見出し画像

先輩みたいになりたい

昨年2023年の5月、大学1年生の私はコロナに罹った。
あの時、大学でできた友達と2年生の先輩が助けてくれた。
あなたみたいな人になりたい。

その日は、寒気がすごくて太ももに鳥肌が立っていた。
「おかしい、普通じゃない」と思い大学の保健室で体温を測った。
38℃を超えていた。午後の授業を欠席し、いったん帰宅したのちに病院を受診。新型コロナと診断された。

バイトや授業の欠席連絡をして、寝た。
夜10時くらいに目が覚めてトイレに行く。
連絡が来ててスクロールしてたら目が回った。
そうとうクラクラしてた。

でも、コロナっぽい辛さはその時がピークで
熱・寒気・めまい→咳→鼻かぜ
と普通の風邪のような症状になった。


コロナ感染のための自宅待機で問題が起こる。
食欲が止まらなかった。

友達に買ってきてもらったおかゆでは満足できないほどの食欲。
これは、コロナの症状なのか自宅待機のストレスなのか。
自分でも恐ろしくなるほど食欲があった。
1食が2~3人前の量で3食の間に間食ばかりした。
小腹が空いたときのおやつはカロリーメイトだった。


そんな食欲爆発中の私に電話がかかってきた。
「何か買ってきて欲しいものある?」
スーパーに先輩が2人いる。2人とも大学の実習の先輩だ。

なんとなく恥ずかしかったが、正直に伝えた。
「唐揚げが食べたいです。おなかが空いてます」

ギョウザもどう?と聞かれ、いくつか食べたいものを伝えた後は電話こそ繋がっていたが、2人で楽しく買い物してくれているようだった。

電話の遠くから声がする。
「えーこれ美味しそうじゃない?」
「こっちにしよ」
「つるちゃんならこっちでしょ」
キャッキャと楽しそう。

ぼーっと電話から聞こえる2人の会話を聞いてたら、いきなり

『やっぱり、つるちゃんは質より量だよね』

としっかりとした声で言われて、「はい」としっかり返事した。
とても嬉しかった。


インターホンが鳴り、ドアの向こうに大きなレジ袋を抱えた先輩が見えた。
安心した。

まだ会ってから1カ月しか経ってない後輩に食べ物を買ってきてくれた。
電話でしか話せない中、電話でも話せることが嬉しい。
誰かといる感覚になれた。
優しすぎて、嬉しくて、私もこの人みたいになりたいと思った。

あの日から、もうすぐ1年。
私にも後輩ができる。
先輩みたいになりたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?