灰月弥彦

新潟のしがないプログラマ。だいたい本か映画の話をします。

灰月弥彦

新潟のしがないプログラマ。だいたい本か映画の話をします。

マガジン

  • コロナに立ち向かう参考書籍リスト

    『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』に掲載の参考書籍を読んだ感想記事をまとめています。

  • 【独学】読書猿『中学0年生からやり直す英語読み』

    読書猿氏のサイトより https://readingmonkey.blog.fc2.com/blog-entry-92.html 英語学習をやり直す記事のまとめです。

最近の記事

  • 固定された記事

【海外文学のススメ】怪奇小説の沼から

1.初めにガイブンが売れないといわれて久しい。出版不況といわれる全体の潮流の中でもガイブンは特に厳しいらしく、ツイッターをみていると初版が数千冊のオーダーでも珍しくはないようだ。 売れなければ、出ない。 供給が途絶えて我々が餓死しないためにも、公式企画「海外文学のススメ」に参加することにした。この記事では私の愛する怪奇小説の中で、普段海外文学を読まない方でも楽しめるような書籍を、アンソロジーを中心にいくつか紹介しようと思う。なお、選定には入手のしやすさを考慮した。 2.

    • 【読書記録】塔の少女 冬の王2

      2024年99冊目。 冬の王シリーズの二冊目。 前回はキリスト教と土着信仰の間で揺れる少女のお話しでしたが、今回は女社会で生きられないワーシャの葛藤のお話しでした。 自由でありたいというワーシャの願いは、キリスト教社会はもちろん普通の村社会でも受け入れられず孤立してしまいます。 自分の意見を通すために狡猾になるでもなく、ただ純真にまっすぐに進もうとするワーシャの姿は周囲からみればワガママを言っている子どものように見えるのではないでしょうか。実際、ワーシャのために家族は

      • 【読書記録】予言の島

        2024年98冊目。 ジャンルとしてはホラーミステリ。解説に「民俗ミステリとか土俗ホラーとかのファンって、なんか博識ぶってて苦手なんですよね。だから一遍からかってやろうと思って」書かれた作品とありました。本文でも京極なんちゃらや三津田なんちゃらが好きなタイプという一文があったりと、からかうにしても露悪的で性格悪いなと感じました。私は土俗ホラーとか好きなのでそう感じるのかもしれません。術中にハマっているだけかもしれませんが。 結末の気持ち悪さは本領発揮といったところで、さす

        • 【読書記録】穏やかな死者たち シャーリィ・ジャクスン・トリビュート

          2024年97冊目。 『ずっとお城で暮らしてる』などのシャーリィ・ジャクスンに影響を受けた作家の作品を集めたアンソロジー。作品は新規書き下ろしのようです。シャーリィ・ジャクスンは読んだことがないのですが、今度読んでみようと思います。 全体的に静かなホラーでアクション要素は少なめですが、内面的なホラーだけでなく超自然的存在が出てくる作品もあり幅は広い印象です。全18作で600ページ近くありますが読んでいて飽きることはなかったです。 印象深いのは「所有者直販物件」「鬼女」「

        • 固定された記事

        【海外文学のススメ】怪奇小説の沼から

        マガジン

        • コロナに立ち向かう参考書籍リスト
          11本
        • 【独学】読書猿『中学0年生からやり直す英語読み』
          8本

        記事

          【読書記録】熊と小夜鳴鳥 冬の王1

          2024年96冊目。 「冬の王」三部作の一冊目。ここ最近読んだ海外ファンタジーの中ではイチオシです。 14世紀頃のロシアが舞台。キリスト教が国教となり重要な位置を占める反面、従来の精霊信仰も色濃くのこっている地方領主の家族のお話しでした。設定だけ見ると『蛇の言葉を話した男』を彷彿とさせますが、その読み口は全然違います。 『蛇の言葉を話した男』では自身は抗いつつも静かに滅びを受け入れていましたが、本作の主人公ワーシャはキリスト教徒でありながら、従来の精霊との付き合いも維持

          【読書記録】熊と小夜鳴鳥 冬の王1

          【読書記録】ひとんち 澤村伊智短編集

          2024年95冊目。 比嘉姉妹シリーズの澤村伊智さんの短編集。SFのような突飛な着想の作品もありで付いていくのが大変です。 嫌な気持ちになったのは表題作でしょうか。自分が当たり前に思っていることを否定される気持ち悪さがあると思います。 全般に日常生活のふとした瞬間に感じる嫌な気持ちを切り取って落とし込んだ作品が多いように感じました。

          【読書記録】ひとんち 澤村伊智短編集

          【読書記録】七つのカップ 現代ホラー小説傑作集

          2024年93冊目。 もう一冊の方の『影牢』と比べると新しい作品の多いラインナップ。怪談専門誌『幽』があるのが強い時代ですね。編集長の東雅夫さんの功績だと思います。明らかに『影牢』のラインナップとは雰囲気が違います。 お気に入りは小野不由美「芙蓉忌」と恒川光太郎「死神と旅する女」。 「芙蓉忌」は営繕かるかや怪異譚シリーズの作品。このシリーズはそんなに恐ろしい結末になることはありませんが、静かに淡々と恐ろしいことが起きるのでひんやりします。 「死神と旅する女」は恒川作品

          【読書記録】七つのカップ 現代ホラー小説傑作集

          【読書記録】クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった6

          2024年92冊目。 本当に清い交際してる? と思いました。web版では清くないのでいいのですが、単行本版だと一緒にお風呂入ってたり水着脱がしたりしておいて何もなかったは逆に心配になります。 最後に自分で言ってますが前原は本当に頑張っていると思います。それこそ疲れないのか心配になるくらいに。海と出会って頑張ることを自然にできるようになったのはすごいですね。2人でいる間は大丈夫だと思いました。 次回は夕の初恋のお話しになりそう。ついにweb版を追い越してしまうので完全に未

          【読書記録】クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった6

          【読書記録】怪と幽 vol.015

          2024年91冊目。 特集は『怪と湯』。湯治で温泉旅館に滞在するのは昔の小説によく出てきますが、それなりに裕福でないとできないと思いますので羨ましく感じてしまいます。そんなに長期で温泉に入ったことがないのですが効くものなのでしょうか。 文豪が旅館で執筆というのもよくあるシチュエーションですね。鉄道ができて交通の便が良くなったけど今ほど観光地化が進んでなくて静かな環境というちょうどいい時期だったんでしょうか。 『了巷説百物語』が連載は最終回。最後は書き下ろしなので単行本を

          【読書記録】怪と幽 vol.015

          【読書記録】本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第三部 領主の養女Ⅳ

          2024年90冊目。 喋る魔剣って自然に受け入れられてますが国宝レベルなんじゃないですかね……。これで勉強しなくて済むと考えるアンゲリカには本当に困ってしまいます。フェルディナンドがベースの知性ということですがアンゲリカには効いていなさそうなのが心配ですね。騎士でも考えることは必要だと思います。 何やら不穏な雰囲気になっていますがゲオルギーネが領主になる道ってあるのでしょうか?政変があった後とのことなので武力のような乱暴な手段は取りにくいはず。ジルヴェスターを廃するには相

          【読書記録】本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第三部 領主の養女Ⅳ

          【読書記録】本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第三部 領主の養女Ⅴ

          2024年94冊目。 第三部完結。今回の事件の目的がまだよくわかっていません。領主の娘を拉致してなにがしたかったのでしょうか。ゲオルギーネの来訪を先延ばしにするといっても、ローゼマインが眠っていた2年間ずっと断り続けることが可能だったのでしょうか。 ある程度準備していたとしても急にローゼマインが不在になったことでだいぶ混乱が起きると思いましたが、短編を読む限り思ったより落ち着いているようでよかったです。ルッツや下町の家族は情報が少なく心配だったと思いますがしっかりと前に進

          【読書記録】本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第三部 領主の養女Ⅴ

          【読書記録】ナイトランド・クォータリー vol.34

          2024年89冊目。 特集は『対なるものへの畏怖 双生児あるいは半神』。双子のキャラクターは小説でもおなじみですね。印象深いのは『悪童日記』の双子でしょうか。ラノベでもよく出てきますね。 シャム双生児にも注目されていました。映画『フリークス』は見ました。結構長生きされていてそれぞれ結婚するケースもあるというのは驚きました。 小説では「落ちたあいつが甲板にいる!」が面白かったです。双子の入れ替わりトリックですがミステリではなく怪奇小説となっていてよかったです。 冒頭の映

          【読書記録】ナイトランド・クォータリー vol.34

          【読書記録】本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第三部 領主の養女Ⅲ

          2024年88冊目。 第三部三冊目。コミカライズで読んだ範囲を超えたので初めての内容です。 アンゲリカの勉強嫌いは四部のコミカライズでも描かれていましたが困ったことですね。勉強嫌いだから騎士を目指したということは騎士にも誇りを持っていない感じでしょうか。補習となって騎士の仕事ができなくなったことを恥じている様子も感じられなかったので残念ですね。 ローゼマインの薬の採取は冬と春の分が終わり、季節が一気に半年分進みました。魔物退治も蜜の採取も下町での生活とは変わってファンタ

          【読書記録】本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第三部 領主の養女Ⅲ

          【読書記録】葬送のフリーレン13

          2024年漫画等92冊目。 ヒンメルとの結婚式はもっと深掘りするかと思ったんですが割とあっさり終わりましたね。フリーレンの恋愛感情とか見てみたかったですが。 影なる戦士、ものすごく強くてびっくりでした。強いジジイとかいいですよね。リストができた当時はヒンメルたちも生きていたと思うんですがフリーレンだけが載っているのは理由があるのでしょうか。 一級魔導士たちが合流してますが、ずっと旅してるフリーレンに追いつくってどういう移動方法してるんでしょうか。フリーレンたちの旅が寄り

          【読書記録】葬送のフリーレン13

          【読書記録】尾守つみきと奇日常。

          2024年漫画等91冊目。 幻人との異文化コミュニケーションかと思いきや気の使いすぎで自分を見失っている少年と元気な少女のお話し。つみきが獣人じゃなくても話として成立しそうな感じです。 でも人と明確に違うからこそ比較しやすいし、翻って自分のことを考えやすいのかもしれません。友孝は遠い高校を選んだりしてるのでつみきのいうように案外自分の気持ちは持っているように感じました。自己肯定感が低いのと、周囲の対応に手一杯で先のことまで考えられないだけな気がします。

          【読書記録】尾守つみきと奇日常。

          【読書記録】影牢 現代ホラー小説傑作集

          2024年87冊目。 角川ホラー文庫三十周年記念企画。角川ホラー文庫ベストセレクションとは別企画で、角川ホラー文庫以外からも作品が収録されています。 ラインナップはベストオブベストということで大御所の作家ばかり。なんとなくもっとマイナーな作家の隠れた名作とかも読みたい気分ですが今回は仕方ないですね。 収録作の中では鈴木光司「浮遊する水」が一番嫌。『仄暗い水の底から』で映画化されていますが未視聴なので見てみようかなと思いました。怪異を直接描くことなく不気味さを演出するあた

          【読書記録】影牢 現代ホラー小説傑作集