性風俗業界の光と影
「性風俗で働いていた過去」と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか?
「かわいそう」「苦労された」といったイメージを持つ人が多いかもしれません。
しかし私の性風俗で働いていた日々は明るくあっけらかんとしたものでした。
発達障害を持っていて器用に生きることの出来なかった私は、一般社会にいたときの方が「自分は何も出来ないダメ人間」と思って暗い日々を送っていました。
性風俗の世界に入ったときに初めて「自分にも出来ることがある」と希望を持つことができたのです。
風俗嬢時代、私は痴女っぽさのあるキャラクターを売りにして稼いでいました。
私は不器用で口下手な人間でありますが、痴女キャラに徹しているときはのびのびと自信を持って振舞うことができました。
普段の自分とは別のもう一つの自分を開拓してはそれになりきる面白さがあったのです。
また性風俗のお店では、毎月の指名数ランキングが発表されます。
そこにはより上位を目指して数字を追う面白さがあり、ちょっとした個人競技の部活をしているようでもありました。
最初は経済的事情が理由で性風俗の世界に入りましたが、経済的事情が解決してからもなお、わたしは性風俗の仕事を続けていました。
それは夜の世界の空気感がたまらなく好きだったからです。
深くわけを聞かれることもなく、ただ存在することを許してくれる夜の世界は、一般社会で器用に生きられない私にとって居心地が良い場所でした。
夜の世界の住人たちはそれぞれ様々な背景を持ってこの世界に来ており、その雑多さの中に紛れられる安心感がありました。
私は夜の世界を好きなまま、業界を去ることができました。
しかし、私のケースは非常に幸運で恵まれたケースだと思っています。
私が夜の世界を好きなまま去ることができたのは、「スムーズに昼職一本に戻ることができた」「風俗の仕事に病むタイプではなかった」「風俗時代に危険な目に遭わなかった」などの要因が、幸運にも重なっていたからです。
夜の世界で働くことはリスクと隣り合わせです。
短時間で高収入を稼げる性風俗のお仕事は、金銭感覚を狂わせる危険があります。
私は一般的な金銭感覚を失わないよう、昼のバイトなり仕事なりをコンスタントに入れるようにしていたおかげで金銭感覚が狂わずに済みました。
性風俗の仕事は、自身の尊厳を削る仕事とも言えます。
中には心を病む人もいます。
私の場合は、業界に来た当初から自尊感情が皆無で、そもそも削られる尊厳すら持っていませんでした。
スタート時点でマイナスの底だったので、それ以上マイナスになりようがありませんでした。
また、性風俗の仕事をしていれば、妊娠や病気の危険もあります。個室でお客さんと一対一になるし、一方的な好意を抱いた客がストーカー化する可能性だってあります。
私が身体を壊すこともなく大きなトラブルに遭うこともなく性風俗業界を後にできたのは、本当に幸いだったというしかありません。
夜の世界はリスクと隣り合わせなのです。