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もう2度と会えない覚悟

帰省が終わり大学がある土地へ戻る。
母がこちらに手を振る。

もう2度と会えない覚悟をする。
いつ別れが来るか分からないから、怖くて覚悟する。

父とも兄弟とも祖父母とも
地元の友達とも
従妹とも

これが最後かもしれない。
本当にそんな気がするわけでないけど、怖いから。
急に別れが来た時に耐えられないかもしれない。

だから、私は伝えられるだけの愛を伝えるのだ。
鬱陶しいくらいに「大好きよ」と言い、抱きしめる。
言わなくったって分かるかもしれないけど、大好きだよ。
いつもありがとう。
おつかれさま。

国語の教科書に出てきたお話で『ずうっと、ずっと、大すきだよ』というお話がある。
男の子は飼い犬のエルフに「ずーっと大すきだよ」と言ってたから、エルフが死んだとき幾らか気持ちが楽だったらしい。
男の子は本当に誰よりもエルフが好きと思う。
一緒に寝るんだと年老いて太ったエルフを2階まで運ぶくらい大すき。

私は、ペットが死んだ経験もないし
祖父は一人、私が生まれる前に亡くなった。
大好きな大切な存在を失くすのは、どんなに悲しいだろう。
あまり想像がつかない。
相手がいなくなるのは想像つかないけど、
私がいなくなるのはもっと想像つかない。

よく知らないものに怖さを感じるのは当然で、そういうわけで私は怖くて覚悟するのだ。

男の子がエルフにしたみたいに帰省中たくさん大好きを伝えた。
そういえば、もう2度と会えないかもしれないのは大学生になって知り合った人も同じ。
また地元に帰る8月まではこっちで、十分すぎるくらいの愛をあなたに。







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