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消えない夜職アイデンティティは郷愁に似て


かつて働いた色街を歩くことがあります。
そこを通ると懐かしさとか切なさとか色んなものが混じった気持ちが込み上げてきます。
それは郷愁に似た感情。

私にとって19歳から25歳まで6年半お世話になった性風俗の世界は、実際に生まれ育った故郷よりもはるかに故郷のような存在です。

どうしてか。

それは本来であれば、子供のときに家庭や学校や地域において育まれるはずの自己肯定感を夜の世界に来て初めて得たからです。

発達障害を持っていた私は、家庭でも学校でも地域でも上手く生きることができませんでしたが、夜の世界ではさほどハンデなく生きることができました。
私にとって夜の世界は、肯定される経験や、努力が報われる体験、自分の個性や能力を活かせている充実感を初めて得ることができた場所でした。

夜の世界で過ごした時間は、ひとつの故郷としてアイデンティティに根付き、ときおり郷愁となって現れ、これからも残り続けるだろうと思っています。



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