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浮気が、

バレた。

正直、「終わった。」と思った。

なんの気なしに店へ入り、「予約してないですがいけますか?」と確認。

いける、とのことなので

「では、お願いします。」

「では、少々お待ちください」

とのことなので、少々待った。

しばしの沈黙。

…………。

…………………。


「………久しぶりのご来店ですか?」


やべえ。
バレた。

一年ほど行っていなかった大型チェーン美容室での出来事である。

髪伸びてきたな〜と思い、「しばらく本番もないし、とりあえず切っちゃうか〜」と、なんの気なしに近所の美容院に殴り込んだことが裏目に出た。

最近の美容院は、最終来店日がいつかということも記録されちまうのかよ。
一年以上前の記録はさすがに消しとけよ!
ふざけんなよ!
いやいや、聞いてねえよ!

「さあー、どうでしたかね…しばらくぅー…あ、言われてみれば?そうかも?しれないですね…ヒュルルー(口笛)」

と、一応とぼけてはみたが、店員さんの目の奥は笑っていない。

黒目が、ビー玉のように真っ黒だ(気のせい)。

ごめんなさいごめんなさい。

「ちちちちちがうんだよこれは、あの、ちがくて、そういうんじゃなくて、友だちっていうかさ、ほら…」

と、しどろもどろなボク。

そんなボクをよそに、颯爽と現れた処刑人(今回担当の美容師さん)。

「"カット"ですね、かしこまりましたぁ〜。よ、ろ、し、く、お願いしまぁーす。さあまずはどこをカットしますかねえ…」

とか言ってハサミをエアーチョキチョキさせている…!(幻覚&幻聴)

終わった。

みんな、今までありがとう。
たまにはボクのこと、思い出してね。

浮気、ダメ、絶対。

さようなら。。

ーーーーーーーーー

覚悟が決まった後の記憶は正直、あまりない。

拷問を受けたことは確かなのだが、どうやら人間の身体は、一定以上の痛みを超えると、生命を守るためにその痛みを感知しなくなるらしい。

①熱湯&水責め(シャンプー)

②切断(カット)

③チェンソーによる切断(バリカンによるツーブロック)

④カミソリによる拷問(眉カット)

⑤再び熱湯&水責め(シャンプー、トリートメント)

⑥熱風による攻撃(ドライヤー)

その後、「ヘッドスパマッサージをプラス追加料金でつけられますけどぉ、いかがいたしますかぁ?」

と聞かれたので

間髪入れずに「おおおおおお願いします…!」

ここで追加料金を払っていなかったら、正直、ボクの命はなかったと思う。

凝っている肩の筋肉に呪いの指圧を受けたことで、呪いのミクロICチップGPSがボクの中肩甲骨の前面(前側?内側?イメージしろ)に搭載され、全国のヘアメイク○ース全店にボクの居場所が把握されてしまうという結果にはなったが、仕方ない。

命より大切なものはないのだ。

「またいつでもお越しください!」

「…いつも見てますからねえ…。」(幻聴)

と、店員さん。

バレてからバタバタするくらいなら、浮気はしないようにしましょう。

いや、

バレてからバタバタするくらいじゃないとダメです。命が取られます。

皆様への忠告です。

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