伝える覚悟と伝わる表現__2_

『その発信に目標はあるのか? 』2019年に新卒NPO職員が目指したいこと

あけましておめでとうございます。今年は平成の元号改正、東京オリンピック1年前、そして入管難民法の施行など、大きな社会変化が巻き起こる年になりそうですね。

私は、昨年の9月に早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でNPO職員となりました。NPOの名前はWELgee (ウェルジー / WELcome + Refugee)、祖国での迫害より逃れた"難民"と呼ばれる若者たちの、社会参画とエンパワーメントを目指すNPOです。2年の任意団体を経て、去年の3月より法人化したNPO法人WELgeeの中で、広報・PRを担っています。

この記事は、広報の仕事を担った1年間で気づいた3つの課題と、今年度の抱負『伝える覚悟と伝わる表現』を実現するために、行いたいことを書きました。

1,『可能性を引き出す表現者』になりたかった2017年                                     2,その発信に目標はあるのか? 伝える意思目標を持つことの重要性           3,伝わる表現はできているのか?                                                                4, Joinしたくなる働きかけ?協働を促すコミュニケーション                         5, 『伝える覚悟と伝わる表現』のために、今ここから始める習慣とは? 

1,『可能性を引き出す表現者』になりたかった2017年        

2017年12月31日にFacebookで、こんな事を書きました。

...日本に帰ってきた後、様々な縁からWELgeeという団体と関わる様になりました...この団体に所属して、沢山の心震える出会いがありました。ここには本当に個性豊かで、様々な才能を持った人たちが来ます。しかし、ただ難民というレッテルがあるだけで、彼らの才能を発揮できず、一日中文字通り何もできない人が多いという事を知りました。 彼らの才や強みを(企業等に)"伝える"ことで何か変わる事がないだろうか...来年は、"可能性を見出せる表現者"になろうと思います。動画•ウェブ•リアル、凡ゆる媒体を使って、日本に眠る難民や、可能性のある人々の価値を最大限に引き出す事が出来る様、猪突猛進する1年にします。

△2018年度に達成したい事を掲げた目標一覧。標語は「可能性を引き出す表現者」でした。

伝える行為が、他人の可能性を引き出すことに繋がるのではないか?去年の私の仮説は、今振り返ると浅くて検証されていないものでした。

2,その発信に目標はあるのか? 伝える意思目標を持つことの重要性

 一見『可能性を引き出す表現者』は耳障りの良い目標に聞こえるのかもしれません。しかし「私が」表現したいものを伝えるという一方通行の表現では、他者の可能性を引き出すことができないと気づきました。

例えば、難民の方の日本・祖国での生活の話を第三者・パブリックの場で彼らのそこには必ず『リスク』が伴います。なぜなら難民として日本に逃れていること自体が、懲罰の対象になる国があり、見つかった結果自分の家族や親族が迫害元から危険な目に合うリスクが存在するからです。

「(日本に来て)聞かれたくない事もたくさん聞かれるよ。例えば君が病院に行く時を想像してほしい。医者が患部に触れて、君が痛い思いをする事を。でも君が医者を許せるのは、医者が傷を直せるからでしょう?」アフリカ出身の難民の方の言葉     

過去の辛い経験を話すことは「傷口に触れること」と同義です。その気持ちやリスクに寄り添わず、一方的に「表現」することは、危険で、傲慢で、身勝手なこと。だから、彼らの物語を第三者に伝える時には、確固たる目的と、確実に目的を達成するための伝える覚悟と伝わる表現が必要です。その観点が「可能性を引き出す表現者」の中に含まれてはいませんでした。

3,伝わる表現はできているのか?情報発信 = 相手へのプレゼント

どんなに時間と熱量をかけて書いた文章でも、読まれなければ意味がありません。情報の相対的価値が低くなる中で、読まれる情報を生み出すためには、情報を読む・見る人の観点が必要不可欠です。

事実として、、2001年から2009年までに、インターネットでの流通情報量は、約716倍増加したと言うデータがあります。人一人が接する情報量が、処理できる情報量を遥かに凌駕する「情報カオス時代」において情報を伝えるためには、情報を見る読者の視点に立った情報発信を心がけなければなりません。

私が尊敬する、ルポライターの望月雄大さんはこう言います。

情報発信は、相手へのプレゼントと考えた方が良いよ。

伝わる表現、つまり読んでもらえる情報は、相手が喜ぶような「プレゼント」なのです。

4, Joinしたくなる働きかけ?協働を促すコミュニケーション

伝わる表現ができたとしても、ただただ消費されてしまうコンテンツには、人の行動を変化させる強さはありません。一時的なPV・セッション数が増えることは本質的な広報ではありません。

広報発信の最も重要な目的は、「人と人との関係性を変化させること」です。特定の人に対して行動を喚起させたり、新しい視点で物事を捉えてもらうことが、目的なのです。

一度の情報発信だけでは、人は変わりません。広報の意義は、日々の情報発信の積み重ねなのです。積み重ねを受信者に対して目指すべき地点を定め、逆算して発信をする広報戦略が重要なのです。

5, 『伝える覚悟と伝わる表現』のために、今ここから始める?

明確な目標を持つこと、伝わる表現をすること、そして積み重ねの中で、目標を達成すること。広報には、この3つの要素が重要であると気づきました。今年1年の目標は『伝える覚悟と伝わる表現』を実現することです。

NPO法人WELgeeの目下の目標は、難民の若者たちの「働く機会」を作ることです。彼らの雇用機会の創出することが、逃れて来た日本の中で「難民」として不安定な生活を余儀されるのではなく、「自分」として生きることのできる道だからです。

「働くことは生きることだ」
「僕が祖国に帰ることができたら、保健省のリーダーになりたい」 コンゴの元医療従事者の男性
「紛争によって障害を背負った人々が、再チャレンジをできるようなプログラミング施設を作りたい」シリアから逃れたエンジニア

逃れた先がたまたま日本であった彼ら。

そんな彼らが、自分を取り戻し、祖国の再建のために国に戻るまで、日本で自分の経験を使って働くことは、彼らの自立と自己実現を達成するための最も有効な手段です。

彼らの「働く」を作り出すための、彼らの魅力を最大限発信したい。そのために、伝わる表現を磨くトレーニングを習慣化します。毎週1回、みなさんに対して、『伝える』をテーマとして、日々の記録を更新してゆきます。(サブテーマ:Public Relation / 逆境を持つ難民という人たちについて / 書評etc...)

今年も、WELgeeと頑張る難民の人々を、よろしくお願いいたします。

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WELgeeでは一緒に働く仲間を募集をしています!!

WELgeeでは来年度の新たな事業体制構築のために、難民の人たちと共に、日本社会の新しい可能性を本気で切り拓くインターン生を募集します。詳しくは、こちらから!

【NPO法人WELgee 公式ページ】: http://welgee.jp
【NPO法人WELgeeFacebookページ】:  https://www.facebook.com/welgee/

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