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家族法制の見直しに関する中間試案のパブリックコメント(個人意見)

 「家族法制の見直しに関する中間試案」に関するパブリックコメント



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現段階(2023年2月上旬)における個人のパブコメ意見


【まえおき】

※パブコメは個人の意見になりますので、あくまで1つの意見があるということに留めていただけると幸いです。

※中間試案から明確な定めと解されないとすれば、補足資料などにいくら記載があっても懸念が残るため、明確になるように意見・理由として挙げて良いと考えています。

※パブコメでは、どの試案の項目に対して賛成か反対なのか、またその理由は何かということを記載した方が良いです。ただそれが難しい場合や主旨に沿わないときには、個人の状況において解決できる立法になるかどうか述べても良いと思います。


【包括的意見】

①親子関係が維持されるだけではなく、保護者として保育施設や学校行事などに関わることができるようになるため、婚姻関係や居住状態に問わず、原則共同親権を導入すべきである。単独親権は例外的でよい。また連れ去りや追い出し、児童相による過剰な引き離し、虚偽のDV支援措置などによって親子断絶にならないように共同親権が必要と考える。ここで親子断絶になるきっかけとは、婚姻中において、片親における一方的な子の居所指定権の濫用の一つを例とする。

②家族法の改正は、子の成長に大きく寄与することから、立法までのスケジュールだけではなく実運用に向けた行政システム見直しなどのスケジュールも計画し、大きな遅延なくスピーディに実現できることを強く望む。

③パブリックコメントにより、多方面の意見が集まることを予想するが、これまでの法制審議会の進捗では足踏み状態になっている。そのため、真摯に具体的な法案まで落とし込まれている民間法制審議会の中間試案を出発点としてパブリックコメントを比較し、生活実態における本当の困難を解決する立法になることを考慮するべきである。


【中間試案に対する意見】

まず初めに、選択肢のある現段階の中間試案(以下、同試案)について(ア)~(サ)のとおり、賛否を述べる。


(ア)同試案第1の2項(2) 

賛否:[乙案]に賛成。

概要:[乙案]が[甲案]よりも現状の生活や進学に伴う子の養育がなされるため、子の利益として福祉的である。しかし補完すべき点がある。


(イ)同試案第2の1項

賛否:[甲案]に賛成。

概要:[甲案]が[乙案]よりも、男女共同参画できる社会になって生産性が上がることから子の利益として福祉的である。しかし補完すべき点がある。


(ウ)同試案第2の2項

賛否:[甲①案]に賛成。

概要:[甲①案]が[甲②案]よりも必然的な親の養育の責務になることから子の利益として福祉的である。しかし補完すべき点がある。


(エ)同試案第2の3項(1)  

賛否:[B案]に賛成。

概要:[B案]が[A案]よりも監護者の制限をしないことから子の利益として福祉的である。また監護者と親権者は同義とすべきである。しかしまだ補完すべき点がある。


(オ)同試案第2の3項(2) 

賛否:[γ案]に賛成。

概要:[γ案]が[α案]及び[β案]よりも共同監護として双方から愛情を持って接することができるから子の利益として福祉的である。しかし補完すべき点がある。


(カ)同試案第2の3項(4) 

賛否:[Y案(Y-γ案)]に賛成。

概要:[Y案(Y-γ案)]が、同意無き親子引き離しを防ぐために子の利益として福祉的である。しかし補完すべき点がある。


(キ)同試案第2の5項

賛否:[甲案]に賛成。

概要:[甲案]が[乙案]よりも自然的な親子関係性を維持できるものあるから子の利益として福祉的である。しかし補完すべき点がある。


(ク)同試案第3の1項

賛否:[甲案]に賛成。

概要:[甲案]が[乙案]よりも子の利益として福祉的である。しかし補完すべき点がある。


(ケ)同試案第3の2項

賛否:[甲①案]に賛成。

概要:[乙案]は、そもそも子の利益が考慮されていない。またどちらかといえば賛成である[甲①案]でも原案では未充足である。


(コ)同試案第6の1項

賛否:[甲案]に賛成。

概要:[乙案]は、そもそも子の利益にならない。またどちらかといえば賛成である[甲案]でも原案では未充足である。


(サ)同試案第7の2項

賛否:建設的な案が見当たらず。

概要:財産分与を目的とし、子を連れて別居する可能性が否定できない。原案では未充足であるため、意見収集によってケーススタディを増やす必要がある。


以上より、現在の中間試案を読む限りでは、子の利益の観点から充足といえる社会構造には程遠く、このままの思案であれば運用上における「立法不作為」と「不利益性」ですら予見できることから、以降に不足がある点を詳細な理由として示す。なお条文で規定されないときは下位規範の規定を定めることによって同意義となすこともできる。


【中間試案に対する理由】

長文になるため中間試案の項番に基づいて対応する内容を記載する。


(1)(前注1)

①親権や子どもの権利という言葉があるが、親子関係に関する定義を定めるとなれば、双方の権利として親子が自然的につながっているという視点から、これまでの「親権」ではなく「親子権」などとして双方の関係性が維持できる人権な意味として称される条文に全て修正すべきである。これは本項目以外でも同様であり、父母、子の地位が失われないものとする根幹である。またこれは、権利というより義務としての効力であることを認定的な地位として注記ではなく条文として明記し、それを保障すべきである。


(2)(前注2)

①配偶者の暴力とは、配偶者間における精神的な暴力、肉体的な暴力だけではなく、子どもを利用した取り上げ、親権を巡る争い、親子引き離しなども含めて考慮されるべきである。


(3)第1 親子関係に関する基本的な規律の整理の1項(立法不作為で項目追記すべき)
①現状では、有責配偶者(不貞行為やDVなどが発覚した親)が単独親権を失ってしまうことを防ぐために、子どもを別の場所へ連れ去ってしまうということがある。連れ去った親の監護状況に深刻な問題がなければ、刑法・民法ともに殆ど対応されることがなく一方的に別居親の親権・監護権がほぼ失われている。それを抑止するための保護法益(親子の地位)が担保されるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。
②子の最善の利益の確保ならば、父母は、成年に達しても引き続き見守る養育ができるような環境を阻害(疎外)してはならないという法案を具体的な条文として盛り込むべきであるという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

③病名として日本では導入されていないが、片親疎外(子どもの心理的影響)における心身の状況について知るため、別居親及び関係機関(医療機関や教育機関などの公的機関)が連携を図ることができる条文を具体的な法案として盛り込むべきである。なぜなら心理的な虐待であるため、これを防止する努力義務を規定されるべきである。子の心情としては、年齢によっては意思を示すことができるかもしれないが、乳幼児からの愛着形成の時間が別居によって確保されなかったときには、これは子の心情が本当の気持ちを表明することが難しいことを前提として考慮されるべき事由である。

④家族法は時代とともに見直される必要があり、グローバル的な研究知見などから速やかにフィードバックを重ね、その法案がどのように効果的であったかということをトレースして改正していく条文を具体的な法案として盛り込むべきである。
⑤婚姻関係によらず別居親は、保育園や学校などでは、保護者という扱いを受けることがなくなる。結果として親子断絶につながっている。このままでは片親疎外(子どもは親から愛されていると感じられない状態)となる。この事態を防ぐため、共同親権の選択制ではなく原則共同親権を望む。単独監護の実態を先に作ったほうが、監護の維持を認めるというものではなく、両親の養育の継続性が大前提である。そのような主旨が含まれる条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑥⑤の子を養育するときに同居親の一方的な制限によって、正当な理由がなくても親子の関わりを公的機関で拒むことを依頼することがしばしばある。このような監護体制では、子の監護として相応しくない判断をするという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。
⑦義務教育を受けるにあたって就学通知として親の居住が分かれる場合には、それぞれの親に対して通知が行くとともに、以降の学校連絡が同一内容になるようにし、共同監護ができるという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。養育することは少なくとも義務教育に関する部分について双方の親が把握することが最低限の教育の機会を与えるという親の責務でもある。

⑧戸籍上の関係にない親子については、認知と監護権が深く結びついていることだが、科学的な根拠をもって親子関係を証明できる時代になっているからこそ、血縁関係があるならば、子育てに関わることが責務であるということを条文として具体的な法案として盛り込むべきである。これは本項目以外でも同様であり、父母、子の地位が失われないものとするべきであるし、戸籍や住民票の在り方として片親だけの存在にならないように住基法においても記載内容が見直されるべきである。

⑨親子関係というのは、「基本的人権」という定めをする条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑩子どもの意思を示す機会として意見表明(意思表示)の場ができるように、双方の親からの意見とは別に権利を尊重するという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。


(4)第1 親子関係に関する基本的な規律の整理の2項(立法不作為で項目追記すべき)

賛否:同試案第1の2項(2)[乙案]に賛成。

①子に対する父母の扶養義務は、親の都合による一方的な費消を無くすため、子と父母の生活水準が同等レベルであることが具体的な条文として盛り込むべきであるという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②①に関して子の出産前までに共同監護計画を公的機関へ提出できる条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

③②に関して、共同監護計画を定期的に父母によって見直されるべき条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

④③の共同監護計画を実施するにあたり、事業主(経営側)は婚姻関係によらず平等に福利厚生として時短制度などの勤務形態を維持できるような労働環境を提供する義務を負うという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑤①~④に記載してとおり、親の責務として子の育児に関わることは、子を育てるためにも必要なことであり、父母の意見を出して将来を吟味する過程自体が大切な意思決定あるいは検討プロセスであるということを評価がなされるべきであり、子の利益としては複数の視点から周りが教育に関わっていくことが最善の利益として明文化される条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑥前述の(1)⑤~⑥に関連するが、現時点では、婚姻中にも関わらず、子の居所指定権を共同で行わずに行政手続き(住民票の変更、保育園入退園、学校変更)が片親のみによって安易に行われることができてしまう自治体もあることから、父母の意見が合わないときは、共同監護計画にもとづく話し合いを義務づけた上で、子の利益について考えるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑦⑥に関して、既に片親の意思のみだけで行政手続きする前に、もう片方の親への意思確認をする自治体もある。こちらのほうが運用上、子の利益を考慮するいわば意見調整を機会を設けることになり、子の養育を共同で考える機会となり得る。したがって子の最善の利益となることから、これらの仕組みが建設的に定められるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。


(5)第2 父母の離婚後等の親権者に関する規律の見直し(立法不作為で項目追記すべき)

賛否:同試案第2の1項[甲案]に賛成。

賛否:同試案第2の2項[甲①案]に賛成。

賛否:同試案第2の3項(1)[B案]に賛成。

賛否:同試案第2の3項(2)[γ案]に賛成。

賛否:同試案第2の3項(4)Y案([Y-γ案])に賛成。

賛否:同試案第2の5項[甲案]に賛成。

①親子は必然的な関係性であるため、どちらか片方に定めるという親権者の変更は指定しない。親権が片方に定まるという仕組みがあれば、その主張するという親権争いとなりかねない状況になる。当事者の協議によって変更しえない公益規定として定めるべきである。もし片親のみの親権維持として正当な理由があるときには、民法834条の親権喪失、親権停止、民法835条の管理権喪失の各審判制度が設けられているのだからこれらの制度により対応するのみに限るという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②①に関連して、そもそも監護者と親権者は同義である。つまり、子の保護者としての地位は変わらない。

③②仮に現段階で監護者と親権者を区別するのであれば、[B案]しかない。ただ監護者と親権者はそもそも同義しなければ、共同監護にならないため、そのような規定を明確に定めるべきである。

④ 令和2年(ワ)第4920号 損害賠償請求事件東京地方裁判所 判決言渡によれば、連れ去りを防ぐための明確な規定手続きがないことから、離婚を余儀なくされるケースは否定できない。したがって婚姻中の共同親権に紐付く法令は、離婚後であっても特段の問題がない限り、同様な効力があることで子の利益のために養育ができることを条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑤仮に同試案第2の2項[甲②案]となれば、現行の乙案とほぼ同義であり、共同養育がなされるための現状における親権が地位として認定できないことから養育に対する不平等性が生じるため、反対する。

⑥仮に同試案第2の2項[甲③案]となれば、親の責務として養育を放棄する可能性が否定できないことから、反対する。

⑦仮に同試案第2の3項(1)[A案]となれば、親が子どもに対して世話をするという意識が低下してしまうことから、反対する。

⑧仮に同試案第2の3項(2)[α案]となれば、事後では話し合って共同養育方針を定めることができないことから、反対する。

⑨仮に同試案第2の3項(2)[β案]となれば、そもそも協議しないことにより纏まらなかったという結論に到達する方向性になることが容易に予見され、現行の同居者のみの方針で決めることができるという優位性を与えることになりかねないから、反対する。

⑩仮に同試案第2の3項(4)[X案]となれば、一方的に物理的な距離を遠ざけることができることで、自由な親子交流が妨げられる可能性が高まることから、反対する。親子交流が盛んになる方向へ調整することが、福祉的な社会になるし、その人にとって大切な人生を歩むことができる。片親疎外にならないように親プログラムへ注力すべきである。


(6)第3 父母の離婚後の子の監護に関する事項の定め等に関する規律の見直しの各案に該当(立法不作為で項目追記すべき)

賛否:同試案第3の1項[甲案]に賛成。

賛否:同試案第3の2項[甲①案]に賛成。
①双方の親が、ごく普通の家庭と変わりなく子どもを養育するために「健康状態を把握し世話をする(監護権)」、「しつけ(懲戒権)」、未成年者の同意書「(身分行為の代理権)」ができるように望んでいる。多様な価値観のある複雑な家庭、いわゆるステップファミリーの支援ができるように個々の人間関係が従前のように在り続けることを明確にし、共同親権の選択制ではなく実質的な監護ができるという原則共同親権という位置づけの条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②ステップファミリーの視点では、あくまで主体的に子どもを育てていくのは実親である。その関わりの中で、継親のアドバイスを受けることもあるかもしれないが、実親と継親の意見が一致しないからといって、継親が一方的に子の監護状況を決めるべきではないとする条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

③監護権とは、前述の親権と実効上同じ意味合いがあることから、同等とする条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

④仮に同試案第3の1項[乙案]となれば、養育の必要性を認識する機会が減り、将来の監護計画の方針を立てる意識が低下することから、反対する。

⑤仮に同試案第3の1項[甲②案]となれば、そもそも親子のためにある世帯収入から相談費用を割くことになってしまうことや、心理的なサポートをする専門家でもないし、懲戒請求、損害賠償が出ている判例などを鑑みると、良心に反する弁護士も存在しないとはいえないことから、反対する。


(7)第3 父母の離婚後の子の監護に関する事項の定め等に関する規律の見直しの4項(立法不作為で項目追記すべき)

①家庭裁判所が定める場合の考慮要素(2)親子交流については、注1)の②子の発達状況及び心情やその意思を考慮するという記載があるが、「子の意思が明確に示せないとき」「別居期間が長いとき」「別居親の悪口を言われた場合」「同居中の子育て時間(養育期間)が短い」ときについては親子交流が疎の関係性になることから、家庭裁判所における平均審理期間が非常に長いことを鑑みると、突然の別居になった場合には、子の発達状況を安定させるために、緊急性のあるDV避難を除いて直ちに親子交流(面会交流)の最低限が保障される条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②父母の意見調整が整わないから子の連れ去り別居が起きるのであるが、両親の間で板挟みのある子に過大なストレスを与える等、子の福祉の観点からは却って有害なものとなる可能性も否めない。情緒的な人間関係として色濃く現れる親子交流においては、十分な信頼関係性が醸成されるためであることを念頭に、もし仮に子の心情について会いたくないという気持ちに変化していくことがあれば、どのような要因でその心理が引き起こされたのかということしっかり踏み込んで調査し、親子交流となるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。また親子交流が安定的に実施されるように、前もって子にネガティブな言葉を遣わず、別居親との関わりが良いことを同居親が説明することを監護の条件とするような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。居所指定権が現に子の監護者指定にもとづいた判断ということであれば、平均審理期間からすると適時の決定がなされるまでに相当な時間を要するため、実力行使による連れ去ってしまうことが避けられない。子を親の争いから守るためにも、同居中に居所指定権が司法調整の場として取り扱われない限り、父母の意見調整無しでは、一方的に子の生活環境を変えることは不適切であるという条文を具体的な法案に盛り込むべきである。

④家族法については、他事案と異なり生涯に与える影響が大きいため、家庭裁判所としては迅速な判断を行うように常に保全扱いで実施するような法案を具体的な条文として盛り込むべきである。現状、親子交流の決定に関わる期間が1年近くになっていることについては、子どもが精神的苦痛を受ける場合もあるので考慮されるべきである。既に良好な親子関係ならば試行的親子交流(面会交流)を裁判所ですべきではない。子にとって裁判所における召喚・招集は、心の傷(PTSD)などになる可能性も否めないのであって、子の心情に応じた場所に考慮するような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑤一方的に親子交流について日時、場所、方法などが誠実的に決められるのではなく、子のためにならない飽きさせる親子交流を実施するケースがあれば、誠実な親子関係にはならないため、協議のすべき内容が福祉的な提案なのかということを検証し、運用として見直される条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑥家庭裁判所においては、法の専門家で構成されるだけではなく、オーストラリアなどで導入されているワンストップ制度として臨床心理士など心理ケアが第一優先とし、父母の意見調整が事前になされる条文を具体的な法案として盛り込むべきである。これは裁判所の業務が切迫しないように、裁判外手続き制度(ADR制度)として拡充すべき点であり、本当の意見調整やマネージメントとして前置裁判外調整主義を設けるほうがよく、実効的な家族機能を修復できるプログラムが受講できるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。ただし濫用を防ぐためのプロセスは検討すべきところである。

⑦家庭裁判所に関する考慮要素として、別居期間の長さを理由として破綻が成立していることをみると「別居の理由」が問われていないので、子のために父母の意思に基づく意見調整を最優先すべきである。調停や審判、訴訟においては互いに相手を比較しあう高葛藤が慣例となっており、この点を司法運用として見直した条文を具体的な法案として盛り込むべきである。特に根拠や事実のない批判的な意見調整が行われていると争いが長期化しやすくなるので、故意に家庭裁判所の手続きを困難にして調整機能すらも働かない状況であれば、そこに監護者または法定代理人としての適格性に欠くという見方がなされるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。単独親権の現行制度では、相手方の欠点を言い合う機会を与えているだけになり、子の利益とは言い難い構造となっている。
⑧家庭裁判所に関する考慮要素として、法定代理人の弁護士による意見調整を補佐することがあるが、家族にとって良い在り方を子から考えられるように意見調整すべきところを、虚偽の事実に基づかない内容を陳述することや、著しく返答を遅らせることなど現状では弁護士の行為として許されている現状がある。あくまで法定代理人としての行為は、全て受任者が背負うのであって、誠実協議義務に反する場合には不法行為を構成することになりえる。その場合には、監護や親子交流などの養育侵害となりうるため、当該ケースにおいては倫理に欠く違法行為という条文を具体的な法案として盛り込むべきである。(福岡高裁裁判所平成28年1月20日付判決参照)また、これをDVなどの実態調査がなされるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。現状ではDV被害者救済制度について真の被害者の救済とカウンセリングが十分ではないし、親子関係を修復する機能としてその後の効果につながっているか定量的に検討されてものはなく、共同親権としての在り方が充実するような制度に見直されるべきである。

⑨①~⑧は、これは離婚後とするものではなく婚姻中も履行されるべき事由ではあるので、婚姻中における共同親権の行使も着実に履行できる条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑩父母の意見調整によって協議離婚したとしても、現時点での法を理解することは難しく、意見調整にないことは補正的に協議されなければならないが、一度の協議のみで公正証書の取り交わしをしたのであれば、その後の子の成長に伴って話し合いながら取り決めするということは極めて困難である。継続的に子を養育するためにも父母の意見調整は婚姻前後によらず必要であり、子の調整を拒む親は監護の適性に欠くという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑪家庭裁判所における運用改善が必要である。片親によって別居原因を作った有責配偶者からの離婚請求は、親権者としても不適格であるという考え方があり、離婚時においては特に有責性の大小によって公平に見られることが公正であるとしている。これが横浜地方裁判所の判例(昭和46年6月7日判時678号77頁)である。しかしながらその後、有責性に関して、子の監護教育に影響するかどうかということは直ちに結びつけられるものではないとして、東京最高裁判所の判例(昭和54年3月27日判夕384号155頁)として判断された。すなわち実際の有責性があるということがあっても子の監護には影響がないとしている。しかしながら、有責性のリスクがあるという虚偽申告をしても実態調査がなされないため、行政での秘匿による監護実態の妨げや、司法での運用責任が問われていないことから、こちらについては有責性のリスクとするだけで親子関係が分断している。監護養育のために子に接しようとしているのであるから、子からみたときに平等性を考慮すると、親子関係の維持に努めてこなかったのは、裁判所の運用に問題がないとは言い切れない。司法の運用判断としては、親は監護の継続性を担保できるような基本理念を柱とする条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑫⑥に関してADRの運営については、真に公益性がある運営になっているかどうかという監査機能を強化すべきであり、住民監査請求によるフィードバックに任せるのではなく三者(立法側、行政側、利用者側)からの監査が適切に行われるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑬司法関係の人的リソースが不足しないようにするためには、きちんと個別のケースに応じた事例を対応しやすいようにケーススタディを増やしながらガイドラインの見直しを定期的にブラッシュアップしていくことが肝要である。労働人口が減少する中で、むやみにリソースの拡大を目指すということが主眼となっていては、社会全体に対する生産的な稼働能力を低下させることになりかねないと懸念する。


(8)第4 親以外の第三者による子の監護及び交流に関する規律の新設(立法不作為で項目追記すべき)

①子の視点に立てば、同居に関係なく過去の人間関係(面識)があれば、交流を図ることができる条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②①に関連して、成長とともに新たな人間関係を構築することで、様々な考え方を学びコミュニケーションを醸成していくことから、段階的に新しい人間関係を築く交流を図ることもできる条文を具体的な法案として盛り込むべきである。


(9)第5 子の監護に関する事項についての手続に関する規律の見直しの1項(立法不作為で項目追記すべき)

①少なくとも居住している自治体と保育機関の開示は原則開示すべきである。また保育機関からの情報開示(行事、成績、健康状態)については婚姻関係や同居の有無に拠らずにアクセス可能である条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②①に関しては、父母の意思決定に時間を要するから開示を禁止するものでもないし、現に監護するということは、子の成長に関与できる権利でもあることから、未来を担う子どもを支援する条例を下位規範にて自治体毎に定めることを義務とするという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。


(10)第5 子の監護に関する事項についての手続に関する規律の見直しの1項の注3(不利益性により運用を見直すべき方向)

①DV支援措置法の対象外であっても、個人情報保護法の拡大解釈として住所に関連した子の個人情報の非開示や類推できる公文書の非開示がなされることがしばしばある。行政不服審査法において、夫婦の同意なく別居すると同居親のみが子の個人情報にアクセスできる。一方で、別居親がアクセスすることができず、居住実態において第3者からの聞き取りをするなど相当な労力が必要となる。この点、地方自治体によって対応も異なることから、一義的に子の情報取得に対する親権者としての平等性の保障がなされるように条文を具体的な法案として盛り込むべきである。


(11)第5 子の監護に関する事項についての手続に関する規律の見直しの3項(立法不作為で項目追記すべき)
①共同親権として効力が、他の学校教育法、教育基本法、子どもの基本法、児童福祉法におけるなどの保護者としての範囲をカバーしているとは明記されていないため、運用上の保障しているものではない。学校行事への参加を明確にできるようにしてほしい。また医療情報の紹介ができるように親権者としての意味合いを強く明確にしてほしい。そうでなければ、曖昧な基準により地方公共団体が混乱したガイドラインとなってしまい、子に対する法定代理人としての効力が無くなる。現に別居していても子を監護する(見守るという)ことは、居住状態によらず子の身を案じて心配するのが親であり、医療情報を法定代理人として正当に開示できることが虐待やネグレクトの早期発見につながる。ただ闇雲に個人情報保護制度が濫用されている状態であるため、共同養育については医療機関へのアクセスも可能とするような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②未成年者に対する親権として、パスポート取得や婚姻の許可などの決定事項がある。本来ではこれらが子に代わってサポートするという責任を持つことが代理となっているが、共同親権でも、これらの成長を見守ることができるような法的な代理人として位置づけられるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

③ ①〜②に関連して、令和4年11月28日の自由面会交流権訴訟の判決によって親子交流を制限する明確な一律規定はないことから、認知のバイアスによって別居親からの子どもに対するアクセスを妨げないように各自治体において子どもの権利条約を主体とした運用の徹底を義務づける条文を具体的な法案として盛り込むべきである。


(12)第5 子の監護に関する事項についての手続に関する規律の見直しの3項(立法不作為で項目追記すべき)
①現在の家庭裁判所の判断では、断片的な書面や僅かな調査時間でのみしか判断しかなされないことが多く、推測の域によって否定的な養育状況になっている。したがって例外的に片親のみの監護者に定めるとなるときは、事実をもとにした判断ではない限り、司法判断は元の従前の環境を維持するべき、共同養育となるような権利を保障するべきであるし、面会交流ではなく親子交流としての当たり前の時間を過ごすことができる条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②親子交流は、第三者支援機関を活用するとなれば、手続き等が生じるため面会実施まで遅延する。また月1回というように親子時間の制限が厳しく、我が子に会うために費用も高額(数万円)かかることが多い。これでは別居親の生活苦から養育費の負担も難しくなることから子の利益にならない。DVなどの真にやむを得ないケースを除き、高葛藤であるから第三者支援機関を裁判所が民間機関として推奨するという事例を避けるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

③②に関して第三者機関の運営については、真に公益性がある運営になっているかどうかという監査機能を強化すべきであり、住民監査請求によるフィードバックに任せるのではなく三者(立法側、行政側、利用者側)からの監査が適切に行われるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。


(13)第5 子の監護に関する事項についての手続に関する規律の見直しの4項(立法不作為で項目追記すべき)
①親子関係は修復の機会があるほうが福祉の確保になるため、状況に応じた養育費、婚姻費用を導入すべきである。育児放棄(育児無関心)や虐待といった形があれば、家庭環境を維持することが難しいことがあるが、親子関係の状態によっては物事を1か0で決めるのではなく、婚姻時から離婚前までの状況を按分し、割合を定めていくことが一案として考えられる。なぜなら時間経過とともに見直すことができると柔軟な取り決めができる。一つの杓子定規とせず臨機応変に詳細を決められるものとする。そのときに生活の実態に合わせて養育費を決める。現行の継続性ではなく、今後の共同監護ができるように養育支援ができるプログラムを求める。そして同居親と別居親で大きな差があっては、公平性に欠くため、生活水準を公平にするための本来の養育費や婚姻費用に使われているのか調査がなされるべきでという点、さらに修復性の観点から生涯一定の費用を決めるのではないとする条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②別居・離婚に伴う2重居住は、一般的な家庭よりも住宅費などの都合で支出が増える。そのため生活苦になる可能性が高く、税控除としては同一水準を課すのではなく要考慮事項として条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

③①~②に関して、子の養育のために扶助する目的もあることから、支払い義務者が財産管理権をとして、自由度のある生活費においては、使用用途を指定できるという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。例えば、学費、衣服費、学資保険などといった養育として収支の概算を支払い義務者に提示がなされるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。仮に財産管理を明確にしていないのであれば、財産管理権の放棄であり、養育上として計画性があるとはいえないためである。

④①に関して現状の扶養の算出方法は、算定表に基づくことが多いが、父、母、子の同一的な生活水準を維持する目的となっているが、実態として手当、支援金(生活保護や寄付)などが加味されていないため、実情に基づく勘案となっていない。心理的に婚姻費用においては、所得隠しが働いてしまうため、過去に遡って増額または減額となるような平等性になるような按分がなされるところであるが、現時点においては司法手続きした時点にしか基づかないため、証拠提出をしないことによる手続きの遅延が起きている。これを解決するためには、真に得られる収入状況ということを公的機関が把握して適正な金額を算出する条文を具体的な法案として盛り込むべきである。これは離婚後の養育費の支払い義務も同様である。このため仮に「一般先取特権」を定めるのであれば、話し合うことなく先に別居するということを支援してしまうことになり、親子関係が実力行使によって居所指定の濫用により喪失することを加担しているといわざるえないため、このような先取方式は棄却案とすべきである。

⑤④に関して、養育に関する費用分担において適正な用途になっているかどうか判断が難しいことや、別居理由に問わずに、ほぼ一律に算定表によって計算されることから、労働意欲の低下によって社会の生産性が落ちる。休職や自主退職をするケースも少なくないため、労働力が向上するように別居の正当性があるかどうかしっかりと判断がなされるべきである。そうれでなければ、先に費消してしまうことも予見できる。双方が財産管理を行使するためには、生計状況について一般的な家計簿のような形で情報を共有できるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。子に与える財産付与分の透明性が明らかとなれば、極端な過度・過少となる「お小遣い」や「物の購入」などについても、双方の親が話しあうことによって、子の健全な養育環境を構築できる。


(14)第5 子の監護に関する事項についての手続に関する規律の見直しの5項(不利益性により運用を見直すべき方向)
①現時点における家庭裁判所(家裁)の判断では、子の福祉を確保するための事由として公平な手続きが見当たらない。監護者指定の基準としては、「子の従前の監護状況」、「子の現在の監護状況」、「父母の監護能力・監護体制(経済力、将来の監護計画、監護補助体制、面会交流の許容性)」などとされており、子の事情が総合的に判断されるべきであるが、実情としては先に別居した側の監護実績を殆ど重視しておらず、かえってその現状を悪用してしまうケースが相次いでいる。一方で現行における刑法訴訟法は、相談、捜査、対応が不明確であり、証拠を立証するための捜査がなされなければ事実を解明することが難しいことが多い。いずれの手続きにせよ、自力救済は直ちに困難であるのではないかと思われ、大切な親子の時間が日々刻々と失われているのではないかということを危惧する。そうすると家裁で決めるという方針においては、現状の適性さに欠けることから、やはり親子断絶に繋がる根本的な解決にならないため、虐待などの緊急避難後は元の環境に帰ることが自然的な法として定められるべきである。そうではない限り、同居中のみに父母の意見が合わないときは、家裁にて意見調整をすべきしなければ、実力行使で子の居場所を変更することを違法とする条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②①の修復機能を明確にするため、同居中における安定的な居住環境を公的に維持できることを明文化する条文を具体的な法案として盛り込むべきである。例えば、意見調整中においては、従前の保育施設などの在籍を維持できる権利を明確にすべきである。そうすると共同監護権が相応しいことから、子の監護の継続性により、不当に監護権を失った親であっても、親権だけではなく監護権を回復することができる。したがって仮に監護権という概念が残るのであれば、離婚後も親権と監護権の両方について喪失状態においては回復できるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

③家裁における実務者においては具体的な実態を多く知ることができるため、家族関係がどのように歩まれていくことが望ましいかということをイメージされている方も少なくない。家裁の関係者からも司法運用について福祉的な意見を救い上げができるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

④家裁における手続きの公正化のため、個人情報の除き、閲覧できる電磁記録システムを利用できる条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑤④に関連して家裁における負担を軽減するためには、運用規定の明確な検討を進めていき、更なる家庭の調整の場として働くような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。


(15)第5 子の監護に関する事項についての手続に関する規律の見直しの5項(不利益性により運用を見直すべき方向)
①民法766条によって父母の意見が整わないときは、家庭裁判所が決めるというものではなく、主体的に父母が話し合う環境を構築するという法案になるべきである。適切に話し合う意思がないとすれば、親権者として養育意思がないとし、共同養育に向かうように注意喚起をさせるような仕組みが働きかけできる主旨の条文を具体的な法案として盛り込むべきである。


(16)第6  養子制度に関する規律の見直しの1項(立法不作為で項目追記すべき)

賛否:同試案第6の1項[甲案]に賛成。

①多種多様な家庭であることが実父母にとって安定的と判断できなければ、子の利益に沿わないので養子縁組に関する決定事項は、意思疎通に欠く精神状態である場合を除き、家庭裁判所ではなく父母の同意のみによって成り立つものであるという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②①に関して、現行の養子縁組では非親権者たる親が養子縁組の状況を知らないまま手続きがなされており、再婚家庭を維持する目的で別居親に情報提供がなされないことや親子交流をさせないことがある。前者では共同親権後でも養子縁組となった場合でも、本来の実親の養育の位置づけとして、親権者の役割は従前としての機能が果たされるようにすべきであり、後者の場合には専ら子の利益にならないことから速やかに親権者の変更が考慮されるべきであるという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

③①~②に関して、特別養子縁組も同様である。

④仮に同試案第6の1項[乙案]となれば、第三者としての立場から妥当性を判断する機関が、明確に存在するとは言い難いことから、反対する。


(17)第7 財産分与制度に関する規律の見直しの1項(不利益性により運用を見直すべき方向)

賛否:同試案第7の2項は建設的な案が見つからず。

①離婚しないと財産分与にならない点を悪用し、別居時点で財産を取り上げるケースを防止するために、別居時において最低限の生活のために財産分割ができる条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②①に関して現行の半々という割合では対価を公平に成しえない場合があるため、監護実績および労働実績から按分できる条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

③①~②に関して、子の養育のために財産分与をする目的もあることから、婚姻関係によらず、一部の財産管理権を支払い義務者が履行できるという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。例えば、学費、衣服費、学資保険などといった養育として収支の概算を支払い義務者に提示がなされるような条文を具体的な法案として盛り込むべきである。仮に財産管理を明確にしていないのであれば、財産管理権の放棄であり、養育上として計画性があるとはいえないためである。

④財産分与の期間制限に関する民法第768条の第2項ただし書については、そもそも離婚に至った場合の理由が、有責配偶者が含まれている場合には、有責事由の過去も遡って請求できない限り不平等になることから、安易に遡及期間を伸ばすわけにもいかない。例えば不貞行為があるような有責性原因が存在するとき、修復のために遡及をしなかったとなれば民法上では事実を知ってからは過去3年までしか遡及ができないケースが多い。しかし財産分与についてのみ離婚後3年または5年ということになれば、有責性の訴求や、同居義務違反(連れ去り等)についても慰謝料について遡及が確実にできるとしない限り、不利益性がある。もっとも子の生活困窮になるというのであれば、別居に至るまでの原因が、経済的な支援がなく監護できない状況であっても、子の居所指定を一方的に変えることができるという濫用状態であることから、父母の同意にもとづく共同監護計画が無い限り、経済的な困窮となる状況を生み出すという要因を作っていることを言及すべきであり、この点についてはしっかりと吟味されたい。

⑤財産は子どものための貯蓄でもあることから、一方的な費消をするのであれば、親権の適格性として養育上適さないという条文を具体的な法案として盛り込むべきである。


(18)第8 その他所要の措置 (不利益性により運用を見直すべき方向)

①戸籍の名前に反して、同居親が通称名を変えることがある。また離婚すると子供が良く分からないまま、あるいは子どもの意思が示せないまま苗字が帰られてしまう。生まれ持ったときの性名を名乗ることができるように維持されるべきである。現状では、片親一方の申請により、慣例として家庭裁判所が戸籍における苗字を許可しているため、子どもにとって最善であるかどうかということが、具体的に考慮されていない。そのため父母の同意がないときには、苗字の変更ができないこと継続性に関する条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

②名前が父母の同意なく通称名や戸籍上の苗字が変更された場合には、速やかに戻すことができるようにする条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

③①、②に関して民法第818条3項の観点から、共同親権者であるならば、報告、連絡、相談なしに未成年者の重要事項を独断で決定したり変更したりすることは、親権を侵害するものである。未成年者の氏名は、アイデンティティに関するものであるため、極めて重要なものになっているが、「名」が子にとって重要なことであることは間違いないが、「氏」としても「名」と一体をなし、「氏名」は個人を識別するという重要な機能がある。その人格として尊重される基礎であり、人格の尊重でもある(最高裁昭和58年(オ)第1311号判決)したがって、氏を変更するということは、父母の意見調整または家庭裁判所の許可を必要とすることである。氏を変更するためには、戸籍筆頭者が手続きを行うことや同一戸籍内の配偶者も同意が必要なことから、子どもの権利条約第8条にもとづいて勝手に公的機関が通称名を変えてはならない。また婚姻中は、夫婦が婚姻時に選択した「氏」を名乗らせる必要があり、それが法的な根拠なく「氏」の表記を変えることについては、児童の心理的な虐待を助長するものであることから、不法行為である条文を具体的な法案として盛り込むべきである。またむやみに変えられてしまった場合には、子どもの権利条約第8条2項によっても元の「氏」「名」に戻すことが立場として述べられているし、心理的な分離不安を招かないように速やかに元に戻す条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

④①、②に関して、通称名変更に関する手続きを公文書化するとともに、通称名変更の通知については父母両方の記入を必須とし、決定事項については双方の親に通知するというができるようにする条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑤③に関して父母の意見調整が一致しないときは、子の福祉であるかどうかということを精査して家庭裁判所が判断すべきであり、単に別居したということであれば未成年者の氏名の人格的な維持として理由が明確にはならないため、ガイドラインを作成した上で変更許可ができるようにする条文を具体的な法案として盛り込むべきである。

⑥法的解釈が曖昧になると自治体によって対応の差が出る。解釈の差による不利益が出ないように一元化した行政運用となるような立法案を示しておくべきである。

⑦諸外国では、共同親権導入後でもスピーディに実務の見直しが図られていることから、家族法については立法後も柔軟な対応ができるように、家族法に関する法制審議会は継続されるべきである。

⑧透明性のある議論が進められるように法制審議会の議事録を開示すべきである。

⑨子の意思を明確であれば、特別代理人の選定なしでも親権者が法定代理人となることができることを導入すべきである。現在では、相反利益となされる制約が多く、家族関係だからこそ司法手続きが困難になっていくというのは子の利益になっていない。

⑩民法と刑法の両方からバランスが取れているように司法判断がなされなければならない。したがって民法と刑法の過不足なく日本司法として網羅性があるように立法するべきである。なお厳罰化という声があるが、刑法においては、ただ単に罰金や禁固刑といった処罰ではなく、家族を修復させるためには子の居所を修復する(事案の解消)ということが本来の目的であり、その点について誘拐や略取の対応が迅速についてなされるべきであるため、きちんと勘案されるべきである。抑止力としての処罰であれば、処罰を受けることでも実力行使によって家族を切り離そうとする人が出るため、親子関係の修復としての機能は保障されにくい部分があるとも予見しているからである。

⑪ハーグ条約及び子どもの権利条約の各条文を立法案と比較して網羅性があるか明示すべきである。現状の実務として国内司法を優先しているのであれば、なぜそれが子の福祉として適切なのか見解を示した上で、家庭裁判所の運用が明確になるべきである。

⑫⑪に関連して、(2019年のCRC総括所見:日本 4-5、https://w.atwiki.jp/childrights/pages/319.html)の中に記載されている『締約国が、以下のことを目的として、十分な人的資源、技術的資源および財源に裏づけられたあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。(a) 仕事と家庭生活との適切なバランスを促進すること等の手段によって家族の支援および強化を図るとともに、とくに子どもの遺棄および施設措置を防止する目的で、困窮している家族に対して十分な社会的援助、心理社会的支援および指導を提供すること。(b) 子どもの最善の利益に合致する場合には(外国籍の親も含めて)子どもの共同親権を認める目的で、離婚後の親子関係について定めた法律を改正するとともに、非同居親との個人的関係および直接の接触を維持する子どもの権利が恒常的に行使できることを確保すること。(c) 家事紛争(たとえば子どもの扶養料に関するもの)における裁判所の命令の法執行を強化すること。(d) 子およびその他の親族の扶養料の国際的回収に関するハーグ条約、扶養義務の準拠法に関するハーグ議定書、および、親責任および子の保護措置に関する管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関するハーグ条約の批准を検討すること。』という勧告との整合性を図るように立法がなされるべきである。

⑬⑫に関して扶養義務というのは、金銭的な視点ばかりに捉えやすいので、これを「生活支援義務」または「生活保持義務」、「子育て支援義務」といった文言に置き換えられるべきである。

⑭既に法の運用として、片親の意思によって親子断絶があり、司法判断の結果、意思に反して親子関係を喪失したり、また再び親子関係を構築したりする意思がある場合には、親権回復の対応がなされるべきである。


(19)中間試案に具体的に落とし込める資料(要考慮事項)
①民間法制審議会家族法制部会の取り纏めが早くなされていたのであるから、中間試案を考慮する上で案に盛り込むべきであったが、議論の中の土台になっていなかったことは大変遺憾である。共同親権を想定する上でのベースとしてなされるべきである。

https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/203843_1.pdf

https://oyako-law.org/swfu/d/minkan_cyukanshian20220531.pdf

②子育て改革のための共同親権プロジェクトの案でも述べられているとおり、実親と実子を結ぶ権利が明確になっていないため、中間試案を考慮する上で案に盛り込むべ共同親権を想定する上でのベースとしても、明記されるべきである。

http://cdn.joint-custody.org/files/20230121-statement-detail.pdf

③大鹿草案(改正⼿づくり家族法草案)の取り纏めが早くなされていたのであるから、中間試案を考慮する上で案に盛り込むべきであったが、議論の中の土台になっていなかったことは大変遺憾である。共同親権を想定する上でのベースとしても、明記されるべきである。

https://k-kokubai.jp/wp-content/uploads/2022/08/%E5%A4%A7%E9%B9%BF%E6%B0%91%E6%B3%95%E8%8D%89%E6%A1%88_20220807_2215-1.pdf
④常葉大学教育学部 大森 貴弘氏のドイツにおける共同親権の論文のとおり、海外での実施例を参考として、共同親権を想定する上でのベースとしても、明記されるべきである。

https://tokoha-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=2182&file_id=22&file_no=1

⑤①~④のとおり、すでに検討すべき資料があることから、意図的な立法議論の遅延につながるようなリスクがあると考える。現時点では、生活に大きな不利益を被る方々が救済されるまでの時間を要するため、最優先で立法化をすべきである。

⑥法制審議会のパブリックコメントとしては、団体も意見を付すことができることから、既に当事者として召喚されている様々な団体(親子ネットなども含む)においても当事者に寄り添った声があるという観点から、意見を収集されていても良いと思われる。

①~⑥については、本パブリックコメントで記載していない部分についての記載があり、それらの意見を支持する。親が子を養育(監護)するという点では、最終的な方向性が一致するからである。


(20)立法に向けた現状認識(要考慮事項)

①別居親の当事者の団体が、既に複数いるにもかかわらず、法制審議会家族法制部会に関与されていないため、立案する上で不十分な検討になっている。当事者団体からの声を拾い上げるためにも、少なくとも当事者の声や専門家の意見を聞くべきである。しかし今の法制審議会のメンバーは限定的であり、世論の多数の声と合わない部分があると想定される。ここでただ国民の意見を集めるのであれば集約しきれないことが予想されるため、もっとも方向性を取捨選択して纏めるべきところである。

②世論調査を実施して望まれるべき「原則共同親権」「選択的共同親権」「現行維持」の割合を明確にすべきである。立法に関してはメリット、デメリットの有益性を判断するために割合を適切に調査し、定期的に公表されるべきである。


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