできる」と思っている。


かつて、こんなことがあった。

商社マンだった僕は、文系出身で、なおかつ中1で当時の共通一次試験を受けたくなかったので、早くも「私立文系一本!」と勝手に決め、それも「国数英」の三科目で入試を受ける、と決めた。

だから、中学から、理科と社会の時間は、授業を聴かなかった。

でも、社会に出た時、父のコネで入社した商社は理系の商社。

オームの法則も知らない僕が、光半導体を売る羽目に・・・。

でもね、大学を卒業するまで、2時間しか勉強しなかったから、)高校も大学も一般入試だったけどね)頭は空っぽ。

社会に出てからはガリベンだったけど、吸収力はすごかったなあ。

社会人4年目だっただろうか?

ある、世界的な素材メーカーの生産技術課長から相談があって、「黒色の素材を選別できるセンサーがないかなあ?」とね。

光半導体が大好きだった僕は、いろいろ探しまくって、見つけたんだな。
サンプルを借りて、試験してみたら、確かに検知できるんだ。

それを課長さんに言ったら、「買うから、取り付けまでしてくれないかなあ」
・・・・・。
商社マンで、文系出身の僕に、取り付けまで?まして、自動機のプログラマブルコントローラーのプログラム変更もしなければならない。

さて困った・・・と思うでしょ?

当時の僕は「不可能などない」と思っていたから、「わかりました!」って受注しちゃった。

それからは徹夜で勉強。

センサーからは、三本も線が出ていたんだ。赤と白の線だけじゃあない!

パニックですな。

その上、プログラム変更。

プログラマブルコントローラーの基礎から徹夜で学び、文献を読み漁り、現在のプログラムを見せてもらい、回路図を見て、どこに銅配線するとどうなるのかを必死で考えた。

当時は部下で工業大学の新卒者がいたので、台座は彼にアルミ板で加工してもらった。

取りつけ当日は、世界的な素材メーカーのラインの一角で、生産技術課長さんが見守る中で行われたんだよ。

何度もシミュレーションしてきたから、まるで経験者のようにスムーズに作業は終わり、今でも覚えているんだけど、自動機の制御盤の赤いボタンを押す時が来た。

僕に押させてくれたんだ。

ボタンを押した。

スイッチオン!

「スポン!、スポン!」と小気味よく素材が流れて、きちんとカウントされていく。
つまり正常に作動しているんだよ。

文系の僕が取り付けたセンサーと僕が書き換えたプログラムが、機械を正常に動かしている!

感動したね。

「なぜばなる何事も。なさぬは人のなさざるなりケリ」という言葉があるけど、まあそうなんだろうなあ、と思った。

それから、ずっと「無理だ」と言ったことはないんだよ。

検討して、納得のいく説明をした上で「無理」という結論を出したことはあるけどね。

でも、「会社を大きくする」というのは無理かなあ。

なぜか?

そういう欲求がないんだよ。

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